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一億総ヤクザ

yakuza

自分たちの普通から外れているからといって、それを押しつけることはないと思う。自分らしい服装をして、いい結果を出して、いい笑顔を見せてくれたらそれでいい。窮屈な檻(おり)の中よりつきぬけた青空がいい。今回は深町秋生さんのブログ『深町秋生のベテラン日記』からご寄稿いただきました。

一億総ヤクザ
もうつくづくなんというかアナーキストでノーフューチャーな気分だ。安全ピンをシャツや耳にいっぱい刺して、発煙筒をもくもくと焚(た)きながら街を練り歩きたい。アンチクライスト。ロンドンコーリング。女王陛下。

朝青龍の引退に続き、スノボ選手の服装問題(べつに問題でもなんでもないことを、さも問題であるかのように扱う世の中がすくいがたい病気だと思う)などを見ると、怒る前におそろしくなってくる。

この恐怖感はべつに今に始まったことじゃなく、成人式に参加した数万人のうちに含まれるごくごくわずかなお調子者のために社会面を数段ぶち抜きで報じた新聞(私の故郷の地元紙は社会面の3分の2ぐらい使って、酔っぱらってガラスを割ったバカに筆誅(ひっちゅう)をくわえていた。社説もばっちり説教モード。新成人を祝福するどころか、みんな憎悪しているのがよくわかった)や、豊田商事会長刺殺事件やロス疑惑や松本サリン事件を経てもまるで変わることのないメディアスクラムを目撃してからずっと抱き続けている感情ではある。それにしてもここ最近はちょっとすごい。

『オオカムのカミソリ負け』 2010/02/13 「日本にもポル・ポトが結構たくさんいる件について」
http://d.hatena.ne.jp/ookamu/20100213/p2

たしかにとち狂ったポル・ポト主義者にも思える。密告大好き、他人への懲罰が三度のメシよりも好きって感じな共産主義者のように思えるが、私自身はこの手のやくみつる型品格クレーマーは恐喝ヤクザのように見えてしまう。

「横綱としての品格」とか「オリンピック選手としてあるまじき態度」とか。本当は大相撲もたいした興味もないし、オリンピックだって有名選手の結果をスポーツニュースのダイジェストで見るくらい。イベント自体にはたいした関心はないけれど、気に食わないやつが登場すると「国技やあのオリンピックをなんとこころえる」と急に権威の威光を借りる輩である。このあたりが品格どころかいかにも品のないヤクザな臭いがする。

昭和天皇が下血で苦しんでいるとき、あるデパートでいつものように赤飯を売っていたところ、ある総会屋が「こんなときに赤飯を売るとは。非国民め」とデパート側を難詰しては少なからぬ金をせしめたなんて話が昭和末期にあった。皇室に関する豪華本を無理やり送りつけて金をせしめたり(返品しようとすれば非国民呼ばわり)、政治結社を作ってご大層なスローガンを並べたり。

「仁義なき戦い 完結編」の冒頭、抗争ばかり続けて世間から恨みを買っていた広島ヤクザたちが、天政会なる政治団体を作って「核廃絶」「民主平和」などと大書した旗を掲げながら街を練り歩くこっけい極まりないシーンを思い出す。「愛国心はならず者がすがる最後の砦(とりで)」という有名な言葉も。虎(とら)の威を借りて自分の感情をぶちまけているだけのような人々が目につく。

週刊新潮で男根丸出しのおれ自慢エッセイを書いている藤原正彦教授の本が有名になって以来、一層品のないヤクザたちのわめき声がやかましくなったような気がする。品格という言葉はヤクザの任侠(にんきょう)道と同じで、しょぼくれた老人や自宅警備しかやることのない暇なおっさんたちが親分気分を満喫したいがために生み出された方便のように思えてならない。

それにしてもこのしょうもない同胞バッシングはいつまで続くのだろう。成人式のときはいくつもの新聞やニュースを見たが、確実に新成人を祝うことによりも、叩(たた)くことに放送時間と記事のスペースを費やしていた。今回のオリンピックも応援とバッシングが代わる代わる。たぶんこの傾向はきっとワールドカップでも見られることだろう。応援よりも懲罰を求める声のほうがでかいかもしれない。サッカー選手は今のうちに丸刈りにでもしておいたほうがいいかも。成績かんばしくないし。シャツはきちんとズボンのなかに。エグザイルのメンバーみたいな髭(ひげ)を剃(そ)れ。日焼けサロンも許さん。

選手たちがきわめてまじめな態度で過ごしたとしたら、たぶんサポーターが狙(ねら)われる。危険地帯の南アフリカの首都じゃ窃盗や拉致(らち)なんて犯罪が発生するかもしれないが、そうなれば嬉々(きき)として用心が足りないとぬかすタコが出てくるだろう。メディア自体が秘密警察よろしく燃料を投下してくれる時代だ。普段は「マスゴミ」呼ばわりしていても、こういうときはマスコミがくれるバイブをよろこんでケツに突っ込むネット住民ばかりであふれかえる。片山右京氏の富士山での遭難のときだって、メディアもネットもどこを向いてもひどいものだった。

外国への一人旅、ボランティア、スポーツ。罠(わな)はいくらでも用意されている。そういえば最近は自民党の世襲議員がバンザイの仕方がよくないと首相に噛(か)みついてたっけ(予算委員会における民主党の質問も小学生みたいでぞっとするほどひどかったけれど)。

イベントで叩(たた)いているうちはまだマシかもしれない。そのうちなにもなくとも品格おじさんや自称国防婦人がのさばる時代が来るんじゃないかと。ふつうに街中を腰パンで歩いているだけでぐるっと取り囲まれ、「ちゃんと履け!」と命じられる時代。「国技」とか「オリンピック」なんて権威を持ち出す必要すらない。

彼らのお決まりの言葉はこうだ。「それが常識だ!」常識という無理やりかつ最強のパワーにすがられたら、あとはもうこわいものなしだ。あと「世論」とか。知らねえっつうの。

執筆: この記事は深町秋生さんのブログ『深町秋生のベテラン日記』より寄稿いただきました。

文責: ガジェット通信

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