『美女と野獣』監督に聞く実写映画化へのこだわり「ハリウッドでは描けないフランス文化を取り入れた」
醜い野獣と、身も心も美しい娘ベルが織り成すファンタジーの傑作『美女と野獣』が新たな映画作品となって、現在公開中。なぜ王子は野獣に身を落としたのか? 彼は一体どれほどの罪を犯し、そこにはどんな秘密が隠されているのか? おとぎ話でありながら大人をも魅了し続ける傑作が、より切なく豪華に生まれ変わり、大ヒットを記録しています。
本作でベルを演じるのはカンヌ国際映画祭史上初の主演女優へのパルム・ドールに輝き、スピルバーグも絶賛したフランスNO.1の若手女優レア・セドゥ。野獣を演じるのはフランスを代表するセクシー男優ヴァンサン・カッセル。監督を務めるのはもちろんフランス生まれのクリストフ・ガンズ。日本では『サイレントヒル』(2006)の監督として知られている彼らしい、ちょっぴりダークな映像美で観る人を魅了します。
なぜ今実写化なのか? 監督が描きたかった“美女と野獣”とは。色々とお話を伺ってきました。
―元はフランスのおとぎ話である美女と野獣を、今実写映画化しようとした理由は何でしょうか?
クリストフ・ガンズ:フランスの著名な古典文学には「レ・ミゼラブル」や「ノートルダムの鐘」といったものがありますが、これまではどれもハリウッドで映画化されてきました。この映画のプロデューサーや私は、フランス語でフランスの会社で、フランス文学を映画化したいという思いがあったんですね。アメリカで映画化されると、全世界には広がりますけど、細かなフランスの文化までは上手く表現出来ていないという不満もありました。
―今回、その願望が叶って今回フランスのスタッフや女優さんによって実写化となりましたが、シナリオに加えた監督らしさというのはどういった部分になるでしょうか?
クリストフ・ガンズ:自然との共存など「美女と野獣」が元から持っていたテーマを深く掘り下げて作りました。200ページ以上ある厚い原作には、ギリシャ神話からの影響が強いエピソードが出て来ます。それを読み解いていって、古の、自然が神であったり、神の様に崇められていたという事を映画の中で表現しました。
―フランス文学に明るく無い私からすると、「美女と野獣」と聞くと、どうしてもディズニーアニメーションの『美女と野獣』を思い浮かべてしまいます。プリンセスのベルも、アニメーションのベルとはキャラクターが異なり、より意志の強い女性となっていますね。
クリストフ・ガンズ:脚本を書いている時に「ジェーン・エアー」との共通点が多いなと感じました。自分なりのベル像を考えた時に「真実を求めて、自分で考えて行動する女性」にしたいと。野獣に対しても、相手に恐ろしさや逆に魅力を感じているという所、それでいて「彼には私しかいない」と分かっている所、そんな所が「ジェーン・エアー」のジェーンから影響を受けた部分です。
―レア・セドゥさんが、少女っぽいのに挑発的だったり、表情が豊かでとても魅力的でした。
クリストフ・ガンズ:レア・セドゥとヴァンサン・カッセルについては、最初からこの2人をイメージして脚本を書いていました。レア・セドゥは今回初めて一緒に仕事をしたのですが、これまで彼女が出演している作品を観ていて、とても意志の強さを感じていたのでベルにピッタリだと。
彼女は少女らしさと大人らしさをシーンによって、自分で変える事の出来る女優さんで撮影中には何度も驚かされました。特に驚いたのは、ダンスのシーンです。野獣を見つめるだけで、感情を強く伝えているというか、自分で脚本を書いていながら「このシーンはこんなに印象的だったのか」と気付かされました。
―野獣のデザインもこれまで観た事の無い“野獣像”というか、王子様らしさを残した佇まいもあり、猫っぽい部分もあり、非常に特徴的でしたね。
クリストフ・ガンズ:クリーチャーデザインを担当するスタッフにお願いしたのは「野獣だけど、ロックスターの様なグラマラスさを残して欲しい」という事でした。また、「消え行く世界を象徴する」ものとして、パリのいたる所にあるライオンのモニュメントや像を意識しました。猫っぽいと思われるのはその要素ですね。
―野獣のキャラクターデザインから、フランスの文化まで知れるというのは、まさにフランスで作られた映画ならではですね。映像美を楽しみながら、ベルと野獣のラブロマンスにうっとりする。秋の夜長にピッタリの作品だと思います。どうもありがとうございました。
『美女と野獣』ストーリー
バラを盗み、命を差し出せと言われた父の身代わりに、野獣の城に囚われた美しい娘ベル。死を覚悟するも、野獣はディナーを共にすること以外、何も強要しない。やがてベルは、野獣の恐ろしい姿の下にある、もう一つの姿に気付き始める。かつてその城で何があったのか、野獣が犯した罪とは?いま、真実の愛が、隠された秘密を解き明かしていく……。
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(C)2014 ESKWAD – PATHÉ PRODUCTION – TF1 FILMS PRODUCTION ACHTE / NEUNTE / ZWÖLFTE / ACHTZEHNTE BABELSBERG FILM GMBH – 120 FILMS
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