TPP02 人に働かせてウワマエをはねる時代(中部大学教授 武田邦彦)

access_time create folder政治・経済・社会
TPP02 人に働かせてウワマエをはねる時代(中部大学教授 武田邦彦)

今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
※すべての画像が表示されない場合は、https://getnews.jp/archives/451170をごらんください。

TPP02 人に働かせてウワマエをはねる時代(中部大学教授 武田邦彦)

モンゴルが世界帝国を作り、力で全部の国をとってしまった後、それは少しやり過ぎではないかということになり、「国はそのままにして現地の人に働かせて、それを略奪する」という方法に変わった。それが植民地時代だ。

TPP02 人に働かせてウワマエをはねる時代(中部大学教授 武田邦彦)

(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
https://px1img.getnews.jp/img/archives/2013/11/tpp1108.jpg

13世紀から14世紀はモンゴルの時代だったが、その後15世紀からはスペイン、ポルトガル、オランダ、イギリス、フランス、アメリカと国は変わっていったけれど、次から次へと他人の国を植民地にして略奪を行った。

スペインは少しやり方が強引で、貿易というより完全な略奪に近かったが、イギリスはもう少し利口で、形は貿易だった。たとえば、インドとの間では、イギリスから綿織物、インドから香料が貿易され、貿易はイギリス通貨のポンドで決済された。

イギリスは自分でポンド札を刷って、インドから香料を買った時にポンドで支払う。そのポンドでインドはイギリスから綿織物を買うが、余ったポンドはロンドン銀行に預けた。

インドではルピーという通貨だったから、ポンドは使い道がなく、イギリスに預けるしかなかったが、イギリスにとっては、香料をドンドンかってポンドをインド人にわたせば、そのポンドはインドでは使い道がないから、イギリスに戻ってくる。だから、ものを買っても代金を支払わないのと同じになった。

今の日本とアメリカの関係がこれと同じだ。
1) アメリカがドル札を刷る、
2) 日本に自動車を発注する、
3) 日本人が自動車を作る、
4) アメリカが自動車を買ってドルを渡す、
5) 日本はそのドルの半分で石油や食料を買う、
6) 余ったドルは日本国内で使い道がないので、アメリカに投資する、

ということが続いている。
植民地(日本)を持っているアメリカは楽ちんだ。紙を使ってドルを印刷すれば、それだけで日本から自動車を買うことができる。ドルを日本人に渡せば、日本人はそれで外国から食料や鉄鉱石を買うけれど、それでも余るし日本ではドルが使えないので、アメリカの国債などを買ってくれる。

アメリカにして見れば紙に印刷するだけで自動車が買えるので、答えられない。まるでイギリスとインドの関係と同じだ。だから日本はアメリカの植民地とも言える。

TPPは日本に損害を与えるというけれど、現状でも大損害をしているので、どちらが損害が大きいかは定かではない。現在の日本はアメリカ軍が駐留しているし、経済的にも植民地になっている。平和憲法があるけれど、アメリカ軍はれっきとした軍隊であるし、独立国に他国の軍隊が守っているということ自体が奇妙だ。

第一、平和憲法というのは日本の軍隊であろうと、外国の軍隊が日本に駐留していようとそれは同じだ。その点で「独立国日本がTPPを受け入れる」のではなく、「植民地日本がTPPを受け入れる」ということなので、その損得勘定は全く別になる。

執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年11月08日時点のものです。

  1. HOME
  2. 政治・経済・社会
  3. TPP02 人に働かせてウワマエをはねる時代(中部大学教授 武田邦彦)
access_time create folder政治・経済・社会

寄稿

ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。

TwitterID: getnews_kiko

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。