年金の完全理解と大改革(7) トリックに加担した人たち(中部大学教授 武田邦彦)
今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
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年金の完全理解と大改革(7) トリックに加担した人たち(中部大学教授 武田邦彦)
最初から年金の崩壊が予定され、予定通りに国民の年金の大半を使い、いよいよ国民を誤魔化す方法も厚生省の中で十分に議論されたに相違ない。なにしろ、事実がそのままばれれば厚生省の解体にもつながるような重大なことだからだ。作戦は2つ、
1. 年金自体の問題ではなく、崩壊したのは社会保険庁の責任と言うことにして、国民の批判を社会保険庁に集中する。社会保険庁長官を更迭し、さらに新しい年金機関を作ってリニューアルする。
2. 年金を計画した時には「理想的なピラミッド型人口分布」だったのに、その後、予想できないような少子化と高齢化が進み、年金が維持できなかったという言換えをする。「若者が支えるのが年金」と言い換えて少子化対策を始める。
1)は主としてマスコミと後の厚生労働大臣になった長妻さんや民主党などが結果的に担当したように見える。まさか故意ではないとは思うけれど、民主党がもともと厚生省の尻拭いを知っていたかどうかまだはっきりしていない。
2)は主として専門家が担当した。1930年ごろのピラミッド型人口分布(下図)と2030年ごろの長方形の人口分布(下図)を比較して、「ピラミッド型なら若い人が多いから年金は良いけれど、長方形なら高齢者が多いので若者の負担が増える」と言った。
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もともと、日本の年金の基本は「積み立て型」だったので、この説明はまったくだましの手口に近いものだが、このような説明をした人の多くが年金の専門家だった。
またこのころから年金の複雑な仕組みを盛んに報道し始めたが、その仕組みがあまりにも複雑なので、多くの人は説明の途中で疲れて、本質的に年金が成立するのか、自分の年金は積み立てたもののうち、どのぐらいが返ってくるのかわからないままになった。
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支給年齢も「高齢者が増えたから」という理由で65歳になったが、実は人口分布というのは将来も正確に推定できるものなので、年金が始まった1960年代には未来の人口分布が長方形であることは予想されていた。それは2030年の推定が2000年に確定していたことからもわかる。
いずれにしても、日本のマスコミ、年金専門家、厚労省関係の官僚の言換えによって、社会保険庁がつぶれて日本年金機構ができ、少子化対策が始まって年金と高齢化の関係が確定した。
150兆円の年金のうち、90兆円を使い込んだ厚生省は御用学者も動員してこの危機を乗り切ったのである。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年03月03日時点のものです。
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