楽天市場の有力店舗・本紙商品価格調査 「不当な二重価格」一定数、「食品」「アパレル」で目立つ

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楽天市場の有力店舗・本紙商品価格調査 「不当な二重価格」一定数、「食品」「アパレル」で目立つ

今回は『通販新聞』からご寄稿いただきました。
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楽天市場の有力店舗・本紙商品価格調査 「不当な二重価格」一定数、「食品」「アパレル」で目立つ

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楽天が運営する「楽天市場」出店店舗を対象にした「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー(SOY)2012」で「ジャンル賞」を受賞した店舗の中に、不当な二重価格表示を行っている疑いのある店舗が一定数あることが本紙調査で分かった。特に、自社商品を扱う食品ジャンルとアパレルジャンルでこうした表示が目立った。楽天市場の「顔」とも言うべき店舗だけに、店舗のモラルとともに、表彰している側の楽天の管理体制も問われそうだ。(画像は楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーの会場の様子=2010年当時)

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画像(1)
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SOYは、売り上げやユーザーの人気投票などを元に選ばれた店舗を表彰するもので、楽天では年に1回開催。2012年の同イベントでは、「総合の部」で1位から10までの店舗を選出。さらに、「ジャンル賞」として34ジャンルからそれぞれ3店舗を選出し、表彰した(「総合の部」で選ばれた店舗も含まれる)。

通販新聞では、7月31日から9月13日までの期間、「ジャンル賞」を受賞した101店舗(1店舗は退店済)の商品価格を定期的に調査した。

食品を扱うA店では、「10人前のうどんセット」を「通常価格2530円のところ価格1000円」として販売(画像(1))。同じページの宣伝用画像では「60%オフ」と記載していた。ところが、調査期間中にこの商品が2530円で販売されていたことはなかった。また、先月行われたイーグルスの優勝セール時には「80%オフの500円」と宣伝し販売(画像(2))。

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画像(2)
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楽天によるセール商品紹介ページにも「77%オフ商品」として掲載されていた(画像(3))。さらには、他の商品でも同様の二重価格表示を行っている。

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画像(3)
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本紙ではA店に価格表記の意図を問い合わせた。

――通常価格の根拠は。

「当社は卸販売も行っており、うどんの上代が1袋380円×5袋(10人前)で1900円、これに送料の630円をプラスして総額2530円になります」

――少なくともこの数カ月間、通販でこの値段では販売していないということですか。

「売ってないですね」

――「通常価格」と表記している以上、普段はこの価格で売っていると思う人が多いのでは。

「リアルではこの値段で売ってますよ」

――でも、卸での価格ですよね。それはネットの顧客には分からない。

当社の地元に来ないと分からないですね」

――「○%オフ」という表現を使っているわけですし、勘違いする人が大半のように思いますが。

「お客さんにもよると思いますけど」

――不当な二重価格表示にあたる可能性もあるのでは。

「リアルでは売っているわけですから、問題ないと思っています」

――イーグルス優勝セールでは同じ商品を「80%オフ」の500円で売っていました。こうした表示に関してECコンサルタントから何か言われませんでしたか。

「特にないですね。実際に1000円の半額で売っているわけですから。安くないですか、普通に。お客さんに迷惑をかけているとは思わない」

――80%オフという表現は実態に則していないと思いますが。

「先ほどお答えした見解がすべてで、不当だとは思ってないです」

同じく食品ジャンルのB店。「訳あり辛子明太子1キロ」を「通常価格5980円、特価2980円」として販売(画像(4))。調査期間中に5980円で販売した実績はなかった。9月に開催された「楽天スーパーSALE」では「特価1980円」で売っていた。B店に価格表記の意図を質問した。

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画像(4)
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――通常価格の根拠は。

「かつてはこの値段で販売していましたが、一度値下げしてからそれを変えられなくなっています。もともとは実店舗で販売していたものです」

――実店舗ではこの価格で販売している。

「楽天市場で売っているものとは量を変えて販売しています」

――景品表示法では過去の販売価格を併記する場合、直近8週間のうち4週間での販売実績があることが目安とされています。

「知らなかったです。(表示については)検討します」

――この商品以外でも似たような表示をしていますが、同じ理由ですか。

「ベースは実店舗での販売価格なので、そちらに合わせたものです」

――楽天のECコンサルタントから価格表示について指摘されたことはありますか。

「一度もないです」

この店舗のように、「実店舗の価格が通常価格である」とする店舗は他にもあった。寝具関連のC店では「通常価格」と「本体価格」という表記で二重価格表示を行っていた(画像(5))が、本紙の問い合わせに対し「実店舗での販売価格を『通常価格』と表記」と回答。メンズアパレルのD店(画像(6))は「運営する実店舗で販売実績のある価格、もしくはメーカーからの仕入れ商材の『希望小売価格』を『通常価格』と表記している。商品には店頭と同じ(通常価格を記載した)下げ札も付けている」とした。

