夕方になると無数の鳥たちが襲来する元・マイカル本牧周辺、鳥フン被害状況は?

夕方になると無数の鳥たちが襲来する元・マイカル本牧周辺、鳥フン被害状況は?

横浜のココがキニナル!

マイカル本牧周辺に、夕方になると無数の鳥が木々に襲来しすごいことになっています。車で信号待ちしているわずかな間に鳥のフンが3か所以上被弾。この鳥対策は検討されてるの?(リキさんのキニナル)

はまれぽ調査結果
元マイカル本牧周辺をねぐらに集まる野鳥はムクドリ。某タクシー運転手は30分に5ヶ所被弾、フン害などが問題だが、中区は特に対策を行っていない

野鳥の集団が集まる元マイカル本牧の現状とは?

野鳥の群れが本牧に集まる現象が起こっている、という。海が近く、三溪園などの自然の豊かな場所ではあるが、鳥たちは商業施設やマンションのビル群のど真ん中に集まる、とのこと。何か特別な理由があるのだろうか?

夕方になると無数の鳥たちが襲来する元・マイカル本牧周辺、鳥フン被害状況は?

元マイカル本牧(現イオン本牧店)の周辺

まずは現場の状況を確かめようと、本牧の元マイカル本牧(現イオン本牧店)に向かった。
中華街や元町のエリアを過ぎトンネルを抜け、しばらくすると元マイカル本牧を中心とした商業施設やマンションなど高いビル群が現れる。

元マイカル本牧は、本牧通りを挟んで「イオン本牧店」「ベイタウン本牧5番街」が向かい合っている。その周りを多くの街路樹が囲む。野鳥の群れが集まってくるというのは、これらのうちのどれかの木なのだろうか?

まずはベイタウン本牧5番街の周辺を歩き始めると、街路樹の下にタクシー乗り場を発見。鳥のフン害で困る人は誰か・・・それはきれいな状態の車でお客さんを迎えたい、タクシーの運転手たちがあてはまるだろう。

そう思い事情をご存じないかと、車のそばで数人が集まっていた運転手のひとり、Nさんに話を伺った。

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ベイタウン本牧5番街の東南側のタクシー乗り場

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以前は東南側の街路樹に群れが集まっていた

「鳥の大群が来るようになったのは7年くらい前からかな? 夕方になると南の方から、最初は10羽くらいの群れが次第に集まって、何千羽にもなるんだ。そしてねぐらの木に止まり、朝にどっかに飛んでいくんだ。ムクドリがギャーギャー泣いてうるさいし、フンを落とすから困っているよ。そしてフンが雨で流れるとすごく臭い」と答えてくれた。

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これがフンの主、ムクドリ(フリー画像より)

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現在の集団ねぐらの木の下はフンだらけだ

タクシーを汚されないための防止策をしているのかについて伺うと・・・

「以前はちょうどこのタクシー乗り場の上の木に止まっていたので、みんなで木を蹴っ飛ばしたりしたら逃げていって、道路の真中の街路樹に移っていった。でも今年の夏に真中の木を市が剪定(せんてい)したら、今度は裏側の木に移ったんだ。木が切られるとねぐらにできないからか来なくなるようだね。でも今の木の近くはマンションだから、住人は夜うるさくて寝られないんじゃないかな?」とのこと。

ベイタウン本牧5番街の周辺には本牧山頂公園など自然が多いにも関わらず、なぜこの街路樹に集まるのかについて伺うと、「近くの山には天敵のカラスがいたりするからじゃない?」と答えてくれた。

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ベイタウン本牧5番街の東南側の街路樹の上にカラスの巣があった

集団のねぐらとなる木は(1)ベイタウン本牧5番街の東南側だったが追い出され(2)正面に移ったが、剪定されたので(3)北西側に移った、という。

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集団のねぐらは(1)東南側から(2)正面に移り(3)北西側に移った

