ロックの伝統の革新者としてのベルセバ その魅力を証明する新作『ガールズ・イン・ピースタイム・ウォント・トゥ・ダンス』レビュー

ロックの伝統の革新者としてのベルセバ その魅力を証明する新作『ガールズ・イン・ピースタイム・ウォント・トゥ・ダンス』レビュー

 スコットランド出身のロック・バンド、ベル・アンド・セバスチャンの4年ぶり9枚目の新作オリジナル・アルバムが明日1月14日(水)に日本先行でリリースされる。プロデュースをつとめたのは近年、アニマル・コレクティブの『Merriweather Post Pavilion』やディアハンター『ハルシオン・ダイジェスト』などでも名を上げた気鋭ベン・アレン。その人選からも想像されるように、新作の多くの曲はベルセバ流のサイケデリック・シンセポップとも言うべきサウンドに仕上がっている。

 実際にアルバムを聴いてみると、アルバムからの先行曲「The Party Line」を筆頭に、「Enter Sylvia Plath」や「Perfect Couples」など、アバを彷彿とさせる楽しげなディスコ/シンセポップ調の曲がまずは耳を引く。だが、聴き進めていくうちにむしろ印象に残るのは、メインの歌メロの後ろで響くコーラスや、ホーン、ストリングス、ギターといった楽器の響きやそのニュアンスの豊かさ。大胆な転調を含んだ7曲目「The Everlasting Muse」などに象徴的だが、新作にはドアーズやグレイトフル・デッドといったサイケデリック・ロックから引き継いだ要素も多分に含まれている。さらに言えば、そうしたサイケデリック・ロックの多くがジャズを大きな参照点としていたように、ポップスがジャズから引き継いだ楽器のニュアンスを生かしたサウンドの美意識がその演奏やアレンジの端々から感じられる。ベルセバの成熟と革新が同時に感じられる作品となっているのだ。

 90年代、スミスやヴェルヴェット・アンダーグラウンドの影響を受けたリリカルなインディ・バンドとしてデビューした後、03年の『ヤァ!カタストロフィ・ウェイトレス(Dear Catastrophe Waitress)』で英<ラフトレード>に移籍してからは、インディ的なスタイルに捉われない職人的なポップスを聴かせるバンドへと成長して来たベルセバ。キャリアを重ねるごとに自らのスタイルを変化させ成長を遂げてきた、非常にまっとうなロック・バンドと言えるが、初期のフラジャイルな作風を懐かしむ声もいまだ根強い。

 だが、例えばそのヴェルヴェット・アンダーグラウンドのルー・リードもまさにそうだったが、当の本人たちはインディ・ライクな雰囲気先行のサウンドに甘んじることなく、時にはロック以前のポップスからも多くを学んで、自分たちのサウンドを更新してきた。その意味で、既にベテランの領域に入ってなお、ベル・アンド・セバスチャンはポップス/ロックの革新者であり続けている。『ガールズ・イン・ピースタイム・ウォント・トゥ・ダンス』は、そのことの意義を問う快作だ。

 本作はリリースに合わせて全曲試聴をスタート。また、日本盤の初回限定特典として封入されているハガキで応募すると、STORAGE.itとコラボしたベルセバ特製ポケット付ノートが抽選で500名様に当たるキャンペーンを実施。ノートはアルバムのアートワークが全面に使用されたスペシャルな内容となっている。

◎『ガールズ・イン・ピースタイム・ウォント・トゥ・ダンス』全曲試聴
http://n.pr/1C2yNxT

◎リリース情報
『ガールズ・イン・ピースタイム・ウォント・トゥ・ダンス』
2015/01/14 RELEASE
BGJ-10229 2,561円(tax in.)
※日本先行発売、初回仕様限定盤のみ応募特典付きハガキ封入、ボーナストラック4曲、歌詞対訳(山下えりか)、ライナーノーツ(妹沢奈美)付

※STORAGE.it(ストレージ ドット イット)とは
テーマは「持ち歩き、外で使うノート」。必要なモノを入れて持ち歩くのに便利なスライドジッパー付カバーは、スマホを入れたままでも操作が可能。ノートは特殊方眼と罫線の異なるデザインを左右に配したフォーマットで、表現がよりクリエイティブに。様々な場所で生まれたアイデアがカタチになるノートです。

info::http://www.marks.jp/product/storage_it.html

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