田辺晋太郎 「本当にあった旨い店」 第十六回 久我山 器楽亭
料理の味を決めるのは素材、技術、調味料だけではない
店の雰囲気、人、そして器の楽しさ
久我山 「器楽亭」
井の頭線最強和食屋伝説を証明する。
探究心
こだわり
マニアック
遊びゴコロ
一流料理人にとって大事な4つのキーワード
店主 浅倉鼓太郎さんはそのすべてを兼ね備える
「昔は特に食べ物に興味がなくて、カップ麺やジャンクフード、とりわけドンタコスが一番好きな食べ物でしたね~」と少年時代を振り返る
しかしそこから必死に修行して修行して、現在の器楽亭を開いたのが7年前
生涯の伴侶のご出身が石川県という御縁もあり、究極の素材たちとの出会いもあった。
鰤、ノドグロ、香箱蟹、、、
能登半島の海の幸の恵みを受けて探究心に火がついた
例えば鰤
自他共に「鰤マニア」と呼ばれるほどのこだわりがある。
部位によっての水分量の違いを見極めそれぞれにあった調理を施す
お刺身であっても中トロと大トロ、それぞれの部位を楽しませる。
手前から鰤中トロ、時計回りに平目、煮蛸、鮑、鰤大トロ、雲丹、北寄貝
雲丹のエッジを見ればわかる新鮮さ、そして素材を見極める眼力の証明でもある。
そして素材の良さに胡座をかいていればいいわけでもない
「僕らは魚介類の臭いを取るのが仕事ですから」
そう、つまりは見えない仕事を施すことで臭みを取り除いてもいる確かな技術がある。
京芋の含め煮揚げ
一口頂くと溢れる出汁の旨味に仰天
いやいや、これって揚げ物の形をしているお椀じゃないの?と言いたくなる出汁のホールド感
一気に心をつかまれた。
本物の香箱蟹
このように身をすべてとったものを殻に詰めて出すのが香箱蟹と思っている方も多い昨今
これぞ本物!
釧路産雲丹の出し寄せ
和食屋の命は出汁
当たり前のことだが当たり前を徹底することの潔さを感じる
そこに雲丹が加わることで何が起こるか
とにかく幸せを感じさせる旨味だ。
ノドグロの蒸し寿司
これぞ器楽亭のスペシャリテともいうべく、完全無欠の旨味の王様のお出まし!
対馬の「紅瞳」というノドグロの中のノドグロや輪島産の最高クラスの物など、普通はなかなか東京で手に入らない逸品の一番美味しいところだけをこの蒸し寿司に贅沢に使うこだわり。
「日本海側で捕れるノドグロにこだわってますね」
蒸したことで脂の旨味が花開き、シャリと相まって一気に解き放つ大胆さ
一口食べればそのこだわりがわかる。
甘鯛の松笠焼き
魚の旨味がどこにあるのか、だからこの調理法になる
「この甘鯛でフィレオフィッシュ作ると最高にうまいんですよ!」
と語るご主人の遊び心と大胆さ
絶対食べたい、I’m lovin’ it!
そしてこの時期の醍醐味といえば唐墨
ネットリ感とフレッシュ感の心地よいせめぎあい
塩の加減を知り尽くさないとこの味わいは出ないだろう
「ここまで大きくないと美味しくないんですよ」
うん、これはお酒が進まないわけがない、それも日本酒!
さぁ、いよいよ〆と行こうか
なんと!!和牛ランプのかつサンド
赤身の旨味を十二分に引き出す最高の揚げ方
ソースをまとわせギュッと挟まるその姿
紛いもなくかつサンドのそれである。
和食屋さんでいながらもここまで楽しめる遊び心
なんて嬉しい裏切りだろうか
素材への「こだわり」
味の「探究心」
「マニアック」なまでの向き合い方から生まれる「遊び心」
証明は完了した。
この楽しさはもう 最強としか謳えない
久我山 器楽亭
ここもまた
本当にあった旨い店
器楽亭
住所:東京都杉並区久我山5-7-9久我山ハウジング103
tel : 03-3332-2919
営業時間: 18:00〜00:00(LO)
定休日:水曜
予約がとりにくい場合がございます。ご了承ください
photo by Shuya Nakano
田辺晋太郎
1978年11月5日生まれ、東京出身。2001年5月「Changin’ My
Life」のメンバーとしてEMIよりデビュー。その後は音楽プロデューサーとして、俳優の城田優をはじめ海外アーティストなどにも楽曲提供。2012年にはAKB48の渡辺麻友「ヒカルものたち」の作曲を担当しオリコン週間チャート一位を記録。その一方、文化放送「田辺晋太郎あなたへバトンタッチ」TOKYO MX「パ・リーグ主義!」などTV・ラジオでMC・DJといった実績も多方面に富む。MCスタイルは音楽テーマにとどまらず、社会一般に向けた話題など広く対応。また肉マイスターといった肩書きを持ち、監修した宝島社ムック『焼肉の教科書』はシリーズ累計14万部の大ヒットを記録。また2014年10月より一般社団法人 食のコンシェルジュ協会の代表理事に就任、焼肉コンシェルジュ検定を年四回実施するなど幅広く活動中。
都市で暮らす女性のためのカルチャーWebマガジン。最新ファッションや映画、音楽、 占いなど、創作を刺激する情報を発信。アーティスト連載も多数。
ウェブサイト: http://www.neol.jp/
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