脳波からユーザーの興味を分析!?“ニューロマーケティング”を大日本印刷が実用化へ
脳科学がマーケティングの世界でも使われる時代の到来です。大日本印刷(DNP)は、東京農工大学の満倉研究室(准教授:満倉靖恵)との共同研究により、ヘアバンドタイプの脳波計を使って、測定した脳波から生活者の興味関心の度合いを分析、効果的なPR制作物の作成を支援するサービスを4月12日よりスタートします。
近年、脳科学をマーケティングに活用する“ニューロマーケティング”に関心が集まっています。でも、コストが高額であることや、脳波測定のために多くの電極を装着するなど調査対象者に対する負荷が大きく、採用は一部の分野に限られていました。
DNPは、東京農工大学とともに手軽に装着できるヘアバンドタイプの脳波計を応用して、被験者の感性を分析する技術を共同で研究・開発。カタログやパンフレットなどに対する、生活者評価を分析するニューロマーケティングを実用化し、低価格での提供を実現しました。
実際の調査では、生活者がヘアバンドタイプの脳波計を装着。雑誌、カタログ、パンフレットなどの冊子を閲覧してもらいながら脳波を測定します。冊子の見開きページに貼られたマーカーをカメラが撮影し、各ページの閲覧時間のデータを取得。脳波の測定値データと一体化することで、興味関心度の高さと推移を分析します。
対応する冊子のページ数は200ページまでが目安。オプションとして、被験者の眼球の動きをセンサで検知するアイトラッキング調査を追加して、「各ページのどの部分に興味があるか」ということまで、詳細に把握できるそうです。DNPでは、この分析結果を、制作物の企画、デザイン、コピーにも反映させた制作物の作成支援も行う予定です。
「低価格」とはいえ、基本メニューの価格は調査対象者が6名の場合で95万円から。詳細なデータが得られるとはいえ、「6名」のデータからマーケティングを考えるとなると、対象者選びが難しそうですね。「対象者の選定収集・謝礼費用が不要の場合は80万円から」ですので、差額で考えれば対象者選定のコストと謝礼費用は15万円。調査対象者への謝礼は、一人当たり1~2万円というところでしょうか。脳波データを提供する/される価格として、この金額が高いのか安いのかは微妙な気がします。
2010年6月までは、トライアルキャンペーンとして65万円から(対象者の選定収集・謝礼費用が不要の場合は50万円から)。DNPは、本サービスおよび関連する制作物もあわせて「2012年度で10億円」の売上を見込んでいます。脳科学を応用したマーケティング手法を用いて作られた雑誌やパンフレットって、掲載されている商品が欲しくてたまらなくなったりするのでしょうか? どんなモノが世の中に出てくるのか、ちょっと楽しみですね。
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京都在住の編集・ライター。ガジェット通信では、GoogleとSNS、新製品などを担当していましたが、今は「書店・ブックカフェが選ぶ一冊」京都編を取材執筆中。
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