編集部だより 2008年2月6日(金曜日)版

お互いが順当な利益を得て、お互いが幸せな環境や関係を築く。幸せという言葉はいかにもな感じはするが、とにかく誰もが損をしない、“ババ抜き” というゲームが存在しない環境や関係を作ることが、何よりも大切だ。

たとえば原稿を書いて生きているライターが単行本を出すということは、非常に名誉なことであり、印税や原稿料が入るチャンスでもある。だから単行本が出ればライターはもうかるし嬉しい。本が出て嬉しい。ただ、考えがソコ止まりでは先がない。

単行本が出たから(出るから)嬉しいで終わるのではなく、出すからにはライター自身が売れるよう努力しなくてはならないし、出版社も儲けさせなくてはならない。本は出たが、売れなくて出版社が損をした。そうならないための努力が必要だ。この記事を読んでくださっている若きライターも多くいるかと思うが、そういう部分から考えて原稿を書き、単行本を出すことを考えていってほしい。

……と、数冊の売れない本を出し、出版社にご迷惑をおかけした張本人からの言葉である。出版社に責任があるかもしれない。しかし今は、単行本化の話があっても「これは売れないですよ」と言い切れる自分になっている。しかしそれを言うのは、若いうちはなかなか難しいものだ。

お互いが順当な利益という題でいえば、フェアトレードもそのひとつだ。発展途上国の貧しい地域に暮らす人々を雇用し、日本企業も現地人もお互いが不自由なく暮らせるほどの利益を得られるようにするシステムである。しかし、単に海外で人々を雇用するだけではフェアトレードといわない。お互いが順当な利益という点において、現地価格からしても安すぎる賃金で働いている人たちが多くいるからだ。

フェアトレードは、あくまでフェアでなくてはならず、労働力を買うというよりも、現地に対して貢献することを前提にしなくてはならない。もちろんお互いの利益を守りつつと言うことも前提としてあるので、ボランティアのように企業がお金を出すだけではだめである。

そういう点においては、たとえば大手ハンバーガーチェーンのウェンディーズはフェアトレードに関して一歩前進している。通常より多めに賃金を支払い、設備投資をし、コーヒー豆を栽培させているのだ。それにより現地人の貧困をなくし、さらなる発展を願ってフェアトレードに取り組んでいる。だから少しだけウェンディーズのコーヒーは高いのだが、それを知るとついつい飲んでしまう。

不況だといわれている昨今だが、こんなときだからこそ、お互いが順当な利益を得て生活できる環境を作らなくてはならない。それはまず、自分の考え方から変えていくことが重要と思うのだが、いかがだろうか。自分はこれで儲かる。しかし相手はどうか? まずはそこからだ。
 
 
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