“東南側”はタクシー運転手にとって迷惑になり、“正面”は本牧通りで交通量が多く、信号待ちの車がフン害に遭いやすい。しかし“北西側”は、信号待ちの車も少なく、木の下に止まる車が被害に遭う場合は少なそうだ。3ヶ所の中では一番、車にとって被害の少ない場所に移ってくれたといえる。

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ねぐらの木は東南側(左)から正面(右)に移った

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正面(左)の木を剪定すると、今度は北西側(右)に移った

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現在ねぐらの木になっているベイタウン本牧5番街の北西側の木

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現在のねぐらの木の下にはフンが落ちている

つづいて公園で子どもを遊ばせている主婦のK・Tさんに、野鳥の群れの被害について話を伺うと、「鳥の大群はうるさいしフンはするし、困っています。実は今年の夏、とても迷惑だったので、私の息子が夏休みの自由研究として、区の土木事務所にムクドリ対策について聞きに行きました。すると担当者は『苦情は2件ほど来ています』と言っていました」とのこと。

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K・Tさんが今年の夏に撮ったムクドリの群れ

また、ほかの主婦の方からは「あの鳥は朝になると山頂公園の方に行っているわよ」との発言が出た。

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元マイカル本牧の裏手には豊かな緑が広がる

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本牧山頂公園

そこで本牧山頂公園に行ってみることに。山頂公園の名の通り、緑に囲まれた頂上からは本牧が一望できる。本牧山頂公園のスタッフに、ムクドリの群れについて伺うと「ここにはムクドリはやってきません。カラスの方が多いですね」とのこと。

やはりムクドリは、緑の豊かな公園には天敵のカラスがいるため街路樹を選ぶのだろうか?

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ベイタウン本牧5番街の裏手にいたカラス

再び元マイカル本牧周辺に戻ると、“正面の木”と“北西側の木”に挟まれたあたりの場所に自転車店を発見。スタッフの方にムクドリの群れの被害について伺うと、「特に夏場はフンの被害がひどかったので、店頭に置いている商品にはフン防止のシートをかけていましたよ」とのこと。

ねぐらの木の周辺の商店には被害が深刻であるようだ。

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サイクルスポットベイタウン本牧店

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店頭の商品にはフン防止のビニールをかけていた

次に犬の散歩中の女性・竹本さんにムクドリについて話を伺った。

「夕方5時ごろやって来て朝5時ごろに海の方に飛んで行きます。夜鳴き声がうるさいとは思わないし、フン害もそんなに気になりません。夏は止まり木のセミを食べているらしく、朝になるとセミの羽だけが下に落ちていて、風で飛ぶのよね」とのこと。

木はねぐらのためだけではなく、昆虫などを捕食するための目的もあるのかもしれない。

さらに、近くのマンションに住むSさんは「渡り鳥で冬にはいなくなるはずだけど、年々いる時間が長くなっています。フン害はあまり気にならないです。鳥がいることで自然を身近に感じられるし、良いことなんじゃないですか?」とのこと。

このお二人のように、ムクドリの群れに対して肯定的な思いの方もいるようだ。

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ねぐらの木の下に落ちているフン

現在ねぐらの木になっている向かいにオシャレな美容室がある。お店のオーナーの守屋さんに、ムクドリの大群がお店のイメージに悪影響を与えていないかについて話を伺うと、「昔スタッフが木の下を歩いていたらフンをかけられたことはありました。鳴き声が大きくて気になりますし、大群だから気持ち悪いですよね。また雨が降るとフンの臭いが臭いので困ります」と答えてくれた。

つづいて先ほどのタクシー乗り場に新たなタクシーが並んでいた。後藤タクシーのある運転手にフン害などについて伺うと、

「鳥の木の下に車を止めていると30分で5ヶ所はフンを落とされるね。きれいな車を使っている運転手にとっては深刻な問題だよ。だから以前、運転手仲間でバットなんかを持ち出して木の下をバンバン叩いたりしたんだ。そしたら正面の木に移ったよ。あいつら神経質だからね。鳥の大群が来始めたのはマイカルが出来てからだと思うよ。ここ10年間はひどくなった気がするよ」とのこと。

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フン害を受けた後藤タクシーの窓ガラス

今年運転手たちが団結して行った追い出し作戦は、タクシー乗り場をフン害から防ぐことに成功したようだ。

日暮れ間際、野鳥の群れ襲来す!

