”JAPAN”の名を背負うことを決めた彼女たちの「一歩」——ベイビーレイズ武道館ライヴ・レポート
乗り込み!乗っ取り!! アイドル「ベイビーレイズ」が、結成当初からの目標である日本武道館公演「ベイビーレイズ伝説の雷舞!-虎虎壱番-」(読み:ここいちばん)を12月18日(木)に開催した。
数年に一度の超低気圧に見舞われた日本列島だったが、彼女たちの1つのゴールを見届けようと全国各地から虎ガーさんたちが集まった。開演5分前になると、でんちゃんこと傳谷英里香による前口上と公演に関する諸注意が会場内に流れると、今か今かと待つファンの手拍子や声援も大きくなっていった。
会場が暗転し、バンドによるイントロダクションがスタートすると、舞台下から5人が飛び上がって登場! 1曲目は彼女たちの記念すべき1stシングル「ベイビーレイズ」から。イントロで観客のボルテージは一気に最高潮へ。2曲目の「ベイビーアンビシャス!」では観客の多くがオレンジのペンライトを振る光景が。そのまま「Level 1」へと続くと、間奏中の自己紹介も噛むことなくスムーズにクリアし、「ぶっちゃけRock’n はっちゃけRoll」へ。ステージの上手、下手、センター・ステージと、会場全体を走り回って観客に声を飛ばしていく。ここで1回目のMCへ。「下手に汗の水たまりを作る!」と宣言したりこピンこと大矢梨華子。でんちゃんは「みんなの笑顔が輝く最高の1日したい!」と笑顔で言うと、まなつこと林愛夏は少し感慨をもって一息を置くと、「武道館来たよー!」と大きな声で叫ぶ。なおすけこと高見奈央は、かの偉大なるパイセンの名言「ライブハウス武道館へようこそ!」の言葉を借りた。りおトンこと渡邊璃生は「りおトン占いで、みんなが今日1日ハッピーになる」と占った。大当たりの占いだね!と会場の全員が思ったことだろう。神の子、いや、虎の子、りおトン、不思議な子。
MCを挟んで「ベイビーステップ」、「充電満タン~サタデーナイト~」、「恋はパニック」を披露すると会場は暗転。モニターにサンタのコスプレをした超絶かわいいでんちゃんが映し出され、ケーキを口渡すシーンに。でんちゃんの仕草ひとつひとつに会場からは歓声が上がり、会場の照明が付くとステージのセンターにでんちゃんが。一瞬静かになった会場の中、でんちゃんが「じゃあ、最後に私も食べて」と精一杯の恥ずかしさを必死で隠しながらの萌えセリフを決め「今日家族とごはん食べられないよ~!」と今まで見たことないくらいに照れるでんちゃん。そのあまい言葉の矢は会場全員のハートに刺さり、でんちゃんへの愛が大きな歓声で武道館中に響きわたった。
そして、メドレーがスタート。演奏は全てバンド演奏、という「生感」たっぷりのステージはさらにヒート・アップ。「トゥゲザー!トゥゲザー!トゥゲザー!」では「頑張レイズ!」でみんな仲良く肩を組み合い、この季節にはかかせない「クリスマスがライバル」、「夏色パーティー」では全員でタオルを回して武道館の熱気ををかきまぜ、観客全員との一体感が加速していく。2回目のMCを挟むと、りおトンセンターによる「マジックアワー」、「ビッグスター」へと続いた。その後の3回目のMCでは「ビッグスター」の初披露であった新木場でのライヴのことや、キネマ倶楽部での1万人署名の結果発表に披露した時などを振り返り、この曲を武道館で歌えたことを感慨深く語る彼女たち。そして、観客とのコール・アンド・レスポンスを。イェーイではなく、ガオーで応え、振りの練習をみんなで踊り、覚えたところで最新シングル「虎虎タイガー」へ。虎ガーさんたちの踊りは圧巻だった。この後もアップ・テンポな「ゲート・オブ・ザ・タイガー」、「ロックオン・ダーリン」、「S.O.K」、「チャリンコアイドル」と続いたところで、一旦インター・ルード。
