7年連続学力日本一 秋田県式「授業メソッド」とは?
全国学力テストをご存知でしょうか。文部科学省が2007年度から年に1回実施している学力調査試験で、対象は小学6年生と中学3年生。教科は算数・数学と国語で、基礎知識を問うA問題と知識の活用力を問うB問題からなります。今年4月に行われた全国学力テストでは、日本全国の20,352の小学校と10,649の中学校から合計200万人以上の小中学生が参加しました。
8月末に公表された結果によると小学生では、国語Aと国語Bともに、全国で最も正答率が高かったのは秋田県でした。同様に算数A、算数Bでも秋田県が正答率トップとなりました。また、中学校の結果でも、国語Aで秋田県が1位となり、数学A・Bは福井県に次ぐ2位。実はテストを開始した07年以来、秋田県は7年連続で全国トップクラスとなっています。
なぜ、ここまで秋田県の学力は高いのでしょうか。
書籍『秋田県式「授業の達人」10の心得』の中にそのヒントがあります。同書に登場する、文部科学省初等中等教育局の橋田裕氏(元秋田県教育庁義務教育課長)は、こう言います。
「秋田県の先生方の授業のよさの一つとして取り上げたいのは、授業における見通し(めあて)と振り返りの実践でしょう。元々、算数・数学科や理科等では、見通し・振り返りを重視していましたが、現行の学習指導要領の総則で、各教科等の指導に当たって、計画的に取り入れるよう工夫することが示されました」(同書より)
秋田県では、授業の冒頭に、学習課題(めあて)をしっかり決めるのです。子どもたちもそれを理解したまま授業に入ります。めあてを生徒と一緒に作り上げることで、一時間一時間、自分たちは「何を学ぶ」のかを生徒がしっかり意識することができます。そして、最後には学習の振り返りを行います。この「めあてと振り返り」の繰り返しが、生徒の学習意欲を向上させているのです。
「このように見通し、振り返りがないと、活発に話合いや学習活動が行われているように見えて、実は子ども自身が何を学んだのかがわかっていなかったりもします。秋田県では、子ども自身がめあてを持って学習し、学び合い、振り返るということが、毎時間、蓄積されていくので、それが大きな差になっていきます。秋田県の授業づくりにおいて最も重要なところはここだと思いますし、それがデータ的にも裏付けられているということです」(同書より)
やみくも練習問題を解かせるのではなく、自分はこれから「何を学ぶのか」をしっかり説明し、理解させてから問題に挑んだほうが、子どもにとって学びを吸収しやすいということでしょう。
7年連続で学力日本一を誇る秋田県で実践されているメソッド。気になる方は本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。
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