Facebook No.2が語る「女性の躍進に必要なこと」~シェリル・サンドバーグ~
シェリル・サンドバーグ/Facebook COO(最高執行責任者)
【何をした人?】ベストセラー『リーンイン』の著者
【何ですごいの?】女性の社会進出におけるオピニオン・リーダー
【今は何をしているの?】Facebookのナンバー2
FacebookのCOO(最高執行責任者)シェリル・サンドバーグは、2児の母でありながら、IT業界で屈指の成功を収めた女性である。その経験から、彼女は世界中の女性に社会進出を促すエールを送り続けている。そのメッセージとは?
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■女性リーダーが増えない理由とは?
サンドバーグは、2012年に米TIME誌の「世界でもっとも影響力のある100人」に選ばれた。その選出理由は、Facebookという巨大企業のナンバー2を務めているからだけではない。彼女が、女性の社会進出に関するオピニオン・リーダーとして精力的な発言を行ってきたからでもある。
実際、2010年にTEDに出演したサンドバーグは、「男女平等な社会を実現するためには、女性リーダーが増えなければならない」として、こう説いている。
「今ここにいる皆さんはラッキーです。なぜか。今の時代、女性は自由にキャリアをデザインできるからです。私たちの母や祖母の生きた時代とは違います。そして今日、ここにいる私たちには全員市民権があります。今日現在、市民権のない女性も世界には存在するのです。でもどんなに私たちがラッキーでも、未解決の深刻な問題はまだあります。その問題とはこれです。世界中でいかなる業界においても、業界トップに立った女性がまだいないこと」(TEDより)
もちろん、そこには”育児と仕事の両立”という困難が立ちはだかる。だが、サンドバーグによると、女性リーダーがなかなか増えない最大の理由は、”女性が自分を過小評価してしまう”ことにあるという。
■女性は男性より「自己評価が低い」傾向がある
例えば、数値化できるテストの結果について予想を聞くと、男性は実際のスコアより高い点数を答えるのに対して、女性は実際のスコアより低い点数を答える傾向がある。さらに、新卒で仕事に就いた人々を追跡した研究によれば、57%の男性が初任給の交渉をしたのに対し、女性ではたった7%に過ぎなかったそうだ。
自己評価の低さが女性の社会進出を妨げている原因ならば、「もっと積極的に自分を信じて行動すべきだ」とアドバイスすることが正しいのだろうか? サンドバーグは現実がそんなに簡単ではないことも分かっている。
そもそも”女性”にまつわるイメージは、長い時間をかけて社会全体に染み付いたものであり、それを覆そうとすれば、男性が同じことをした場合以上の反発を受けてしまう。
そのような性別による評価の違いを研究するため、2002年にコロンビア大学の教授がある研究を行った。それは、某ベンチャーキャピタリストをモデルにした内容で、経歴をまったく変えずに「ハワード」という男性的な名前と、「ハイディ」という女性的な名前でプロフィールを紹介した際に人々が抱くイメージの違いを調査したものだ。
研究に参加した人々は、全員が華麗な経歴を持つ「ハワード」に対して好印象を抱いた。一緒に働いてみたいと思い、プライベートでも人付き合いが良さそうだと答えたのだ。しかし、まったく同じ経歴の「ハイディ」では……、
「ところが『ハイディ』は、少しずれている、ちょっと口うるさ過ぎる、一緒に働きたいかは分からない、そんな反応が返ってきたのです。これが、私が言っている問題なのです」(同)
リーダーを目指す女性たちは、常にこうした反応と闘っていかなければならない。それは非常に消耗する行いであり、同じことをする男性以上の労力を要する。しかし、そうした声に負けずに前に出ないと、世界には女性リーダーは増えず、女性の労働環境の改善は遅々として進まない。
■世界の女性たちよ、もっと”前のめりに”!
だから、サンドバーグは力強く何度も繰り返す。
「私たちは私たちの娘に、同僚の女性に、そして何より自分自身に私たちは優秀だ、私たちは成功できる、私たちは『テーブル』に座ることができると言い聞かせなければならないのです。そしてそこには犠牲が伴うのだということも。そしてさらに、その犠牲は男性がまったく払う必要のないものであるということも」(同)
この「テーブルに座る」という表現は、女性が会議の席でテーブルに着こうとせず、たとえ能力があっても、控えめに後ろのほうで見ていたがる傾向を指している。
そこでサンドバーグは女性たちに、「もっと前のめりになれ!」とエールを送る。昨年に発表した著書『リーンイン』(日本語で”身を乗り出す””前のめりになる”の意)が世界中でベストセラーになったのも、その言葉に共感する人々が多いことを表している。
同書でサンドバーグは、「将来には”女性リーダー”はなくなることでしょう。そこには”リーダー”だけがいるのです」と語る。その日が来るまで、彼女は自分自身が誰よりも”前のめり”である女性リーダーとして、発言を続けていく。
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