低金利に浮かれて住宅購入でフルローンを組む危険性
フラット35では平成27年2月は1.37%と史上最低金利に
ここ数年、住宅ローン金利が下がっています。住宅金融支援機構のフラット35(融資率9割未満・借入期間21年以上)は平成24年7月に2%を切り、約1年間は2%前後を行き来したものの平成25年8月以降はずっと2%を切っています。平成27年2月は1.37%という史上最低金利でした。
フラット35の場合は、融資率9割を超えても融資が可能です。融資率9割超の平成27年3月の金利は1.6%となり、融資率9割未満より0.13%高くなりますが、必要額の100%ローンを組むことも可能です。3,000万円の住宅を購入するため、35年ローンで諸費用を含め全額融資を受けた場合、利息は約1,050万円、月の支払は約9.6万円となります。「家賃を支払うことを考えると家を買えるかも…」と思う人も多いかもしれません
(※フラット35の場合は、団信費用が含まれていないため、保障を付ける場合は自身で団信や民間保険料を負担する必要があります。なお、フラット35では、自己資金がなくても利率が高くなることを了承すれば借入は可能ですが、フラット35以外で住宅ローンを組むときには、諸費用等の分は自己資金がないと借りられないといった場合もあるので注意しましょう)。
フルローンのデメリットは借り換えが難しくなること
家を購入する時点で、諸費用もあわせて全額を借入していると借り換えが難しくなります。「今は金利が安いから借り換えなんてしない」と思うかもしれませんが、家は長く住んでいると傷んできたり、家族形態に合わなくなってきたりするものです。そういった状況になったときには、多くの人は買い換えやリフォームを考えるでしょう。
買い換えのため家を売却しようとしたときに、フルローンで借入をしていると、売却額より残債が大きくなることがあります。住宅ローンを完済しないと抵当権を外せないため、自己資金がないと売却ができません。実際、手元に資金がないため売却ができない、という人もたくさんいます。
また、リフォームローンを別に組むと、支払いがダブルになり、月々の支払いが苦しくなる可能性があります。そんなときに「借入残高をリフォーム費用と合わせて借り換え」という方法もあるのですが、最初に諸費用を一緒に借りていると、借り換えができない金融機関が多いのです。また、物件の担保価値以上の借り入れはできないため、希望額の借入ができないかもしれません。
住宅ローンを支払えなくなったときを想定した備えを
住宅ローンを組んで最も怖いのは、支払いができなくなることです。借入額が多ければ、当然、支払う額も多くなります。例えば、主に収入を得ている人が長期間働けなくなったとき、住宅ローンを支払うだけの収入もしくは蓄えがあるのか、しっかりと考慮した上で住宅ローンを組む必要があります。
(※働けなくなった時のために、収入保障などの保険に入るという手もありますが、給付対象になるには長期間就業不能の診断や介護状態の認定が必要なため、給付を受けられないことも多いのが現状です)。
「安いから買う」「借りられるから買う」ではなく、「家は今必要なのか?」「払っていける金額なのか?」ということを十分に吟味して購入を決めるべきです。
(佐々木 茂樹/ファイナンシャルプランナー)
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