中高生女子の飲酒、知らなかったじゃ済まないリスク
中高生の飲酒習慣、女子が男子を「逆転」
日本では本来、未成年者の飲酒は法律(未成年者飲酒禁止法)で禁じられています。それにもかかわらず、巷には自動販売機があふれ、誰もが道ばたで自由にお酒を買うことができる世界でも不思議な国なのです。「イッキ飲み」などで急性アルコール中毒を起こして救急車で運ばれる人は増加傾向にあり、年齢別では未成年者が2割弱、20歳代を含めると過半数は若者で、そのうち女性が3分の1を占めているといわれています。
実際、中高生の飲酒習慣(月1日以上)の割合を調べたところ、15年ほど前から大幅に減ってはきているようですが、男子より女子が高くなり「逆転」したことが、厚生労働省の調査でわかりました。原因としては、アルコール度が比較的に低いカクテルなどの口当たりの良い甘いお酒が広く出回るようになったことも一因とされているようです。また、親に勧められたのがきっかけになっていることが多いとされ、親自身に未成年者飲酒の危険性に関する正しい知識があれば、これほどの広がりは防げたのかもしれません。
飲酒の頻度や量が多いまま妊娠すると、胎児にまで悪影響も
とりわけ、未成年女性の場合は「大人になり、飲酒の頻度や量が多いまま妊娠すると、胎児に悪影響を及ぼす可能性もあり、注意が必要」といわれています。その上、未成年の場合には、脳が発達途中で、脳の成長が妨げられることがあるともいわれています。まだ就学中である未成年者では、学業成績低下や、友人との交流などの学校生活に影響が生じやすいようです。また、成人女性に比べると、短期間でアルコール依存になる危険が高まるとされています。
一般的に、女性の飲酒では血中アルコール濃度が高くなりやすく、がんや肝硬変、胎児性アルコール症候群などの女性特有の疾患のリスクを増大させると考えられています。また、アルコールは性ホルモンのバランスを崩すため、女性の場合には、生理不順になり、無月経になることもあるとされています。未成年の場合は、なおさらリスクが高まると考えられますので、飲酒には一層の注意が必要です。
(佐藤 浩明/消化器内科専門医)
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