夕方になり、鳥の群れが押し寄せると聞いた時間が近くなる。
そこで周辺を歩きまわり、良い撮影場所を探していると、ベイタウン本牧5番街の裏側で、カラスとカラスから距離を置くハトの群れを発見。ムクドリの群れの到来の前触れ現象と関係でもあるのだろうか? ムクドリの襲来の前兆を感じさせ、緊迫感が高まる。

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手すりに乗るハトの群れ

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ハトの群れによるフン害の訴えもある

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カラス(右)から距離を置くハトの群れ(左)

午後4時30分過ぎ、太陽がビルの影に隠れはじめたころ・・・。「ギャー、ギャー」という鳴き声を上げながら10数羽の群れが上空に現れた。

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最初に現れた10数羽のムクドリの群れ

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群れは一つずつ合流し、大きくなる

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上空を旋回するムクドリの群れ

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広範囲に円を描き旋回する

するとその群れの動きに合わせるように、一つまた一つと群れが合流し、30分ほど経つと、青空が黒く染まったかの錯覚に陥るような大群となった。

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ギャーギャーと鳴き声を上げながら大きく旋回を続ける

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青空が黒く染まったかのようだ

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群れは徐々に地上に迫ってくる

上空で円を描きながら舞う群れの姿は、まるで鳥の大群が作り出す意思を持った巨大な渦巻きを連想させた。その群れが徐々に周囲に鳴き声を響かせながら地上へと迫ってくる。
多くの人にとってこの光景は異様に映るだろう。近くにいた、これを初めて見た様子の買い物客は驚きながら、地元の人に「何事ですか?」と尋ねていた。

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千羽以上はいるのだろうか?

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ねぐらの木の上に集まる群れ

「マイカル本牧周辺の鳥の群れ1」 『YouTube』

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://youtu.be/sGNglUsgUlQ

群れは30分ほど上空を旋回すると、例のベイタウン本牧5番街の北西側の、道路をまたいだ2本の木に分かれて鳥が止まった。そして止まった後も絶えず「ギャー、ギャー」と鳴き声をあげている。

木の下に行ってみると会話をしている声も聞き取れないのでは? と思われるほどの音量だ。

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ねぐらの木に取りつきはじめるムクドリの群れ

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激しい鳴き声のする木の下を通る通行人

「マイカル本牧周辺の鳥の群れ2」 『YouTube』

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://youtu.be/HFASSsyyHNI

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止まった後も忙しく枝の間を動きまわるムクドリ

実際ムクドリの大群を目の当たりにし、大群が鳴きながら徐々に地上へと近づいてくる様子は異様で、人によっては激しい不安感を覚える人もいるかもしれないと感じた。また木に止まった後も騒がしい鳴き声を上げ続け、フンの被害も衛生上問題といえるだろう。

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顔の周辺は黒っぽく、腹部は白い

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下から見ると白い腹部が目立つ

日本野鳥の会神奈川支部に話を伺う

この野鳥の群れに関して専門家に伺うことにした。
鳥の種類など詳しいことについて、当日撮影した写真を見ていただいた上で、日本野鳥の会神奈川支部・支部長の鈴木茂也さんに伺った。

夕方になると無数の鳥たちが襲来する元・マイカル本牧周辺、鳥フン被害状況は?

