消費税、上げるデメリットと見送るリスク

消費税10%に?安倍首相の判断に注目

消費税、上げるデメリットと見送るリスク

2014年4月1日から消費税率は5%から8%に引き上げられましたが、2015年10月1日からは、さらに10%に引き上げられる予定です。引き上げに際しては、「経済状況などを勘案して判断」することになっていて、安倍首相は2014年度の第2四半期(7月〜9月)の経済指標を見て年内に判断すると明言しています。

2014年度の第1四半期(4月~6月)のGDP確定値は、対前年比マイナス7.1%(年率換算)と発表されており、安倍首相の判断が注目されるところです。

消費増税で企業活動への影響はマイナスにならざるを得ない

「景気回復がどの程度強いのか」「消費税率引き上げで景気の腰折れはないのか」「消費税率の引き上げを先送りするリスクはどうなのか」など、有識者の間でも様々な議論が交わされています。消費増税が企業活動に与える影響についても様々なアンケートが行われていますが、おおむね否定的、もしくは悪影響との回答が多いようです。悪影響の理由としては、税負担が重くなることに加え、増税分を販売価格へ転嫁できないことが挙げられています。小規模企業ほど販売価格への転嫁が困難のようです。また、設備投資については増税前に前倒しで実施する傾向が高くなる一方で、将来への不安から設備投資を見送る会社も、わずかながら存在するようです。

消費税率の引き上げで最終消費者の消費は停滞しますから、企業活動への影響はマイナスにならざるを得ないでしょう。8%への引き上げ時と同様、増税前は駆け込み需要の影響を受ける一方で、増税後には反動減が想定されます。レジや会計ソフトの入れ替え、値札の変更、残業代などコスト増加要因は数多くあるでしょうし、仕入れ金額の高騰も企業活動へのマイナス要因です。

税率を据え置いたがために国債の暴落や金利上昇を招く可能性も

しかしながら、1000兆円を超える膨大な国債の残高や、少子高齢化に伴う社会保障財源増しを放置することは、対外的な国の信用の低下や国民の将来に対する不安感を増幅するであろうことは想像に難くありません。消費税率を据え置いたがために、国債の暴落や金利上昇、将来への不安から生じる消費の落ち込みが企業の経済活動を停滞、もしくは悪化させるというシナリオも十分に考えられるのです。

景気の回復を待って税率を上げるという主張もありますが、引き伸ばしてきた結果が今日の財政悪化の原因でもあることは疑いようのない事実でもあります。消費税率の引き上げの議論は、企業活動にとってのマイナスの側面がややもすると強調されがちですが、引き上げないことによるリスクや、将来に対する不安を回避するプラスの側面があることも考える必要があります。

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