声優のギャラについて考えてみよう~その3(たかみゆきひさ)

声優のギャラについて考えてみよう~その3(たかみゆきひさ)

今回はたかみゆきひささんのブログ『shadowcube』からご寄稿いただきました。

声優のギャラについて考えてみよう~その3(たかみゆきひさ)

【これから声優を目指す人、また、目指してる人向けのブログシリーズ】

前回*1、前々回*2はこれから声優を目指す人向けにギャランティの考え方の色々を書いてみました。

*1:「声優のギャラについて考えてみよう~その1」 2014年06月08日 『shadowcube』
http://ameblo.jp/shadowcube/entry-11873259296.html

*2:「声優のギャラについて考えてみよう~その2」 2014年06月08日 『shadowcube』
http://ameblo.jp/shadowcube/entry-11874040190.html

読んでいない方はぜひ目を通してから以下をどうぞ。

今回はいずれは独立したいと考えてる人向け。
ということでテーマは

独立してみよう!

要するに所属事務所を離れ、一人でやっていくということです。
さて、声優として独立した時、ざっくりと以下のパターンが考えられる。

・家族や配偶者などがスタッフをやってくれて自宅もしくは自宅以外が事務所
・マネージャーを雇って個人事務所として運営
・マネージャーを雇わず、ひとりでがんばる

独立する際にまず考えなければならないのは「連絡先」。
フリーになると連絡先は個人になってしまう。
矢面に立たされる案件に直面した時、個人であることはリスクが高い。
その他いろいろと個人でやる場合にはリスクを考えないといけません。
ギャラの交渉も自分です。
取引先によっては個人とは取引しないというところもあります。
そんなことで、できれば個人事務所(法人)を設立することをお勧めします。
これをいわゆる「法人成り」といいます。
法人になると税金や社会的信用、優遇措置、その他メリットが大きいです。
反面デメリットもありますが、自分のフリーから法人成りをした経験から考えると、メリットの方がとても大きいと感じます。

法人にした時にめんどくさいこととして、様々な事務的なことがあります。
そういうところに費用をかける(外注するもしくはスタッフを雇う)か自力でやるかはいろいろと検討する必要があります。

お金のこととか、営業とか自分に対してのマネージメントとかそういう面倒なことは当然フリーになったら全部自分でやらなければなりませんから、法人になろうが、個人事業者のままであろうが変わりがありません。

多くの場合、マネージャーなどスタッフを雇って演技に専念したほうが得策と考えます。
(全部自分でできちゃう人、自分でやれる余力と時間がある人は別ね)

となると、親類などが無償でやってくれる場合を除いて、費用が発生します。
その費用は前回計算したものと殆ど変わりません。
前回計算した事務所の毎月のランニングコストは

マネージャー 20万
事務所家賃+光熱費 10万
交通費と雑費 5万
合計 35万

です。
前回同様これは割とカツカツです。
営業費などまるで入っていません。
(前回同様、税金や保険料などは複雑になるので無視していますから、実際はもっと出て行きます)
とは言え、前回と違うのは個人事務所なので、社長はあなたです!

そしてここにあなたの報酬も入れなければなりません。
役員報酬はほぼ固定で、月ごとに任意にころころと変えることはできません。
いくらにします?

そんなのいきなり言われても計算できないよねぇ。

じゃ、逆算してみましょう。
8:2の取り分的考え方の場合、35万のランニングを出すには175万の売上が必要です。
あ、その前にあなたはほぼ確実に毎月175万以上稼げますか?
そうでない場合は今ここで書いているような独立をするのはちょっと考え直しましょう。
でないと、あなたの会社は倒れる可能性があります。
また、法人になったときに個人の収入より稼げるビジョンがあったら法人にしましょう。

さて、毎月175万の売上が確保できるのであれば、上記のような事務所が構えられます!
もっと優雅な事務所経営をしたい場合はもっと稼いでください。
計算は簡単、ランニングコストの5倍売り上げればいいのです。
ランニングコストが100万なら毎月500万売り上げて下さい。
それが厳しい場合は8:2の考え方を改めなければなりません。

さて、そんなことで先ほどの場合、月のランニングコストを差し引いた残額は140万円です。
このうちいくら会社に残していくらを自分の役員報酬にするかです。
ここは考えどころです。
自分の会社ですから、自分に決裁権がある限りは自由に会社のお金を使えます。

あなたがタレントとして活動するための費用は服も勉強や資料としての書籍や映画鑑賞その他演技のための娯楽鑑賞などほぼ全てが会社の費用として落ちるでしょう。
それを会社の費用につけるか、その分お金をもらって個人で買うか。
そのあたりは人によって考え方があると思うので一概には言えませんが、どちらも自分がある程度自由に使えるお金ということになります。
とは言え、将来のことを考えて有効に使うことをお勧めします。
個人的には必要経費はある程度会社もちにしてしまった方がよいと思います。
そんなことで自分の役員報酬を決める訳ですが、0~140万までの間で任意で設定しましょう。
0円でも良いし、140万円でもいいです。
あなたの会社がきちんとやりくりできるように考えましょう。
それが経営です。

まぁ、実際はもっと細かい計算になりますが、独立をするなら割とそういう事をきちんと考えて独立することをお勧めします。
もしくはきちんと考えてくれるパートナーを見つけましょう。

いずれにしても事業主ですから、声優になって何年もやっていくということは前回、前々回、そして今回のような事をいずれは考えなければいけないということです。
声優というのは基本的に通常のタレントよりは大人として見られる傾向にあります。
(最近は大人が減ってるかも知れませんが)
大人ですから、こういうことをいろいろと考えないとです。
ここでは割と一般論で書いていますので、自分に置き換えて、考えてみましょう。
まぁ、現実的には、独立するのは考え直した方がいいというパターンの方が多いのですが。
独立してなおやっていける人っていうのはよほどの人ということになります。

独立したいならそういう声優になりましょう!

さて、そんなことを考えるよりは声優としての勉強に精を出した方がよい!という結論になりましたか?
ただ、アタマの片隅には置いておきましょうか。
いつかは役立つかもです。

さて、次回は声優のギャラに関連してマネージメントについて考察してみたいと思います。

関連記事:
「声優のギャラについて考えてみよう~その1」 2014年06月13日 『ガジェット通信』
https://getnews.jp/archives/597894

「声優のギャラについて考えてみよう~その2」 2014年06月14日 『ガジェット通信』
https://getnews.jp/archives/597924

執筆:この記事はたかみゆきひささんのブログ「shadowcube」からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年06月13日時点のものです。

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