LTE音声通話『au VoLTE』開始と対応スマートフォン2機種を発表 au冬モデル発表会レポート
KDDIは10月27日、『au 発表会 2014 Winter』を開催。LTE音声通話『au VoLTE』の開始と、対応スマートフォン2機種を発表しました。
音声×データで価値を提供するauのVoLTE
発表会にはKDDI代表取締役社長の田中孝司氏が登壇。夏モデル発表会と同様、3キャリアで『iPhone』が発売されネットワークがLTE化したキャリアの「同質性」の中、「期待を超える価値」を提供する立ち位置をアピール。「ネットワーク」「端末」「サービス」で価値を提供するものとして12月初旬からサービスを開始する『au VoLTE』を発表します。
一般にVoLTEの特徴として音声通話の高音質化、発着信の高速化、音声通話中のアプリなどによるデータ通信の高速化といったものが挙げられます。『au VoLTE』は、この日スライドで「高音質通話だけで終わらせては面白くない」と発表されたように、音声とデータ通信を組み合わせた付加価値を提案しているのが特徴です。
音声通話の周波数帯域は従来の200Hz~3.4kHzから50Hz~7kHzと広くなり、高音域をクリアに表現可能に。『au VoLTE』対応端末は国内の音声通話に3G回線を使わない仕様になるため、発着信の高速化と同時に常時、高音質通話を維持します。
音声通話用にウィジェット型のユーザーインタフェースを採用。「通常受話」「スピーカー受話」「終話」の着信動作を選択後はウィジェットを最小化することにより、通話の間もウェブ閲覧やメールの送受信、地図アプリの使用などデータ通信を妨げない“コンカレント通話”の機能を提供します。
画面の同期や多人数通話など5種類のサービスを提供
音声とデータ通信を組み合わせたサービスとして、5種類のサービスを発表。『画面シンク』は、通話中に2者の画面を同期させるサービスで、同じウェブサイトの画面を見ながら通話するなどの操作が可能になります。
『手書きシンク』は通話中、写真などに手書きで絵や文字を入力して共有できるサービス。
『位置シンク』は、地図上で通話中の2者の現在位置を表示して確認できるサービス。待ち合わせに役立ちそうです。
『カメラシンク』は、カメラで撮影した映像を共有できるサービス。
『ボイスパーティー』は、最大30人による同時通話を実現するサービス。これらの利用には双方に『au VoLTE』対応端末が必要で、12月初旬に提供を開始する『ボイスパーティー』を除く4サービスは2105年2月の提供開始を予定。月額300円の『ボイスパーティー』以外は無償でサービスを提供します。
『au VoLTE』対応スマートフォン2機種を発表
『au VoLTE』は12月初旬に発売予定の2機種のスマートフォン向けにサービスを提供し、今後発売される機種に対応を広げていきます。1機種目として発表されたのはLG電子製の『isai VL』。夏モデルとして発売された『isai FL』の後継機種で、5.5インチWQHD(2560×1440)ディスプレー、2.5GHzクアッドコアCPU、3000mAhバッテリー、1320万画素カメラといったスペックはそのままですが、3GBのRAMを搭載します。
『isai VL LGV31』主な仕様
サイズ:約W76×H145×D10.5mm
重量:約154g
4G LTE受信最大150Mbps:対応
キャリアアグリゲーション:対応
WiMAX 2+:対応
OS:Android 4.4
CPU:MSM8974AC 2.5GHzクアッドコア
ディスプレー:約5.5インチ AH-IPS 2560×1440 WQHD
カメラ:約1320万画素 CMOS
インカメラ:約130万画素 CMOS
外部メモリー:microSDXC 最大128GB
ROM:約32GB
RAM:約3GB
バッテリー容量:3000mAh
テザリング:対応(8台)
Wi-Fi:IEEE802.11 a/b/g/n/ac
Bluetooth:Ver4.0
フルセグ:対応
ワンセグ:対応
赤外線:対応
おサイフケータイ:対応
NFC:対応
防水:対応
防じん:対応
カラー:アクア、ブラック、ピンクゴールド
続いて発表されたのは京セラの『URBANO』。こちらも夏モデルの『URBANO L03』からスペックを継承し、5インチのフルHDディスプレー、2.3GHzのクアッドコアCPU、3000mAhバッテリー、約1300万画素カメラを搭載。耐衝撃性能や3コの物理ボタンも引き継がれています。ディスプレーが振動して騒音時にも通話が聞き取りやすい『スマートソニックレシーバー』はVoLTEの高音質通話に合わせてチューニングが施されているとのこと。
『URBANO V01』主な仕様
サイズ:約W70×H141×D9.9mm
重量:約155g
4G LTE受信最大150Mbps:対応
キャリアアグリゲーション:対応
WiMAX 2+:対応
OS:Android 4.4
CPU:MSM8974AB 2.3GHzクアッドコア
ディスプレー:約5.0インチ TFT 1920×1080 FHD
カメラ:約1300万画素 CMOS
インカメラ:約97万画素 CMOS
外部メモリー:microSDXC 最大128GB
ROM:約16GB
RAM:約2GB
バッテリー容量:3000mAh
テザリング:対応(10台)
Wi-Fi:IEEE802.11 a/b/g/n/ac
Bluetooth:Ver4.0
フルセグ:非対応
ワンセグ:対応
赤外線:対応
おサイフケータイ:対応
NFC:対応
防水:対応
防じん:対応
カラー:ロイヤルブルー、プラチナホワイト、フォレストグリーン
発表会場では、プレスリリースのみで先行発表されて発売直後の『Xperia Z3』、『GALAXY Note Edge』も出展。残念ながらこの2機種はアップデートによる『au VoLTE』への対応はしないとのこと。
“LTE維持率”をアピール WiMAX2+は220Mbpsの運用開始へ
通話に3G回線を使わずVoLTEのみで運用する『au VoLTE』対応端末とサービスの利用には、当然LTEのカバー率が求められます。「最近はなかなか3Gサインを見ないのでは」と田中氏がアピールするように、auのLTE人口カバー率は99%を超えていることを発表しました。
データ通信中に3Gに移行せずに通信を完了する“LTE維持率”という指標も発表し、2014年9月には99.9%を達成しているとのこと。VoLTEの開始に向けて「なぜLTEのエリアカバレッジにこだわるのか分かっていただけるのでは」と自信を見せます。
UQコミュニケーションズが提供するWiMAX 2+は夏モデル以降のスマートフォンが対応していますが、こちらの高速化についても発表がありました。現在は20MHzの帯域で提供している下り110MbpsのWiMAX2+を、来春には20MHz幅の2波で提供することにより、下り220Mbpsの速度を実現していくとのこと。
先行するドコモに続いてVoLTEの提供を発表したKDDI。データ通信と組み合わせて付加価値を持たせたユニークなサービスには特徴がありますが、利用できるのは対応端末同士のみ。2機種からスタートというのが少し寂しいところですが、発表会では“松岡店長”としてCMに出演する松岡修造さんによる“始球式”も実施され、華々しいスタートを切りました。キャリアの「同質性」を超える価値がユーザーにどう評価されるのか、今後が注目されます。
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。