働く前から知っておきたい労働法の基本
賃金や労働時間が記された「労働条件通知文書」は必ず確認を
「ブラック企業」という言葉が世間に広がっています。新しく社会人になる人や転職を考えている人は、これから自分がエントリーしようとする会社が「ブラック」なのかどうかは非常に関心があるところでしょう。入社してから後悔しないためには、労働についての知識を前もって持つことが必要です。今回は、労働に関して、「超基本的だけど意外と知られていない内容」について紹介します。
■労働契約とは
会社で働くということは、会社と労働者が働くことについて「契約」を結ぶことになります。労働者は会社で働き、会社はその対価である賃金を支払うという「労働契約」です。労働契約は、労働者と会社が賃金や労働時間などの労働条件に互いに納得した上で結ぶのが前提です。
◆意外と実行されていない労働条件の通知
前述した「労働条件」は、会社が労働者を採用する場合には、すべての労働者に伝えなければなりません。正社員だけでなく、パートタイマーやアルバイトも含みます。この伝える文書のことを「労働条件通知書」といいます。
働く前に言われていた労働条件と、実際に働いてみた労働条件が違ってトラブルになってしまうことがあります。そのため、労働条件通知書が示されたら必ずしっかりと内容を確認しましょう。
労使トラブルが発生しやすいのが「労働時間」
続いて、労働時間や休日について解説します。
■労働時間について
労働時間とは働く時間です。労働基準法で「1日8時間、1週間に40時間を超えて働かせてはならない」と定められています。会社がこの時間を超えて労働させる場合には、労働基準法第36条の規定に基づく「36協定」という労使協定を結んで、しかも「割増賃金」を払う必要があります。
労働時間については、労使トラブルが発生しやすいところです。その原因は、「会社がきちんと労働時間を把握していない」ということがほとんどなので、出勤簿やタイムカードなどがない会社は要注意です。
■休憩について
労働基準法では、労働時間が1日6時間を超えるときは45分以上、1日8時間を超えるときは60分以上の休憩を与えなければならないことになっています。
■休日について
休日は1週間に1日、または4週間に4日与えなくてはならないことになっています。これを「法定休日」といい、法定休日に働いたときは割増賃金が発生します。
残業に対する「割増賃金」を支払わない会社は要注意
ここまでに、「割増賃金」という言葉が何回か出てきました。労働者を残業(時間外労働)させた場合には、会社は必ず割増賃金を支払わなくてはなりません。しかし、中には「評価に響く」などの理由で、残業をきちんと申請せず、いわゆる「サービス残業」をする人もいます。また、出勤簿やタイムカードは正しく記入や打刻されているのに会社が残業とみなさず、割増賃金が支払われないこともあります。このようなサービス残業は決して許されることではありません。
労働者が「気持ちよく働ける会社」「頑張ろうと思える会社」が、今後も継続していく会社だと思います。そのためには、労使が一体となる必要があります。組織率の低下などから、「労働条件は労働組合に任せておけばよい」という時代でもなくなってきました。労働者個人が、労働について最低限の知識を持つことが、会社の繁栄、ひいては個別の労働条件の向上につながるものと考えます。
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