横浜市西区にある日本野鳥の会神奈川支部

「これはムクドリです。以前マイカル本牧の街路樹に集団ねぐらを作っているとの話を聞いていますので、毎年のことと思います。ムクドリはヒナが巣立った6月ごろから幼鳥を中心に群を作り、集団で眠るようになります。そして8月ごろには群が最大になると思われます。
集団ねぐらは春先に解散し、分散してそれぞれ番(つがい)を形成して住宅地などで営巣(えいそう)します」とのこと。

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『日本の野鳥』(山と溪谷社)

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ムクドリ。全体的に黒く、くちばしと足は黄色い

街路樹をねぐらにすることについて伺うと、「ムクドリが街路樹を選ぶのは、外敵から襲われにくいためと思われますが、40年ほど前には郊外の農家の屋敷林などを利用することが多かったようです。また、さまざまな環境の変化や人が鳥を脅かさなくなったことなどがあります。ねぐらとして安定すると急に場所を変えることはありません」とのこと。

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ムクドリの群れの様子

対策に関して伺うと、「街路樹を剪定しても近くに移動するだけで、良い対策はありません。考えられるのは、公園などにねぐらとして利用できる林を確保して誘致することですが、なかなか難しいと思います。それは夜でも明るくにぎやかな場所を好む傾向があるからで、そのような林には移動したがらないでしょう」

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鳥関係の書籍で埋まった、日本野鳥の会神奈川支部内の本棚

「ムクドリは公園の芝生や農耕地、海岸などの地上を歩きながら虫を捕食します。果樹も好きで庭の柿が熟すと集団で飛来します。野鳥の世界では人間生活をうまく利用できる種類が繁栄する傾向が強くあります。

逆に言えば、利用できない種類が減少してしまうということです。人の生活の影響を少なくして、バランスのとれた生態系を維持できるようにコントロールする必要があります。ムクドリも人の生活を利用して増えてきた種類です」と答えてくれた。

人間が自分たちに危害を加えず、天敵からも身を守れると判断し、人間を利用している賢い鳥なのだ。動物が好きな人にとっては、そんな人なつっこいムクドリに親近感を覚える人もいるかもしれない。

行政はどのような対策をしているのだろうか?

それでは横浜市はこの問題にどのような対応をしているのだろう。環境創造局公園緑地部動物園課の畠山さんに伺うと「カラスの場合は巣の周辺の人を襲う場合があるので、巣の撤去費用の一部補助やヒナの緊急回収を行っています。

しかし街路樹に群れる野鳥によるフン害などの場合は、原則として対応をしていませんが、状況に応じて公の道路等の場合は、施設管理者と協力して対策を検討します。建物に侵入する場合は、所有者に防鳥ネットで対応してもらっています」と答えてくれた。

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夏にムクドリがねぐらにしていた“正面の木”

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枝が剪定された跡がある

また、中区中土木事務所に話を伺うと、
「この件の苦情は数件来ていますが、区ではムクドリ対策は特に行っていません。街路樹の剪定は3~5年に1回は行う決まりになっているので、中央分離帯の街路樹は長いこと定期的な剪定を行ったもので、ムクドリ対策ではありません」とのこと。

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区が行った剪定は定期的なもので、ムクドリ対策ではなかった

全国的な問題となっているムクドリの群れ

インターネットなどで調べると、野鳥の大群は深刻な都市問題となっているようだ。

横浜市と中区では対策はしていないとのことだが、ほかの都市の自治体ではどのような対応をしているのだろうか? 何かこの問題を根本的に解決するヒントは得られないだろうか?

まずは茨城県つくば市、環境生活部環境保全課の印藤(いんどう)さんに話を伺った。

「こちらでは、特に常磐線沿線の駅前のタクシー運転手の方々からの苦情が多く出ました。そこで4~5年前にどこかの自治体からお借りした、ムクドリが警戒している時に出す声(忌避音)が収録されたCDを問題の木の下で流すようにしました」

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ムクドリに対して忌避音は一時的なもののようだ

「するとしばらくは木に来なくなったのですが、慣れてしまったようで、また忌避音を気にせずその木に集まるようになりました。また忌避音は、車の通行の多い場所では効果がなく、音量が大きくないと効果はないので、『忌避音がうるさい』という苦情も来ました。

