従来型の広告やメディアでは人は動かない
レリゴー現象――『アナと雪の女王』の上映から数ヶ月たった現在でも、街のいたるところで流れ続ける『Let It Go』は、子どもから大人まで一大ムーブメントを巻き起こしました。しかし、何故ここまで人々の心を動かし、大きな流行を生み出したのでしょうか。
戦略PRの第一人者である本田哲也さんと、数々の有名メディアに携わり、現在、LINE株式会社で上級執行役員を務める田端信太郎さん。多くの広告に関わる現場を渡り歩いてきた両氏の共著『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』では、「レリゴー現象」に見られるような、大勢の人が動いたその要因について、自らの体験をもとに追求していきます。
まず、現在のメディアの状況について田端さんは、「テレビや新聞・雑誌といったマスメディアに取り上げられることや、大量の出費を出して多くの広告枠を買うこと、それ自体によって人を動かせると思ったら、それはもはや過去の考え方だ」と述べ、様々なテクノロジーの発達によってメディアの置かれた環境は大きく変わったのだと言います。
かつての広告の打ち出し方では通用しなくなった現在。ではそのような時代において、人を動かすにはどうしたいいのでしょうか。
本書では、1000人、1万人、10万人、100万人、1000万人、1億人、10億人とそれぞれスケールを拡大していき、その規模にあわせて人を動かすにはどうしたら良いかが、わかりやすい事例を組み込みながら、詳細に語られていきます。
例えば冒頭で挙げた『アナと雪の女王』は1000万人が動いた事例だとし、その成功の要因の一つは、広告主が全てをコントロールしようとせずに、「『3割ぐらい』の身を捨てる(=社会や消費者に委ねる)くらいのスタンス」を取ったことにあると分析します。
「『アナと雪の女王』の成功も、ある意味ディズニーが思い切って『身を捨てた』ことが大きな要因だろう。(中略)日本のみならず世界中の一般人が勝手気ままに『Let It Go』の動画をあげまくったが、それをコントロールしようとはしなかった。むしろそれを黙認し(戦略的にかどうかは不明だが)、結果的にそのこと自体がムーブメントを増幅させた。まさに、『Let It Go(ありのままに)』にすることがプラスにはたらいたのだ」(本書より)
従来の広告やメディアによって人は動かなくなった一方で、「レリゴー現象」のように大勢の人が動くケースもあるということ。その背景にある要因や仕組みを解き明かしていくことで、これからの広告やメディアのあり方を見出せるのかもしれません。
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