エージェント・レイヤー・スピリチュアル

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エージェント・レイヤー・スピリチュアル


今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

エージェント・レイヤー・スピリチュアル

佐々木俊尚とかイケダハヤトとか、最近、宗教や精神世界に関する発言が多いように思う。ただどうもいろいろなものがごっちゃになっている気がする。そこで整理してみる。

まず純粋に人間の精神(思考)に関するもの。人間の思考のメカニズムはまだまだ解明できていない。ただこれは脳の動作が非常に複雑だから解明に至っていないというだけで、最終的には解明されるだろう。非常に複雑なコンピュータの動作が分析困難なのと同じ。

とはいえ仕組みが解明できれば、人間の思考が予測できるとは限らない。台風の進路が完全によそくできないように、非線形な物同士が相互作用すると複雑系を構成する。よくいわれるバタフライ効果のように、わずかな違いがどんどん拡大し、大きな違いとなる。

人間の意思決定も複雑系だろうから、ちょっとした初期条件の違い、顔にハエがとまったとかで、その人のその後の人生が大きく変わる可能性はある。あらゆるものを無限の精度でシミュレートできない以上は、その人の未来の思考を予測することはできない。

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本質的には違うものなのに、精神世界や宗教と切っては切り離せないものは、超自然的な力。宇宙エネルギーとか生体エネルギーとか、チャクラとか。これらは、100歩譲って現代の科学では解明できないものが存在するとしても、基本的には科学の領域であり、科学が進歩していけばいずれ解明されるだろう(存在しないことも含めて)。

磁石を知らない子供が、磁石の振る舞いをみて不思議がるようなもの。磁石や核エネルギーが人間の思考とは無関係無いように、基本的には人間の思考や精神とはなんの関係もないもの。

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そして最後が超越者。これがいわゆる宗教の中心だろう。宇宙人や宇宙意志そのものと交信するチャネラーなども、超越者の存在を前提としている。宇宙エネルギーと違うのは、人間に近い「意志」をもっていること。磁石は人間に対して中立だが、超越者は比較的人間に近い価値観をもった振る舞いをするところが違う。

また超越者との交信手段として、宇宙エネルギーなど超自然的な力を前提とする事が少なくないから、2番めの要素としばしば深く結びついているが、2番め都の違いはやはり超越者(の人格)を想定するかどうかだろう。

超越者の能力は、天変地異を起こすような物理的なものから、未来を完璧に予測するものまでさまざまだ。ただいつも思うのは、超越者が世界に干渉する以上は、それによって初期条件が変わってしまうので、結局予測に失敗する気がするのだよね。

人間同士でもAとBが互いに相手の行動を予測し、先回りするような行動を取る場合、AがBの行動を予測した行動をBが更に予測して行動するから、それをAがさらに…と、結局予測できないことになる。つまり予測者が影響力を持つ世界は予測できない。

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仮に神がいて世界のすべてを予測できるとしても、神はそれを我々には伝えられない。伝えた瞬間にこの世界は神が予測したものとは違うものになってしまう。まあ、また予測しなおせばいいんだけど。満足行く世界が予測されるようになったら、我々の世界への介入をやめればいいわけで。

逆にいえば神が満足している限り、神はこの世界に介入してこない。大洪水以降、目立った介入がないってことは、神の思惑通り進んでるってことですかね(笑)。

純粋な超自然的な力(超常現象)と超越者の違いは人格を持つこと。人格とはなにか?それは未来を予測するためにシミュレーションを行うこと。シミュレーションを行い、あるべき姿を想定し、しばしばその方向へ世界を向かわせるためにこの世界に介入するのが神なのだ。まあ実際には「神」をシミュレートしているのは人間なんだけどね。これは内緒(苦笑)。

実際の宗教ではそういうことはあまり関係なく、人間に近い人格を持った超越者を想定することで、社会規範の教育に役立てている(カルトですら、カルトなりの社会規範がある)。人格を持つといっても何も人の姿をしている必要はなく、たとえばSF作品の「百億の昼と千億の夜」では、神の姿はコンピュータや経済システムの形をとることもあると看破している。経済システムも人間に社会規範を与えているといえよう。むかしはそれが天変地異など自然が中心だったというだけ。自然現象や経済をモデル化するのに文明が未発達の頃は「神」が必要だった。まだ発達が充分でない心理学や社会学では、神が残っている。

