節水・節約・非常用にも。 雨水タンクでエコライフ
雨の多い季節は憂鬱……という人も多いでしょう。でもそんな季節にこそ「恵みの雨」を実感できる雨水タンクに注目してみませんか。降ってくる雨を「無料」で生活水として利用できてお得そうな雨水タンク。その魅力と注意点を探ってみました。
エコロジー性に加え、防災という観点でも注目を集める
雨水タンクとは、屋根に降った雨が雨どいをつたって排水される途中で取水して一時的に貯めておく容器のこと。雨水貯留槽、雨水貯留タンクとも呼ばれます。
既存の雨どいをカットして集水器(雨どいから取水するための部材)を取り付け、タンクとホースを結ぶだけなので、素人でも簡単に取り付けられるそうです。
素材は主に、比較的安価でバリエーションが多い樹脂製、耐久性が高い金属製、和風庭園にも調和する陶器製、ガーデニング愛好家に人気の、ウイスキー樽を用いた木製などがあります。
主な用途は次の通り。
●花壇、庭木、家庭菜園の水やり
→水道水とは違い、雨水は塩素が含まれていないので、植物にやさしい。
●暑気払いの打ち水
→気化熱が周囲を涼しくする。
●車、アウトドア用品、ペット用品、庭まわりの洗浄
→水道代を気にせず使える。
●トイレの洗浄水
→水道代が節約になる場合がある。
●断水時の非常用生活用水として利用
→非常時には、飲料水は比較的確保しやすいが、トイレの洗浄など雑用水は確保が難しくなるため、あると安心。
雨水タンクのメリットと意義について、雨水タンクの品揃えが豊富な「エコショップ節水村」店長の日高規晃さんは、「雨水タンクは、ガーデニングの水やりなど様々な用途に雨を使えて水道代が節約できる節水エコ用品ですが、それだけでなく、東日本大震災以降、地震などの自然災害時の断水対策・防災用品として有効であると注目を集めている製品です。また、行政によっては、非常用にも使えること、下水道や河川へ流れる雨水を減らすのに役立つことなどから、助成金を出しているところもあります」と教えてくれました。
節水しても、水道代の大幅節約にはならない?
雨水タンクの設置によって節水効果や水道代の節約効果は期待しても良いのか、気になるところです。
「雨水の使用量」=「水道水の節水量」でもあるのですが、当然、家庭ごとに用途・使用頻度は異なり、使用量はまちまちです。
用途別の使用量の目安は次の通り。
●小型タンク(~150リットル)
→プランターの水やり、雑用水など
●中型タンク(151~300リットル)
→家庭菜園、花壇の水やり、車、アウトドア用品、ペット用品、庭回りの洗浄など
●大型タンク(301リットル~)
→トイレの洗浄水ほか、生活全般の雑用水など
ちなみに、日高さんによると「2~3mm程度の小雨でも一晩降れば、中型タンクが概ね満タンになります」とのこと。
しかし、現在、水道料金はとても安価なため、雨水タンク本体の購入金額の元を取るには大変な時間がかかります(安価なタイプでも1~3年程度)。数日~数週間使える200リットルタンクの雨水の場合でも、水道料金に換算すると数十円~数百円ほど。
「雨水で節約できる水道代」は、意外と安いことが分かります。
ただ、自治体によっては雨水タンク設置の助成制度があり、設置工事費の半額分などの助成を受けられれば、比較的早く元は取れそうです(上限は1万数千円から3万円など自治体によって異なる)。
より多くの節水を考えた場合、トイレに雨水を活用する方法もあります。トイレの洗浄水は家庭の水道使用量の約3割(※)と、意外なほど使用量が多いためです。
しかし、自治体によってはトイレへの雨水使用が不可のところもあれば、トイレ分の下水道使用料が別途掛かる場合も。さらに、接続工事が必要なので工事費も発生します。
節水はできても、お金の節約に結びつけるのは少しハードルが高そうです。
※:東京都水道局「平成18年度一般家庭水使用目的別実態調査」より
雨の日が楽しみになる。そんな自然の恵みに感謝
コスト面では大きなメリットは感じられないかもしれませんが、日高さんによると、気持ちの上でのメリットを得られるのが、とても大きいそうです。
「雨水タンクを設置することで水のありがたみを再認識することができ、『水道の流しっぱなしがなくなった上に、電気もマメに消すようになった』など省エネ意識が高まり、結果的に水道料金や電気料金が大幅に安くなったというお客様のお話をよく聞きます。『憂鬱だった雨が楽しみになった』『雨がタンクに貯まる音が好き』など、自然をより身近に感じられるようにもなります。そういう意味では、雨水タンクはエコロジーな暮らしのきっかけになるアイテムですね」
雨水タンクのことを知るにつれて、実は日本の水道料金はそんなにも安いのかと改めて気付かされますが、雨水タンクを導入する際には、エコノミー(水道代節約)意識より、「自然の恵みを暮らしに取り入れる」「環境を壊さない」といったエコロジーの意識で臨むのが正解だと感じました。
雨水タンクの活用で、天からの恵みを日々享受する暮らし、良いかもしれません。
●エコショップ節水村
HP:http://www.nissei-web.co.jp/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/07/11/65907/
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