侵入盗被害ワースト返上へ「地域力」がカギ
愛知県、侵入盗の認知件数で8年連続ワースト1位
平成26年度版の警察白書によると、都道府県別侵入盗の認知件数(捜査機関によって犯罪の発生が認知された件数)で愛知県がワースト1位でした。これで8年連続ワーストの記録です。
侵入盗のワースト2位以下は、千葉県、東京都、大阪府、福岡県と続きます。侵入盗は人口が多い都市に頻発する傾向がありますが、ワースト2位の千葉県と比べて愛知県は約1.4倍、東京・大阪と比べても1.5倍の件数となっています。
関係機関は侵入盗の防止として、「時間、光、音、地域の目」の強化が必要と呼びかけています。侵入までの時間を稼ぐためにドアや窓に施す「対象物の強化」、住宅の周りを明るくする「接近の制御」、警報器などで周囲に侵入を知らせる「監視性の確保」、住民同士の地域の目の連携「領域性の確保」などです。しかし、こういったことを常に心がけているというのは、経済的のみならず精神的な負担も増えてきます。
愛知県は「ソーシャル・キャピタル」が低い?
では、侵入盗の認知件数が少ない都道府県を見てみましょう。最も認知件数が少ないのは、鳥取県(愛知県の2.6%)。以下、秋田県(同3.1%)、山形県(同3.2%)、青森県(同3.3%)と続いています。参考までに、愛知県との世帯数比だと、鳥取県8%、秋田県14%、山形県13%、青森県19%ですので、世帯数で見ても愛知県の侵入盗の件数は突出しているといえます。
単純に比較できませんが、鳥取県などの侵入盗の少ない都道府県の住宅が、特に強固なドアや窓を設置しているとは限りませんし、住宅周辺の照明や警報器などが整備されているわけではありません。やはり、地域としてコミュニティも含めた「ソーシャル・キャピタル」の差があるのではないかと考えられます。
経済的負担を抑えながら犯罪の起きにくい社会を構築できる
ソーシャル・キャピタルとは、社会や地域の信頼関係や結びつきを表し、人々の協調行動が活発であることで社会の効率性が高まるという考え方です。ソーシャル・キャピタルが高ければ、個人的・社会的な経済的負担を少なく抑えながら犯罪の起きにくい社会を構築できると考えられています。
警察や個人の負担に任せるだけでなく、ソーシャル・キャピタルを高め、侵入盗が発生しにくい街づくりに取り組んでいくことが求められているといえるでしょう。
(谷口 庄一/都市環境プランナー)
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