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ということでスピリチュアルと一言でいっても、人間の思考を考えるのか、超自然的な現象を考えるのか、超越者を前提とするのかで、かなり違ってきてしまう。

佐々木俊尚は「レイヤー化する世界」で、世界は国境がなくなり、人間の活動は現在よりも自由(グローバル)になると語ってみせた。念頭にあるのはネットワークの急速な発達だろう(物流の発達もあるだろうけど)。

ネットワークそれ自体は物質を移動することはできないから、情報、すなわち精神的な結びつきやその活動がネットワークを通じて世界に広がっていくということだろう。

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エージェントシステムというものがある。エージェントというのは、プログラムだと思ってもらえればいい。しかしこのプログラム(コード)はネットワーク上を移動する。たとえばあるプログラムのユーザが東京に多いなら、そのプログラムは東京のどこかのサーバーで実行したほうが、効率がいいはず。アメリカのサーバーで実行したら、いちいち太平洋を往復しなければならない。

つまり自分が最適な場所にプログラムが自分で移動していく。通信量と距離を最適化するために。エージェント同士の通信も当然あるだろうから、他のエージェントとの関係で、位置が決まっていくわけだ。

「レイヤー化する世界」を読んで思い浮かんだのがこのエージェントモデル。たぶん人間はエージェントを実行するサーバーなのだろう。人間は移動しない。エージェントを実行するサーバが物理的に固定なように。移動するのはエージェント(プログラム)。

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佐々木俊尚はグローバル化により国境がなくなり国家が弱体化すると予測した。俺の考えはちょっと違う。サーバーに電力を供給する設備が必要なように、人間の体を養うためのシステムとして、やはり国家は必要だろう。

完全にどこの国民も同じになってしまえば、国家も必要なくなる(というか地球上に一つあればいい)が、そうなるかといえば、SFの世界だと思う。コンピュータのOSがMicrosoftのWindowsでといういつされたように、そういう状態になればOSのメーカーは一つでいいかもしれない。国家も一つでいい。

すべてのパソコンにWindowsが動いているように、すべての人間も(少なくともハードウェアは)同じ世界…う~む(苦笑)。その状態でもそれぞれのパソコが処理しているプログラム(エージェント)は違う。すべての人間の物理的な部分が同じだからこそ、その間をエージェントが自由に移動できるともいえるが…。

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ある思想があるとして、その思想はその思想自体に意味があるのであって、誰が考えているかは重要ではない。ある数学の問題をエージェントが俺の脳を使って考えてもいいし、別な人間の脳を使って考えてもいい。個々の人間は単に脳というハードウエアを提供しているに過ぎない。そして国家は脳の活動を維持するためのエネルギー(食料)を補給する存在。

あるパソコン(人間)が壊れたら中身(思想)を移して別なパソコン(人間)で処理を再開すればいい。「思考」が人間や人間の集団の間を渡り歩いていく…。

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とはいえまったくフラットでシームレス(無境界)となるかといえば、ならない気がする。細胞同士は細胞膜で隔たっているし、その集合体の人間もまた、ひとりひとり隔たっている。脳細胞の細胞同士のように電気信号で相互作用しているわけではなく、言語や視覚など、かなり効率の悪い手段でコミュニケーションしなければならない。国家や民族もその境界として立ちはだかるようにも思う。異なる国家や異なる民族との間では、同じ国家や民族同士の間ほど情報の結合が密ではない。

TCP/IPのパケットがさまざまな物理層を経由して伝わっていくように、一つの細胞が発した信号は、人体の神経系、人間の集団(ムラや国家や民族)、そして全世界と、伝わっていくが、その速度や効率はそれぞれの境界で落差がある。逆にその不均一さが、「人類の思考」を特徴づけるものになるだろう。なにもかもまったく均一だと機能しない(思考できない)と思うのだよね、脳細胞も、社会も、人類の集団(グローバルブレイン)も。

なんかまとまらんな。まあ、最初はこんなもんだ。なんどか同じテーマで書いていけば、方向性が見えてくるはず。

執筆:この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年09月06日時点のものです。

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