さくらももこと大滝詠一の「ある約束」

さくらももこと大滝詠一の「ある約束」

 国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』の作者、さくらももこさん。さくらさんは今年デビュー30周年を迎えました。それを記念して生まれた雑誌が『おめでとう』。もちろん編集長はさくらももこさんです。

『ちびまる子ちゃん』の描き下ろし新作「まる子、ハワイに憧れるの巻」を始め、さくらさんのふるさと大特集として静岡の魅力を伝える特集、金魚アートやベビーマッサージ等さくらさんの興味のある事柄の紹介、そしてさくらさんが国内外様々な土地に取材に行った様子等が収録され、30周年記念にふさわしい盛り沢山な内容となっています。

 例えばその一つとして、大瀧詠一さんとのエピソードを語った「ナイアガラよ永遠に!!」という記事。

 

 さくらさんのアニメ作品、『ちびまる子ちゃん』や『コジコジ』のオープニングやエンディングには、電気グルーヴや小山田圭吾さんのほか、昨年末亡くなられた大瀧詠一さんも起用されたことがあります。さくらさんは大瀧さんの長年のファンだったそうで、その熱い思いと共に、自身のアニメへの楽曲を依頼する過程での意外なエピソードが綴られています。

 さくらさんが大瀧さんにちびまる子ちゃんのテーマソングを作ってくれるようダメ元で依頼したところ、大瀧さんからは「もし今年、ジャイアンツが優勝したら、ちびまる子ちゃんのテーマソングを作ります」との返事が来たのだそうです。さくらさんはその時のことを振り返って言います。

「大瀧さんは大の長嶋ファンなのだ。長嶋さんが一度ジャイアンツを去り、そして復帰してまたジャイアンツの監督になるという事はジョン・レノンが生き返ってビートルズが再結成するのと同じくらいあり得ない事なのにそれが起こったのだからすごいのだ、と熱弁していた姿を思い出す。それで私も、いつもの年よりも必死でジャイアンツを応援した。あんなに白熱して野球を観た事はない。どうか勝ちますようにと神に祈りながら観た。祈りが通じ、ジャイアンツが優勝した。するとすぐに大瀧さんからFAXが届き、『約束通り、まる子ちゃんのテーマソングを作ります』と書かれていた」

 テーマソングの裏に潜む、さくらさんと大瀧さんとの知られざるエピソード。本書には、漫画やアニメからだけでは伝わらない、そうした裏側の話も知ることが出来ます。さくらさんの興味のある様々な事柄が濃厚に凝縮された、30周年記念を飾る一冊となっています。

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