「タクシー配車アプリ」普及への課題
タクシー業界が普及を狙う「タクシー配車アプリ」
「急いでいるときに限って、タクシーがなかなかつかまらなくて困った」。そんな人にオススメしたいのが「タクシー配車アプリ」です。
スマホのGPS機能を利用しているため、わざわざ現在地を教える手間が省け、早ければ数分でタクシーを呼ぶことができる、とても便利なアプリです。
アプリを配信しているストアで「タクシー配車」と検索すると、50以上もの「タクシー配車アプリ」が存在していることからからも、タクシー業界が普及させようとしていることが伺えます。
アプリをダウンロードしている人の大多数が利用していない
しかし、まだまだ課題も抱えています。「スマホdeタッくん」という人気アプリをリリースしている東京ハイヤー・タクシー協会によると、昨年12月時点でのアプリダウンロード数は4万件であるのに対し、月平均の配車台数は5,000台程度。アプリをダウンロードしている人の大多数が利用していないということがわかります。
つまり、「タクシー業界としては配車アプリを積極的に利用してもらいたいと考えている一方で、普段タクシーを利用する人には、あまり普及していないのではないか?」ということが明らかになったのです。
タクシーをよく利用する40代~50代に認知されていない?
配車アプリは、タクシー業界とタクシーを利用するユーザーの双方にメリットがあるにもかかわらず、普及しないのはなぜでしょうか?その理由として、ターゲットへの宣伝活動不足が考えられます。
ターゲットとは、「タクシーをよく使う人は誰?」ということであり「配車アプリを利用することで喜んでくれる人は誰?」ということです。そして宣伝活動とは、そのターゲットにアプリを認知されるために行う活動を指します。
同協会によると、ターゲットをビジネスマンとしてアプリをリリースしたものの、実際に利用者している人の多くがITに関心の高い20代~30代の人だったということから、宣伝活動がデジタル系の情報誌などに偏ってしまったということが考えられます。そのため、ITへの関心がそれほど高くなく、タクシーをよく利用する40代~50代のビジネスマンには認知されにくかったとも考えることができます。
つまり、タクシーをよく利用する40代~50代のビジネスマンに認知されるには、ターゲットとなる人が「目にするであろう媒体」への宣伝活動がもっと必要だったということです。
結果には必ず原因がある。突き止めてから「次の一手」を
もしも、適切な媒体で宣伝活動を行っていたというのであれば、その内容がよくなかったのかもしれません。例えば、「迎車料金がかかる」という部分が強く印象に残ってしまい、その他の利便性が打ち消されている可能性も考えられます。
このように、結果には必ず原因があると考え、突き止めることが大切です。なぜなら、その原因を解決・改善することができないままでは、次の一手を打ったとしても、また同じような課題を増やすだけです。そうならないように、「何がうまくいかなくて、次はどうしたらよいのか?」ということを明確にしてから、次に進むことが重要なのです。
同協会は、「今後はターゲットを子どものいるファミリー層や高齢者にも広げたい」と考えており、それも視野に入れて配車アプリを1月末に改良し、新たな宣伝活動に取り組むとしています。この「次の一手」が有効な一手になるのか?アプリの機能性や宣伝活動の内容に注目です。
(伊藤 伸朗/集客・顧客情報活用コンサルタント)
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