「とりあえず日本酒」がもたらす健康への効能
日本酒には、100種類以上の微量栄養素が含まれている
長い歴史を持ち、日本人に愛されてきた日本酒。今、各地で「日本酒乾杯条例」が制定され、その文化が見直されようとしています。今回は、その日本酒の健康効果、いわゆる「百薬の長」たる所以について紹介します。
醸造酒である日本酒には、有機酸、糖分、アミノ酸、ビタミンなど微量栄養素が100種類以上も含まれています。これらの中に、病気予防や健康維持に効用のある物質が含まれていることが期待され、その研究結果が次々と発表されています。例えば、がんの増殖を抑制する物質、肝臓に効果があるグルタチオン、血圧の上昇を抑えるペプチド、血栓を防ぐと考えられる成分や、健忘症の予防成分など、様々な健康成分が日本酒や酒粕、清酒酵母や麹の中から見つかっています。
ただ、健康的にお酒を楽しみ、これらの効用を享受するためには「食べながら飲む」ということが大切です。何も食べないでお酒を飲むと、胃から小腸へアルコールが素早く移行し、小腸からの吸収が速くなり、肝臓を経由して脳へ到達して早く酔ってしまいます。また、アルコールが胃壁を荒らしてしまうこともあります。もう一つ大切なことは「適量飲酒」です。前述のような効用を享受し、いつまでも健康に美味しくお酒を楽しむためにも、これらのことは心がけましょう。
善玉コレステロールを増やし、血小板機能を抑える効果も
さて、「日本酒がもたらす健康への効能」は様々ですが、今回は二つのことについて詳しく紹介します。
■適量飲酒で心臓病予防?
心臓を取り巻く冠状動脈が、動脈硬化などで詰まることが原因の虚血性心疾患は、欧米で死因1位、日本でも2位の生活習慣病です。では、適量のお酒が虚血性心疾患を予防するのはなぜでしょうか。
理由①:善玉コレステロールを増加させる作用がある
コレステロールは、細胞やホルモンなどの成分となる大切な物質ですが、過剰になり血管にたまると動脈硬化の原因となります。このコレステロールには善玉と悪玉があり、血管にたまるのは悪玉の方です。善玉コレステロールは、血管内の余分なコレステロールを掃除してくれます。お酒を飲むと、この善玉の方が増えると言われており、動脈硬化の予防になるというわけです。
理由②:血栓を溶かしやすくする作用があること
お酒を飲むと、ウロキナーゼという物質が増えて血小板機能が抑えられ、血が固まりにくくなる傾向があります。さらには、血栓を溶かす作用も見つかっています。
お酒を飲むことで気持ちが解放され、ストレス解消にもつながる
■ストレスを感じたら、ちょいと一杯
「ストレスで胃が痛む」、そんな経験はありませんか?胃は、自律神経の支配を受ける心の動きに敏感な臓器です。普段は、内臓の働きを活発にする副交感神経と、内臓の働きを抑える交感神経が、うまくバランスを取って胃の働きを調節しています。しかし、ストレスなどで自律神経が狂ってくると、胃液の分泌が過剰になったり、胃壁を保護する胃粘膜が減ったりして、胃炎や胃潰瘍が起こるのです。
私たちの生活では、毎日「本音」と「建前」が喧嘩をし、ストレスもそこから生じます。お酒を飲むと「建前」がマヒするので、ストレスが解消されるのです。お酒のストレス解消作用は、胃の健康を守るのにも効果的なわけです。
ストレスを感じたら「ちょっと一杯」。そのくらいの気持ちの余裕が大切なのかしれません。
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