そのため街路樹を剪定してネットをかぶせると木には来なくなりましたが、駅周辺のビルや看板などに移ったようです。しかしビルなどは市の管理外なので、こちらでは何も対処はできません」と答えてくれた。

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ムクドリ対策は自治体によって対処法が異なる

千葉県松戸市の対応は地元の町内会と連携を取った行動といえる。街づくり部みどりと花の課の高橋さんは、「毎年ですが、JR新松戸駅前のけやき通りに何千羽とムクドリが集まってきます。特に夏場は苦情が多いので、地元の町内会からの依頼で、忌避音や木の剪定で対処しています。

また町内会の方でも一斗缶の中でバクチクを鳴らすなど、共同で対処しています。その効果があったのか、年々ムクドリの数が減っているようです」とのこと。

東京都江戸川区の対応はほかとは異なる。土木保全課・水とみどりの課公園街路樹係の西野さんに伺った。

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東京都江戸川区は「ムクドリとの共存」を市民に訴えている

「私たちの区では2005(平成17)年くらいから東京メトロ西葛西駅前においてムクドリの苦情が増え始めました。ほかの自治体の対応を調べたところ、保護法があり退治はできず、剪定などを行っても群れが分散するだけで、根本的な対処はないという結論に至りました。

そこで『都市鳥研究会』の越川さんのアドバイスも受け、自然には逆らえないとの思いで、駅前を「ムクドリとの共生の場」にする形にしました。また問題となる駅前には人は住んでいないので、駅使用者に対して理解をしていただくようにしています。市ではフンと落ちた羽の清掃をこまめにするようにしました」

「この対応が画期的だったようで、マスコミからの取材が来ました。しかし区民の方々からは賛否があり、理解をいただいている方もいれば対応をしてほしいとの苦情もあります」と答えてくれた。

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ムクドリの群れは都会で身近に感じられる自然ともいえる

江戸川区の「自然との共存を宣言し、この姿勢を区民に理解をしてもらえるように周知に努める」という形。これは根本的な解決法がない以上は、自然保護の視点をも取り入れていると判断され、賢明な対応に思えるかもしれない。

しかし実際に苦情を訴えている人からは「理解をしてくれと訴えているだけで何の対応もしてくれない」と批判を受けることになり、不誠実な姿勢に思えるかもしれない。その意味では、千葉県松戸市の「例え一時的なものであったとしても対応する」という姿勢の方が、市民からの信頼を得られるとはいえないだろうか?

取材を終えて

ムクドリの対策に関しては根本的な解決方法はなく、どの自治体を悩ます問題のようだ。一般的な対策は剪定とネットになりそうだが、ほかの場所に移るだけで、移転先周辺にて再び問題となる可能性がある。

ほかの都市の場合は駅前が多く人が住む場所ではないが、本牧には周辺に店舗やマンションが多いため、商品にフン害があったり、鳴き声がうるさく寝られなかったり、大群で気味が悪い、と言う苦情もありうる。またタクシー運転手にも仕事上の問題点となる。

日本野鳥の会の鈴木さんの言葉をヒントにすると、苦情が少なさそうな、人のいる場所から適当に離れた場所に、人工的にムクドリの好みそうな明るい空間をつくり、そこに移転してもらえるように誘導することができれば、良い結果が得られるかもしれない。

元マイカル本牧のすぐ裏手には自然が多いため、そのような誘致場所へと誘う試みをしてはどうだろうか?

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日本野鳥の会神奈川支部による野鳥の観察会

ところで、日本野鳥の会神奈川支部では、野鳥に興味をもってもらうために、公開の探鳥会(野鳥の観察会)を行っている、という。2015年1月は鶴見川で、2月は山下公園で行う、とのこと。興味のある方は参加してみてはいかがだろうか?

―終わり―

江戸川区のホームページ
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/gairoju/nisikasaimukudorin.html

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