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画像(5)
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画像(6)
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こうした場合は不当な二重価格表示にあたらないのだろうか。景表法に詳しい行政筋は「店舗において『通常価格』での販売実績があれば仕方ないと判断されるだろう。ただ、店頭では売れないことを承知の上で高い価格を設定し、売り上げのほとんどが(安売り価格の)ネットという場合は、脱法的と判断される可能性はある」と話す。

また、D店のように「メーカー希望小売価格」を「通常価格」としていると答えた店舗も複数あった。酒類販売のE店は「希望小売価格や輸入代理店が出している価格を当店通常価格としている」と回答。また、ペット関連用品のF店は、ペットのトラベルキャリーを「通常価格6980円のところ、限定価格2880円」で販売(画像上から8つ目)。担当者は「アイリスオーヤマからの仕入れ品のため、通常価格はメーカー参考価格」と説明した。

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画像(7)
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先の行政筋は「メーカーがカタログなどで消費者に希望小売価格を周知しており、なおかつその価格で(店舗で)販売した実績があれば問題にしにくいと思う。ただ、『通常価格』表示がメーカーの価格とは消費者は思わないし、そもそも希望小売価格から値引きせずに販売することが考えにくい」と指摘する。

E店・F店ともに、調査期間中の通常価格での販売実績はなかった。また、アイリスオーヤマでは、本紙の問い合わせに「(当該商品は)当社では4980円で販売している」と回答した。

自社商品を主に扱うPC周辺機器メーカーのG店。自社商材のオフィスチェアーを「通常価格1万2800円のところ販売価格9980円」として販売。G店では「(通常価格は)自社通販サイトとアマゾンでの価格。9月9日までは1万2800円で販売していたので、楽天市場では(最近相当期間中に)1万2800円で販売していないが、通常価格と表現していた。現在(10月4日)は両店の価格も9980円のため、(楽天市場の)表示が直せていないのは事実」と本紙の問い合わせに説明した。先の行政筋は「1万2800円での販売実績があれば問題にはならないだろう」とする。

一方、別のPC周辺機器メーカーH店は、自社商品を「標準価格1万2800円、販売価格5980円」で販売(画像(8))。昨年8月の発売当初は1万2800円で売っていたが、値崩れしている。「自社商品に『標準価格』という表記はありえない。こうした表示は有利誤認に該当する可能性は高い」(先の行政筋)。

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画像(8)
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楽天も不当表示への対策は講じているようだ。食品関連のI店は、今年に入り楽天から表示が有利誤認にあたる可能性を指摘されたことから、消費者庁に相談し「問題はない」との回答を得た。さらに同店によると、数カ月前からRMS(店舗管理システム)にログインする際に二重価格への注意喚起が表示され、同意を求められる形になったという。別の事例では、イーグルス優勝セールの際に、腕時計を不当な二重価格表示で販売した疑いのある店舗がネットニュースなどで話題となったが、当該店舗は改装中に。「楽天から指導が入り、待機中になっている」(当該店の担当者)という。

一方で「価格がかけ離れた酷い二重価格で急激に売り上げを伸ばしている店があり、注意するようコンサルに伝えたが、変わっていないところをみると、売れている以上は言えないのではないか」(D店)との声もあった。「(機能していない)当店通常価格」は、本来は担当のECコンサルタントがチェックすれば防げるはず。最大の責任が店舗にあるのはもちろんだが、こうした店舗を表彰している楽天の責任も問われそうだ。

なお、本紙では不当表示の疑いに関する事実確認や、不当表示への対策などについて楽天に問い合わせたところ、「日頃から出店者には適切な販売活動をするよう調査・働きかけをしている。こうした活動や調査結果等については公表する性格のものではないが、問題が発覚した場合には厳正な対処を断行している」(楽天市場事業PR推進グループ)との返答があった。

執筆: この記事は『通販新聞』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年11月13日時点のものです。

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