西のサブカル発信地! 話題のスポット“ウラなんば”が舞台の映画『味園ユニバース』
『リンダ リンダ リンダ』『苦役列車』『もらとりあむタマ子』など、オリジナリティ溢れる青春を描くことに定評のある山下敦弘監督が、大阪を舞台に、音楽をふんだんに使った人間ドラマを描いた最新作『味園ユニバース』が2月14日より公開。
ペ・ドゥナ、夏帆&岡田将生、前田敦子など、演者の魅力を最大級に引き出すことに定評のある山下監督が、本作の主演に選んだのは関ジャニ∞の渋谷すばる。大人気アイドルとして、俳優として、高く評価されながらも、歌い手であることにこだわり続けてきた彼は、本作で「歌しか記憶がない男」というキャラクターと出会い、満を持して主演に挑みます。
共演は、『ヒミズ』『私の男』などで国内外問わず高い評価を受け、弱冠20歳にして日本映画界に欠かせない女優となった二階堂ふみ。 渋谷演じる記憶喪失の男を拾って‘ポチ男’と名付け、自分の家に住まわせる逞しくも一風変わったヒロイン・カスミを演じ、唯一無二の存在感を放っています。そして、本作にはカルト的な人気を誇るバンド「赤犬」も全編に渡って登場。二階堂ふみちゃん「おっさん達」呼ばわりされる赤犬メンバーたちは、ハッキリ言って超・萌えます(そしてアナタがふみちゃんに叱られたいおっさんなら、この映画最強にご褒美です)。
本作の舞台となるのは、タイトルの通り「味園ユニバース」。「味園(みその)」は1955年(昭和30年)に開業した、大阪市千日前に建つ、飲食店・大宴会場・ホテル・マッサージなどが入る歓楽街が1棟に集約されたようなビルの名前。赤と青の渦巻き形ネオンで浮かび上がる「味園」という巨大看板が目印にもなっている建物です。
このビル内につくられた老舗の豪華キャバレーが「ユニバース」。高度成長期時代に突入した日本では、当時キャバレーが各地で沢山登場していたが、中でも「ユニバース」はその名の通り宇宙空間をテーマにした独特の趣向が凝らされ、規模も日本最大級のもので、大変な人気に。
かつては地上3層が吹き抜けで、ステージの前の中央スペースにはダンスホールがあり、そこを囲むように客席が設置され、その上をキラキラのシャンデリアと、宇宙に浮かぶ惑星のようなミラーボールが照らしていた。全盛期は常に千人もの客が訪れ、海外のガイドブックでも紹介され、観光バスで訪れる人々も。ステージに立った有名人には、和田アキ子やピンク・レディーもいたと言われています。味園ビルは大阪の古き良き昭和の香りを伝える建物なのです。
ユニバースは、世の移り変わりと共に少しずつ形態を変え、地下1階にその場所を移し営業してきたが、2011年に遂にキャバレー営業を終えることに。しかし、その後も「ユニバース」という名称や内装はほぼそのままに、貸しホールとして再び営業を再開し、現在では若者たちのライブ会場やイベント会場として高い人気を誇るスペースとなっています。奇しくも、この営業再開の復活イベント第一弾は、赤犬のワンマンライブ!昨年12月20日にはここ味園ユニバースで「第68回 全日本赤犬歌謡祭 パート2」と称して赤犬のワンマンライブが行われ、劇中では「第69回全日本赤犬歌謡祭」として演奏シーンも披露します。
さらに昨今、2階フロアは、独自の感性をもった若いオーナーたちが経営する40軒以上ものバーや飲食店などが展開されており、サブカル人などが多く通うことから、「新宿ゴールデン街」と並ぶ、日本サブカルチャー文化の発信地、アングラ芸術の発祥地として高い注目を集めるスポットに。劇中にも登場する「マンティコア」も、その中の店のひとつで、劇中のまま赤犬メンバーのベース担当・リシュウ氏が経営するバーなんです。
この味園ビルを中心とした「ミナミ」の中でも難波のウラ側、千日前や日本橋界隈のことを総称した“ウラなんば”がここ数年若い世代が集まる人気スポットとして話題に。大阪の繁華街スポットというと、梅田・中之島地区を中心とした「キタ」や、難波・心斎橋地区を中心とした「ミナミ」が有名ですが、“ウラなんば” は雑多で独特なその土地ならではの面白さや、店舗で働く人々のアットホームな雰囲気、街ぐるみの盛り上げがあり、大阪を訪れた際には一度は足を運びたいスポットです。
『味園ユニバース』ストーリー
大阪。広場で行われていたバンド【赤犬】のライブに、若い男(渋谷)が乱入し、そこは一時騒然となる。しかし、マイクを奪った男が声を放つや、会場は水をうったように静まりかえる。圧巻の歌声! 若い男は記憶喪失で自分のことを何も覚えていないという。男の正体と歌声に興味を持った【赤犬】マネージャーのカスミ(二階堂)は、彼を“ポチ男”と名付け、バンドのボーカルに迎えようとする。しかし、男の記憶に閉ざされた過去には、大きな問題があった――。
(C)2015『味園ユニバース』製作委員会
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