日本の平和主義が終わる 憲法9条の死文化と軍事国家 徴兵制へ(弁護士 猪野 亨)

日本の平和主義が終わる 憲法9条の死文化と軍事国家 徴兵制へ(弁護士 猪野 亨)

今回は猪野亨さんのブログ『弁護士 猪野 亨のブログ』からご寄稿いただきました。

日本の平和主義が終わる 憲法9条の死文化と軍事国家 徴兵制へ(弁護士 猪野 亨)

自民党、公明党の両与党が集団的自衛権の行使を容認で合意し、閣議決定を行うという暴挙を行いました。
このような閣議決定が憲法違反であることは論を待ちません。
有権解釈権があるのは最高裁であって内閣ではありません。内閣の行為を憲法違反と判断する権限が最高裁(及び下級裁判所)には付与されています。
自分が解釈できるんだとする安倍総理は根本的に間違っていますし、従来の憲法の枠組みを壊すこと自体、立憲主義を自ら踏みにじっていることは安倍自民党と公明党は憲法の破壊者なのです。

このような人たちが平和主義を口にする資格はありません。
安倍総理らが口にする平和主義は、軍事力という力で反抗するものを押さえつけることによって達成するものであって、日本国憲法が希求する平和とは似ても似つかぬものです。

安倍総理や公明党にはこれがぴったりです。

戦争(いくさ)する身は かねてから
捨てる 覚悟で いるものを
鳴いて くれるな 草の虫
東洋平和の ためならば
なんの命が 惜しかろう
(露営の歌)

日本の平和主義は終焉を迎えることになります。
安倍総理は解釈改憲によってもイラク戦争のような戦争に参加することはないなどと声高に叫んでいます。
しかし、それを正面から信用する人は、よほどおめでたい思考しかできない人です。
安倍総理の言う歯止めとは、「オレが歯止めだ!」と絶叫しているにすぎません。要は、「オレがいいといえばいいんだ!」の論調ですから、このような歯止め論を信用するという方が問題があるのです。
そもそも集団的自衛権の行使の解禁の目的はイラク戦争に参加できなかったことに対する「教訓」からではありませんか。

「経済界の利益のための集団安全保障に集団的自衛権の行使の「解禁」」 2014年06月23日 『弁護士 猪野 亨のブログ』
http://inotoru.blog.fc2.com/blog-entry-1088.html

イラク戦争に参加するもしないも時の政権の判断にすぎず憲法上の制約がないという大前提に立っている安倍自民党や公明党の元では最初から歯止めなど存在しません。
歯止めがあるなどと主張する人たちを信用してはいけません。悪意をもって日本を戦争ができる国家に導こうとする人たちであり、あるいはその提灯持ちです。
それからもう1つ、大嘘つきだということです。

さあ自衛隊のみなさん、どうしますか。集団的自衛権の行使解禁により外国での戦争が始まります。
本土防衛だったら、実際には戦闘行為など起きません。日本に侵攻してくる外国の軍隊など存在し得ないからです。
中国や北朝鮮が攻めてきたらどうするんだなんて言っている人たちは大嘘つです。
そんな戦闘などあり得ないのです
しかし、「イラク戦争」参戦だったらあります。それが解釈改憲の目的なのですから、第二の「イラク戦争」が起きれば米国のポチになって参戦しないはずがありません。
そのときは戦闘地域への派兵ですから、戦死する可能性が飛躍的に高まります。

さあ、ここでもこの歌がぴったりです。

雲山萬里をかけめぐり 敵を破つたをじさんが 今日は無言で帰られた

無言の勇士のがいせんに 梅のかをりが身にしみる みんなは無言でおじぎした

み国の使命にぼくたちも やがて働く日が来たら をじさんあなたが手本です
(無言の凱旋)

カネ持ちのために死ね!」というのはいつの時代も同じです。
戦前は「財閥」、戦後は「財界」、言葉が代わっただけで、この連中のカネ儲けのために国民に死を強いるのが集団的自衛権の行使です。
カネのあるやつが最前線に送られることはありません。

この集団的自衛権の行使解禁によって自衛隊の体質も大きく変わっていくことでよう。戦闘地域に派兵されることが大前提となりますから、今までのように運転免許が欲しいとか種々の資格を取るための安易な志願などできなくなります。
防衛大学校も同じで、そうなってくると、ゴリゴリの軍人精神の塊のような、そうあの田母神氏のような人ばかりが自衛隊幹部を構成するようになり、好戦的な軍隊が出来上がるのです。
下級軍人については、志願で足りなければ言わずと知れた徴兵制。
まさに安倍総理や右翼勢力などが切望するのはこの徴兵制です。大和民族が一丸となって国家のために心身を捧げる、それを実現する手段が徴兵制なのです。
「近代化された軍隊に徴兵制は必要ないんだ!」なんていう大ウソに欺されてはいけません。現に自民党自身が徴兵制は否定していないではないですか。

イラク戦争の結末もよく見ておきましょう。アフガニスタンもそうですが、イラクでは結局、米軍は混乱を収拾することができず、撤退。混乱だけをもたらし、イラクの人たちに不幸だけをもたらしました。
イラクでは中国が権益を拡大しているようですが、しかし、全く安全が確保されていない中で、その権益は揺らいでいます。
力で安全も権益も勝ち取ることはできません。
海外派兵の目的は、軍事力をもって日本の権益を守ろうとするものであり、時代錯誤も甚だしいのです。

それにしてもこのような日本の軍国主義化を阻止できない日本という国は一体、どこまで劣化してしまったのでしょうか。

執筆: この記事は猪野亨さんのブログ『弁護士 猪野 亨のブログ』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年07月03日時点のものです。

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