『味園ユニバース』山下敦弘監督インタビュー「暴力シーンはチャレンジだった」

access_time create folderエンタメ 映画
m0000000750_sub2_large

『リンダ リンダ リンダ』『苦役列車』『もらとりあむタマ子』など、オリジナリティ溢れる青春を描くことに定評のある山下敦弘監督が、全編大阪ロケを行った最新作『味園ユニバース』が現在大ヒット公開中です。

ペ・ドゥナ、夏帆&岡田将生、前田敦子など、演者の魅力を最大級に引き出すことに定評のある山下監督が、本作の主演に選んだのは関ジャニ∞の渋谷すばる。大人気アイドルとして、俳優として、高く評価されながらも、歌い手であることにこだわり続けてきた彼は、本作で「歌しか記憶がない男」というキャラクターと出会い、満を持して主演に挑みます。

今回は山下監督に映画について、渋谷さんを起用した理由、音楽のみならず映画出演を果たしたバンド赤犬について、色々とお話を伺ってきました。

DSC09163

――『味園ユニバース』音楽もストーリーも演者さんたち、すべて素晴らしくて大好きな作品になりました。こちらオリジナルストーリーですが、どういった事から企画がスタートしたのですか?

山下監督:「渋谷すばるさん出演で映画を作りたい」というプロデューサーからの依頼がきっかけですね。渋谷君が歌っている所を観た事があって、すごく上手いなと思っていたから、彼が出るのならジャンルは音楽映画だと思いました。バラエティー番組を見ていても、他のメンバーはよくしゃべるのに渋谷君ってあんまり話さないなと思っていて。それも面白い魅力ですよね。

――渋谷さんが本当にポチ男って人なんじゃないかと思うほどのハマりっぷりでしたね。

山下監督: 渋谷君の為に作ったキャラクターなので、渋谷君の魅力を堪能出来る作品になっていると思いますね。ライブシーンの迫力もすごい。『リンダリンダリンダ』以来、久々の音楽映画なんですが、観る映画ってよりも聴く映画みたいな。大スクリーン、大音量で音楽を楽しんで欲しいなと思います。

――共演の二階堂ふみさんについてはいかがですか?

山下監督:最初はもっと若い子、中学生くらいの子でも良いなと思っていたんです。それはカスミとポチ男の恋愛を描きたくなかったから。ポチ男が28、29歳という設定なので、カスミが18、19歳だと恋愛に発展する可能性もあるじゃないですか。でも中学生が赤犬のマネージャーでPAもやってるってリアリティ無いな〜と。それで、10代後半で実力ある人誰かなって思ったらやっぱり二階堂ふみが良いと。

――恋とも友情とも違う2人の関係性、すごく良かったです。

山下監督:我ながら2人の距離感を上手に撮れたなって思ってるんですよ。こうやって縁側でスイカ食べててもそこに恋愛がある様に見えない。乾いた関係なんですよね。特にカスミが乾いてて、でも時々寂しそうな顔をするっていう。

――そして、バンド赤犬が本人役で映画出演というのが、ビックリでしたし、とても面白かったです。

山下監督:まずは赤犬のライブを観に行こうってなって、そこが「味園ユニバース」だったんですね。「なんだこの場所!?」って思って。この場所を見て、ストーリーがどんどん出来上がってきた感じですね。だから、赤犬のライブが映画のベースになっている。

――メンバーも驚いていたのでは無いですか?

山下監督:最初はリアリティ無かったと思いますね。「映画出てよ」「いいよ〜」みたいな軽いノリで。いざ撮影が始まることになって衣装合わせしている時に「あ、本当にやるんだ」って思ったみたいですね。赤犬ってメンバーも多いし、みんな仕事もしているからスケジュールも合わなくて、渋谷君と二階堂さんは来れるのに“赤犬のスケジュール待ち”って事もあったんですよ(笑)。セリフも重要なセリフ以外はアドリブというか、いつもの赤犬のまんまでやってもらった感じで、ファンの皆さんはヒヤヒヤするんじゃないでしょうか。

――二階堂さんに「おっさん、はよやれ」とか命令される赤犬の姿が、萌えポイントでした。

山下監督:あの関係性良いですよね。それまでおしゃべりばかりしていたのに、カスミに言われて、のそのそと動きはじめるっていう。赤犬も完全にドM状態で。

――完成までに一番大変だったこと、苦労された事は何ですか?

山下監督:ライブシーンはやってみないと分からないなと思っていたので、緊張はしましたね。でも赤犬も元々ライブかっこいいし、渋谷君もすごく考えて動いてくれたので撮影していて楽しかったですね。苦労したと言えば、暴力シーンでしょうか。これまであんまりやった事が無いシーンだったので。

――楽しいライブシーンと、シリアスでドキっとするシーンのギャップが結構ありますよね。

山下監督:初号試写で子供がこの映画を観た時に「恐い」って言っていたので、あ、さじ加減間違えたかななんて思いましたね(笑)。

――本当にあんなグループがありそうなリアリティがすごかったです。

山下監督:ヤクザでも無いし暴力団でも無いし、少年たちがどこにも属さないまま愚連隊っぽくなってしまうという。大阪でも、格闘技をやっていた若者が、出れる試合が無くなってグレるという事件があって。もちろん不良だし、犯罪も犯しているんだけどマッチョな雰囲気にはしたく無いなと思い、天竺鼠の川原さんにも出てもらったり、バランスに気をつけました。ああいう怪しい役をやってもらう時って、お笑い芸人の方がピッタリなんですよね。

――以前「西のサブカル発信地! 話題のスポット“ウラなんば”が舞台の映画『味園ユニバース』」という記事を書いたのですが、「ユニバース」はもちろん、ロケ地はいつか訪れようと思っています。

山下監督:ウラなんばめっちゃいいですよ。歯が全く無い店主がやってるウマイたこ焼き屋とかね。ロケをした場所・道を歩いているだけで色んな人が見れる(笑)。

――この映画と同じ季節の夏頃に行ってみたいと思います。今日はどうもありがとうございました!

参照:西のサブカル発信地! 話題のスポット“ウラなんば”が舞台の映画『味園ユニバース』
https://getnews.jp/archives/756710 [リンク]

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 『味園ユニバース』山下敦弘監督インタビュー「暴力シーンはチャレンジだった」
access_time create folderエンタメ 映画

藤本エリ

映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。