ジバニャンとドラえもんが共演!? 女コドモ向けかと思いきやなかなかゴアな『神さまの言うとおり』[映画レビュー]
三池崇史監督が好きです。『オーディション』や『十三人の刺客』なんて超傑作を作りながら、『ヤッターマン』や『忍たま乱太郎』も引き受けるそのバイタリティ、『愛と誠』やら『藁の楯』と言った駄……意欲作も作っちゃうこの「三池さんってどっちなの!?」感が大好きなんです。
そんな三池監督の最新公開作が『神さまの言うとおり』。2014年公開作品は『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』『喰女 クイメ』につづいて3本目という相変わらずのハイペースですが、筆者個人的な感想を言わせていただければ本作が一番三池さんらしかったのでは無いかと思いました。
『神さまの言うとおり』ストーリー
高校生の高畑瞬は、退屈な日常にうんざりしていたが、ある日突然、教室にダルマが出現し、命をかけた授業の開始を告げる。ダルマや招き猫、コケシ、シロクマ、マトリョーシカといった物たちが不気味に動き出し、彼らが出す課題をクリアできなかった者には、容赦のない死が待ち受けていた。
主演が今をときめく福士蒼汰さん、ヒロインが東宝シンデレラガールの山崎紘菜さん、他にも染谷将太さん、神木隆之介さんと豪華若手俳優(とはいえ染谷さんと神木さんはもうベテランの貫禄すらありますが)が揃った事で若者へのリーチはバッチリだったのか、筆者が訪れた平日午前中の映画館には大学生くらいの男女が多く訪れていました。筆者は原作未読組。簡単なあらすじだけを頭に入れ、「バトルロワイヤルに設定が似てる」なんていう噂も知りつつ、このキャスティングの感じからすると『リアル鬼ごっこくらい』のなんか恐そ〜だけど、実際観たらそうでも無くて、でも中高生はキャーキャー言いそうな、気軽な気持ちで観れる映画なのかなと思ってたんです。
でも、結構ちゃんとグロかった!
ポスターや予告編でもある通り「ダルマさんが転んだ」や「かごめかごめ」といった、日本古来の遊びが本作では死のゲームに発展するのですが、この「ダルマさんが転んだ」がなかなかの迫力。映画冒頭数分で「おっこりゃよくR-15で通ったね」と感心する様なゴアっぷりなのです。高校生がバッタバッタと死んでいき、学校が血に染まる様子は同じく三池監督作品『悪の教典』さながら。
ただ、ゴアシーンが大迫力なのは最初の「ダルマさんが転んだ」まで。その後は割とライトな感じでゲームが進んでいきます。サバイバルゲームのルールも残虐無慈悲な様で「あ、こんなんでOKなの?」と甘さを感じる部分もアリ、そこらへんはやはり中高生をメインターゲットに考えられた映画だからなのかと感じたりもします。
でも、筆者が特に良いなと思ったのが、ダルマ、招き猫など謎の化け物たちのクオリティの高さ。映画全体を通してVFXの完成度が高かったなぁと思うのです(だからこそラストの展開でなぜここだけこんなに貧相なんだろう? と思う部分もアリ)。
そして、ダルマさんはトミーズ雅さん、こけし達はダチョウ倶楽部が声を担当していたりするのですが、特筆すべきは声優の水田わさびさんと小桜エツコさんの共演! そう、ドラえもんと『妖怪ウォッチ』のジバニャンの夢の共演です! 『ダンガンロンパ』シリーズしかり、なぜ普段は可愛いキャラから出ている声が、悪いキャラクターの声に変わるとこんなにときめくのでしょう。この2人が声を担当する化け物が出てきてから、ずっとニヤニヤしっぱなしでした。そんな耳での楽しみ方もアリかもしれませんよ。
各映画サイトのユーザーレビューでは「ストーリーが浅い」「カタルシスを感じない」など、厳しい意見もある様ですが、筆者的には大満足。ダルマさん、招き猫、こけし達の不気味さとポップさは外国の方々にめっちゃウケそう! 「Oh!Miike!」ってね!
『神さまの言うとおり』
http://darumasanga.com/
(C)2014「神さまの言うとおり」製作委員会
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