全通学路に防犯カメラ、死角はないのか
大阪府箕面市で全20校の通学路に750台の防犯カメラを設置
防犯対策の一つとして、防犯カメラの技術進歩はめざましいものがあります。また、容疑者検挙にも役立ち、あらためて効果を実感している人も多くいるでしょう。
防犯カメラは、犯罪者が嫌う「人の目」を補完する道具として着目され、金融機関をはじめ商業施設などを中心に普及してきました。昨今では、繁華街や街頭に設置することで検挙率向上につながるとして、警視庁ほか各都道府県警察も関心を寄せています。
そのような中、大阪府箕面市では、市内の公立小中学校全20校の通学路に750台の防犯カメラを設置する具体的な計画が発表されました。東京都ではすでに実行されています。
では、一見して防犯効果が期待できそうな防犯カメラですが、その効果はどれほどなのでしょうか?
検挙率の向上と防犯カメラが一対になって防犯効果が得られる
犯罪の発生には、3つの要素が必要です。「犯行を企てる者」「標的」「機会」の3要素(ルーティンアクティビティ理論)です。犯行を企てる者に犯行の機会を与えないことが、防犯対策となります。
警察による検挙率の向上は、犯行を企てる者への威嚇となり、機会を減らす効果があります。しかし、防犯対策としての防犯カメラは、残念なことに一定の効果は得られても、過信することによって重大な事件を容認する結果を生むこともありえます。つまり、検挙率の向上と防犯カメラが一対になって、初めて大きな防犯効果が得られているのです。例えば、繁華街に設置された防犯カメラも、有志による防犯パトロールなどと相まって、その効果が得られています。
防犯カメラは「人の目」を補完する道具であって、代わりを務めるものではありません。
子どもたち自身の防犯意識と見守る大人の目が、犯罪を未然に防ぐ
防犯カメラは、事実を捉えて記録する機能を有していても、その事実を私たちや警察に知らせるものではありません。欲求を抑えきれない犯罪者には無力な場合が少なくないのです。
防犯対策として最も必要なのは「犯罪を未然に防ぐ」「犯罪行為を許さない」という意識と、その意思表示です。現在、多くの自治体で子どもたちの登下校見守りなど「防犯ボランティア」の活躍が報じられることも増えてきました。このような行動が「犯罪を未然に防ぐ」「犯罪行為を許さない」という意思表示となり、子どもたちへの防犯教育が意識の向上につながります。
意思表示と防犯意識の向上、足りない部分を補う防犯カメラが揃って、効果を発揮します。今後、子どもたちを犯罪から守るために、通学路へ防犯カメラを設置する計画が増えていくことでしょう。しかし、防犯カメラをはじめ、防犯ブザーやGPS付携帯などは補完する道具にすぎず、子どもたちを守る道具ではありません。子どもたちを守るのは、子どもたち自身の防犯意識と、それを見守る私たち大人の目であることを忘れないでください。
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