ご利益ある正しい「恵方巻き」の食べ方
節分に「豆まき」を行う由来
節分の恒例行事である「恵方巻き」の宣伝が目立つようになりました。昔は、立春、立夏、立秋、立冬の前日はすべて「節分」でしたが、室町時代の頃から一年の節目にあたる春の節分に重きが置かれるようになったようです。旧暦では、ちょうど大晦日にあたる頃です。
当時は、季節の変わり目は悪魔が出没すると考えられ、それを追い払うための厄除けの行事が必要で、「鬼は外、福は内」の掛け声と共に「豆まき」を行う風習が始まったといわれております。ちなみに、豆には旺盛な生命力と邪気を払う力が備わり、「豆=魔目」と考えられ、鬼の目に豆を投げると、鬼は「魔滅」します。そして、豆まきをした後は自分の歳より一つ多めの豆を食べ、無病息災を祈ります。
さらに、外に逃がした鬼が再び家の中に入ってこないように、柊の枝葉と焼いた鰯の頭を軒下などにつるさなくてはいけません。柊のトゲと鰯の頭の強烈な匂いが鬼よけになるからです。
「恵方巻き」は、恵方を向いて喋らず、目を閉じて食べる
また、節分の日に恵方、すなわち、その年の縁起が良い方角に向かって「恵方巻き」といわれる太めの巻きずしを丸かじりすると、幸運に恵まれているといわれています。巻き寿司になっているのは「福を巻き込むため」で、具材は「七福神」にあやかって7種が基本。一般的に、ご利益があり正しいとされている食べ方は以下の通りです。
1、その年の恵方を向いて食べてください。ちなみに平成27年の恵方は西南西だといわれています。
2、食べる時には喋らないでください。喋ると、せっかく巻き込んだ「幸運」が逃げます。
3、そのまま一本の巻き寿司を切らずに丸かじりしてください。巻き寿司を切れば、「縁」も切れます。
4、目を閉じて、願いごとを思いながら食べてください。季節毎の行事を「歳時」といいますが、そのほとんどに多彩な願いごとが込められています。
行事の意義を理解して心豊かに味わうこと
ただし、この食べ方を実行するか否かは自由ですが、何もかも不必要に「右に倣え」ではなく、その行事に込められた意義や意味を正しく理解して、凛とした自分流を持つことと、それを心豊かに味わうことです。
節分は一年で最も大切な季節の節目で、翌日は「立春」です。暦の上では厳しい冬から、春が始まるとても縁起の良い日で、一年の始まりの時でもあり、希望の持てる日でもあります。この日に、自分自身を改めて見つめ、前向きに生きていく計画を立てるのも良いでしょう。
(平松 幹夫/マナー講師)
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