インター・ルードでのバンド・メンバーの紹介を終えると、冬にちなんだ真っ白な衣装でメンバーが再登場。「冬の魔法」と「涙の名前」をしっとりと歌い上げた。「普段はロックな衣装を着ることが多いのでこんな可愛い衣装を着るのは初めて」と喜ぶメンバー。まるで、まっしろな妖精が舞い降りてきたようだった。そして紙吹雪が舞う中「SMILE」を歌い終え再び場内は暗転へ。
ここでスクリーンに映し出されたのは結成から武道館への2年間の道のりをまとめたVTR。観客が皆、感慨深そうにVTRを見守ると、再び衣装をチェンジしたメンバーが登場し、この日会場限定で発売されたシングル「2years」を披露。スクリーンに映し出された歌詞には、この2年間の彼女たちの思いががギュッと凝縮され、感慨深いものがあった。この後は一気にラストに向かって「新しい世界」、「ミチシルベ」、「ベイビーレボリューション」の3曲を。ここで歌われた曲の歌詞たちがこの武道館という舞台にピッタリとはまって、この日一番のエモーショナルな空気を作り出していた。そして「TIGER SOUL」を歌い終えると、観客たちに深々とおじぎをし、本編は終了。
観客たちからの鳴り止まないアンコールを呼びかける声が会場全体から起こると、メンバーが登場。アンコール1曲目は「GET OVER NIGHT」。彼女たちのナンバーの中でもとびきりアップ・テンポでかつコール・アンド・レスポンスのあるナンバーで会場は再び沸点へ。ここで2015年のベイビーレイズについての重大発表が。春に9thシングル発売、そしてこの武道館公演のDVD発売、17都市を回る全国ツアー、夏には東阪にてイベントの開催を予告すると、会場からは大きな歓声が。しかし、でんちゃんの口から出た「武道館を満員にできなかったのが悔しい」という言葉が。それまでの楽しかった空気が一瞬で引き締まる。そして、まさかまさかの改名発表! この前日、スマイレージが「アンジェルム」への改名を発表したこともあり、ベイビーレイズも改名なの? と会場は不安な空気が流れ出す。新しいグループがモニターに映し出され、「ベイビーレイズ”JAPAN”」と発表されると、会場は笑いや安堵の声が。武道館を満員にすること、アイドルの日本一を目指すこと、紅白歌合戦に出るという次の目標の為の改名であると述べると、虎ガーさんからは惜しみない歓声と拍手がわきあがった。次へのステップへの意思を込めて「ハッピーエンドレス」、「JUMP」を歌うと、この日最後のMCへ。これからもずっと一緒にいてほしいなどのメッセージをメンバーが一人ずつ虎ガーさんたちに伝え、最後の最後に、この日の1曲目でもあり、「ベイビーレイズ始まりのうた」でもある「ベイビーレイズ」を再び披露。ステージを去る前には、メンバー全員でマイクを使わずに「ありがとうございましたー!!!」とありったけの声で虎ガーさんに感謝の挨拶をして、武道館のステージを去った。
ベイビーレイズが武道館という結成当時からの目標を達成するまでに与えられた時間は2年。この2年が長く感じられたというまなつ。簡単には言い表すことのできない苦労や努力や運、りおトンのダンスだってそうだ。5人全員、汗も涙も流れたのは間違いない。今日の武道館もまだまだ一歩だ。これはゴールではない。印象的だったのは、メンバーがこの日、誰ひとり涙を流すことなく、最後まで元気と笑顔で凛とした姿で歌い踊り続けたのは、もう次へのステップを見据えていたからに違いない。次なる目標は満員の武道館、紅白出場、そして日本一のアイドルになるために”JAPAN”の名を背負うことを決めた彼女たちの”一歩”だったこの日。もはや、伸びしろしかない、まだまだ上に駆け上がっていく彼女たちをこれからも応援し続けよう。(text by 高木理太)
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