誕生から3年!! 米ドワンゴ創業者が語る『ニコニコ動画』とは?
『ニコニコ生放送』にて12月10日、11日と2夜連続で『ニコニコ動画3 周年記念特別企画! ~米ドワンゴ創業者がパスタと一緒に語る夕べ~』が放送された。イタリア料理研究家のジュリアーノ・ハザン氏が調理を担当し、厳選された食材と素晴らしいワインに参加者一同が猛烈な勢いで酔っ払う内容で、いかにも『ニコニコ動画』らしいお祭り感のある放送となった。今回は放送を振り返りつつ、出演者の一人であり米ドワンゴの創業者でもあるロバート・E・ハントレー氏のインタビューをお届けする。
初日は出演予定のあったひろゆき氏が体調不良とのことで、メガネさん・ジェイムス氏(通訳も兼任)を司会に放送スタート! パスタ生地の作成からトルッテリーニ(豚肉・鶏肉をペースト状にし、生地で包んだ一口大のパスタ)を紹介。放送終了後には現場スタッフにも振舞われ大好評。肉の旨みがモチモチとした生パスタの食感と共に広がる素敵な味でした。
続いて行われた2日目の放送では前日のお二人に加え、ドワンゴ取締役の夏野剛氏、また相変わらず風邪気味のひろゆき氏も参加。(夏野氏は放送途中から) 「人にうつせば風邪は治る」と周囲に嫌がらせを行うひろゆき氏や、更にはドワンゴ会長でありロバート氏とは旧知の仲でもある川上量生氏が見学に訪れ、現場は放送前から活気づいた。2日目の料理はチーズの盛り合わせから始まり、レモンのフェットチーネ、黒トリュフのタリオリーニ、スパゲティ・カルボナーラ、デザートと盛り沢山。更にはユーザーアンケートが行われ、ロブスターとアスパラガスのリングイネも振舞われた。
しかし初日よりも参加者が増えたことによる効果か、2日目はワイン消費のペースが早い。猛烈に早い。調理をするハザン氏・ロバート氏を他所にワインで盛り上がる面々には、ユーザーコメントからもツッコミが連発。こんなやりとりが垣間見えるのも『ニコニコ動画』ならでは。ちなみに裏方のスタッフさん達は、そんな頃も一生懸命頑張っていたのでした。
放送の後半からは完成した料理を食べつつ、ドワンゴ創業当時の裏話が……と行くのかと思いきや、既に陽気な面々は色々な話に花を咲かせてしまう。最終的には夏野氏がiPhoneを使ったパーティーゲームを開始。ゲームに負けるとお酒をあおる展開に誰も逆らうことができないのか? と思われた矢先、狙ったかのようにiPhoneアプリがフリーズし強制終了。これがオチとなって生放送は閉幕したのでした。
参加者の多くが酔っ払う展開になるも、キレイに終わって一段落。……しかし大事なことを忘れているような。そう、もう一つのテーマである『ドワンゴ創業当時の裏話』がスッポリと抜けているのだ。幸いなことに、ガジェット通信はロバート氏へのインタビュー許可をもらっていたため、放送に代わってその話をお伝えしたい。
米ドワンゴ創業者、ロバート・E・ハントレー氏へのインタビュー
ガジェット記者(以下、ガ):そもそも、何故料理の放送を行うことになったのですか。
2ヵ月前に川上氏と会った時に料理の話で盛り上がり、川上氏から「じゃあ生放送をやっちゃいなよ」と言われたんです(笑)。
ガ:まずは簡単な経歴をお教え下さい。
86年に制作会社を立ち上げ、レーザーディスクとタッチパネルを用いた映像とインタラクティブ性に富むマーケティングツールを制作していました。このシステムは展示用のツールとして、エクソンモービル(世界最大の石油会社)に採用される程、画期的なものでした。その後、『DOOM』(1993年にリリースされた一人称視点のガンシューティングゲーム、当時としては段違いのグラフィック及びゲーム性に高い評価を得た)が出た時に、チャンスととらえ、94年にオンラインゲームサービスの会社であるInteractive Visual Systems(IVS)社を設立。ここで(ドワンゴ会長の)川上氏とも出会っています。今はフライングMMMという牧場を経営していますが、それ以外に(本放送にも出演されている)ジュリアーノと一緒にイタリア料理のテレビ番組を制作する準備や、『ニコニコ動画』のアメリカでの生放送企画なども考えています。
ガ:川上氏との出会いとありましたが、そのエピソードをお聞かせ下さい。
川上氏とは(これまた本日の出演者であり、当時マイクロソフトに所属していた)ジェイムスからの紹介で会いました。当初は興味が持てず、何度かアポイントを断っていました。それでも川上氏から連絡があり、結果としてドワンゴジャパンが誕生しました。当時の仕事としては、コードネーム『ドラゴンOS』と呼ばれ、後に『ドリームキャスト(Dreamcast)』に搭載される『WindowsCE Dreamcast』のソリューションを担当。例えば『セガラリー2』の通信サーバーシステムやイサオネット(ISAO.NET)などがそれに当たります。
ガ:生放送の感想をお聞かせ下さい。
反応の良さが凄い! 世界のいつ・どこでもインターネットがあればコミュニケーションが取れ、テレビがやろうとしていたことをニコニコ動画は実現している。これには期待していきたい。例えばユーザーの一人をゲストとして招待したり、コミュニケーションを計るのも面白いかもしれませんね。
ガ:テキサスにお住まいとのことですが、普段はどのような生活を?
