少年の成長を12年かけて撮影した『6才のボクが、大人になるまで。』途中で嫌にならなかったの? 主演に直撃!

6才のボクが、大人になるまで。

『スクール・オブ・ロック』『ビフォア・ミッドナイト』のリチャード・リンクレイター監督が、ひとりの少年の6歳から18歳までの成長と家族の軌跡を描いた『6才のボクが、大人になるまで。』(原題:Boyhood)。14日より公開となり、各映画レビューサイトやTwitterなどで大きな話題となっています。

本作は主人公の少年メイソンを中心に、母親、父親、姉役の俳優が12年という月日を共にし、実際に成長し、年をとる過程を収めたという未だかつて無い驚異的な映画です。離れて暮らす大好きな父との交流、母の再婚、義父の暴力、初恋、初めてのパーティにお酒……。誰しもが経験してきた子供から大人への変化や戸惑いや希望を実に自然に描いていて、165分という長尺を全く感じさせない見事な物語。観た後に誰かと感想を話したいたくなる事間違い無しです!

今回はメイソンを演じたエラー・コルトレーンに電話インタビューを敢行。撮影で一番楽しかった事は? 途中でイヤになったりしなかったの? などなど色々とお話を伺いました。

6才のボクが、大人になるまで。

―オーディションを受けた時の事を覚えていますか?印象的な思い出があれば教えてください。

エラー・コルトレーン:覚えてるよ! リチャードに初めて会った時の事をちゃんと覚えているし、オーディションといってもとてもカジュアルなものだったんだ。どちらかと言うと会話をする、という感じで、その会話を通して僕らがどんな役者なのかをリチャードが知るための機会だった。僕の両親にもちゃんと紹介したし、僕が当時描いていた絵とか作ったアートなんかを見せた事をよく覚えてる。それでリチャードは僕を気に入って採用してくれたんだ。でも、まだ僕が小さかった頃の撮影の記憶はあんまりないんだよね。

―リンクレイター監督の印象を教えてください。

エラー・コルトレーン:(いい意味で)複雑な人間だよ(笑)! そしてすごい人だ。ほとんど全ての物事のコントロールがきちんと出来ているし、ビジョンがとても明確なんだ。自分が作りたいものが何なのかがはっきり見えているし、全てにおいてマジシャンのような役割をしているね。元々素晴らしいアーティストでありながら、常に進化し続けている人でもある。すごい事だけど、彼は12年前の時点でこの映画をどんな作品にしたいのか、もうイメージが出来ていたと思うんだ。彼は共同作業を大切にするから、時の流れや色んな状況の変化で変わっていくみんなの意見を聞いたり、色々話し合って、それをクリエイティブとして吸収し、変わっていく事も出来る人なんだよ。とてもカジュアルな、最高の人だ!

―監督とはどんな話をしましたか? 演技にはアドリブも?

エラー・コルトレーン:クリエイティブな人だから、僕ら役者への演出に関してもとても密に進めたよ。ワークショップのような感じでキャラクターを作っていくんだ。役者と共に話し合いながら、セリフはどうだとか、ここってこうだよねとか、準備の間にみんなで話しあいながら作り上げた。いつ撮影してたんだろうって思うくらい淀みなく常にキャラクター作りをしていた現場で、その日の撮影が終わった後もみんなでキャラクター作りを続けていたよ。その場で思いついた意見も取り入れていたけど、一旦それを脚本に落とし込んでからその通りに撮っているから、撮影現場ではアドリブはなかったんだ。準備段階にはそういう事があったから、雰囲気的にはアドリブのような見え方をしてるんじゃないかな。

―撮影で一番楽しかった事はなんですか?

エラー・コルトレーン:自分自身を表現するというアウトレットでもあったから、自分が成長しながら感じている事をどうやって表現していくのかを考えるのがすごく楽しかった。メイソンというフィクションのキャラクターを通してそれを表現する事ができたし、リチャードとイーサンとパトリシアといった素晴らしいアーティストたちが僕のクリエイティビティを導いてくれた。それはすごく素敵な事だし、一番のチャレンジでもあったんだ。どうやってみんなとコラボレーションすればいいのかとか、メイソンというキャラクターを性格付けるためにどんなアプローチをしたらいいのかとか、そういった事を考えなければいけなかったから。

僕ら(エラーとメイソン)は似ている部分もいっぱいあるし、共感できる部分もあるけれど、やっぱりフィクションのキャラクターだから全部が自分というわけでもないし、メイソンには監督自身も少し含まれてる。僕らみんなの子供時代が表現されているキャラクターだと思うから、やっぱり違和感のある部分と、似てるなと思う部分の両方があるんだ。それぞれ状況が違っても、エモーショナルな旅を通して成長していく。それはみんな同じで、誰にでも言えることだ。

―長い時間をかけて撮られた作品ですが、途中で嫌になることはなかったのでしょうか?

エラー・コルトレーン:嫌になる事はなかったな。もちろん15才くらいの時は思春期だったし、作品に夢中じゃなかった時もあったかもしれないけど、撮影は常にすごく楽しかったし、辞めたいと思った事は一度もなかった。すごくポジティブな環境の中で学ぶことが多かったからじゃないかと思う。

―完成した映画を観ていかがでしたか?

エラー・コルトレーン:自分の幼少期がスクリーン上で写し出されているのを見ながら、ほとんど何も感じなかった。だけど、エンドロールが流れた瞬間、洪水のように涙が溢れたよ。

―自分が映画を観た後、メイソンと自分の人生がリンクしていると感じましたか?

エラー・コルトレーン:もちろんリンクしているよ!僕たちはクロスオーバーしているから、メイソンが経験した事は例え状況が違ったり、起きている事が違ったとしても、エモーショナルな意味でみんな同じように感じている事だから、そういう所に共感した。

―今後の目標など、これからどんな人生を歩んで行きたいですか?

エラー・コルトレーン:今は学校に行きたいな。映画とか絵画とか、なんでもいいんだけど、アートを作り続けていきたい。自分の作ったアートを分かち合いたいって強く思っているから、それを形にしていきたいと思ってる。そのやり方はまだ考えてるところなんだ。

『6才のボクが、大人になるまで。』
http://6sainoboku.jp/

(C)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved.

  1. HOME
  2. エンタメ
  3. 少年の成長を12年かけて撮影した『6才のボクが、大人になるまで。』途中で嫌にならなかったの? 主演に直撃!

藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。