趣味のアウトドアに興じていますね。今の牧場を買った理由には、川沿いだったこともあるのですが、カヤックをしたり、釣りをしたり、ハイキングをしたり。そうそう、富士山にも登ってみたいね。他にも友人が持っていたM60を借りて射撃をしてみたこともあります。マシンガンは大好きです(笑) また通信ネットワークにいつでもアクセスできるように、テキサスの牧場にはT1(光ケーブル)をひいています。これはベライゾンの本社に直接お願いして16km程の配線を新たに引きました。牧場内では電話もWiFiもつながるようにしており、お陰でどこでも『ニコニコ動画』を楽しんでいます。太い回線ですので、ここをアメリカの中継基地にして『ニコニコ動画』への配信なんかも面白いかもしれませんね。
ガ:アメリカに動画サイトの最大手、『YouTube』がありますが『ニコニコ動画』との違い・優位性は何だと思いますか?
『YouTube』と比べて『ニコニコ動画』はインタラクティブ性があります。既に3年のノウハウもあり、この優位性は大きいものだと思っています。他社がやっていない・できないシステムを持っていることから差別化もはかれます。この双方向システムはアメリカでも受けると思います。あとはその国の文化に合うようなコンテンツを用意さえできれば……例えば、NASAの生放送のような宇宙関係のコンテンツなんかは世界中の人にも受けるテーマになりますよね。
ガ:最後に川上氏・ひろゆき氏の印象を。
川上氏とは兄弟のような関係です。彼はタフで、何でもできる、そして将来をしっかりと見据え、どんな局面でも前向きで強い。とにかく凄い男です。ひろゆき氏には、まだ1度しか会っていないものの、川上氏と同じような印象を受けました。やはり自分のビジョンや考え方を持っている。面白いね。
ガ:本日はお時間頂き、ありがとうございました!
忙しいスケジュールの中、ロバート氏とジェイムス氏から話を伺うことが出来た。ロバート氏はニコニコ動画を大変気に入っているようで、翌日に行われた『ニコニコ大会議 in 高知』にも参加。またインタビュー内では紹介し切れなかったが、所有する車のナンバープレートが『DWANGO』なんていう裏話も披露してくれた。放送内では夏野氏から『ニコニコ動画』の海外進出の話も挙がっていたが、今後ロバート氏・ジェイムス氏がどのように『ニコニコ動画』と絡んでくるのかにも期待したい。
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インターネットの賑わっているところに大概参加をしながら約20年。 ここ最近はニコニコなどの動画サイトを根城にしつつ、何だかよく分からない生活を送る。 生放送においては過去に、日本全国を生放送をしつつ巡ったり、ヨハネスブルグ、ジンバブエ、カザフスタンなど「そもそも回線は大丈夫なの?」といった場所から生放送を行ったことも。 しかし、一番好きな場所は『自分の部屋』とのたまう、自称「世界で一番忙しいニート」・「世界で一番仕事をしない自宅警備員」。
ウェブサイト: http://com.nicovideo.jp/community/co7201
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