世界的人気のFlashゲーム『星探』新作はFlashゲームクリエーターのオールスター作品に nekogames本人は「めんどくさいから作らない」?
マウスのクリックやドラッグなどの操作を駆使して、画面に隠された星を探すFlashゲーム『星探(ほしさが)』。言語に関係なく、子どものおもちゃを手にして遊ぶような手軽さと、アっといわせる仕掛けの数々がネットユーザーを魅了し、2007年の公開当初から世界的に人気を集めたこの作品。その後全200ステージと番外編を公開して作者のnekogames石井克雄氏はシリーズ完結を宣言していたのですが、9月1日に新作『みんなの星探』が公開されました。でもnekogames本人は制作していないそうです。どういうことなのでしょうか?
Flashゲームクリエーターのオールスター作品
『みんなの星探』は、石井氏が声をかけて集まったFlashゲームクリエーター35人がそれぞれのステージを制作、石井氏はディレクターとして全体を1本のゲームにまとめた作品なのです。48時間以内で名作ゲームを移植する『むりげー』、24時間以内でお題のゲームを作る『あほげー』など、ひとつのテーマで複数のクリエーターが競作するイベントはありますが、ひとつのゲームを35人という規模のクリエーターがコラボして制作するのは珍しいケース。
参加クリエーターには、『太くて長いオレの○○○』のババラ氏、『激突要塞!』のすずぬーと氏、『人生オワタ\(^o^)/の大冒険』のキング氏、『モアイまわし』のタカヒロウ氏、『きょうのしかく』の中野亘氏などなど、Flashゲームクリエーターのオールスターキャストといえる面々が集結。星だけにね!
集まったステージはパズル、アクション、シューティング、アドベンチャー、リアルタイムシミュレーション風などバラエティに富み、参加クリエーターの個性を感じるものばかり。個人的には、パワーアップしてクリアを目指すシューティング『X’shoot』(Polygon-Gmen)、破壊的ストーリーに静かな感動が共存する最終ステージ『StarCommando』(毛:安らげる部屋)がオススメ。でもとにかく全ステージ遊んでみてください。
「めんどくさい」で生まれたコラボ企画
なぜ今回、石井氏はステージを制作しなかったのでしょうか。オープニングとなるステージ0にその理由が公開されています。「ステージたくさん作るのめんどくさ~」……衝撃の事実! 参加クリエーター向けに公開された企画書には、シリーズ完結の理由は「つくるのがかったるいからです」、ユーザーの要望があるので新作は作りたいものの「めんどくさい、超めんどくさ い!」と繰り返し「めんどくさい」ことが力説されています。そこで、ほかのFlashゲームクリエーターとのコラボを思い立ったそうですが、これまで多くのファンを生んできた作品だからこそ、35人ものクリエーターの参加が実現したといえるでしょう。
ステージデータは各クリエーターが書き出したFlashのswf形式のファイルに分かれていて、それらを読み込みゲーム本体のインタフェースとなる部分を石井氏が制作するという分業体制になっています。開発のプロジェクトサイトではFlashでステージデータを作る際の仕様やサンプルファイルのソースコードを公開。これに基づいて参加クリエーターが各ステージを制作しました。もともとFlashのスクリプト言語Action Script 3で制作されていた『星探』ですが、Action Script 2やUnityで書き出したswfファイルにも対応、参加クリエーターの間口を広げています。
必見のエンディングにnekogames制作のおまけステージも
35人が制作した全ステージをクリアすると、参加クリエーターのクレジットが流れるエンディングムービーを再生。このエンディングには、ゆよゆっぺ氏の楽曲をcalo氏が歌った『I will find a star』が使われ、全ステージクリアの感動を倍増させてくれること間違いなし。
クリア後には、石井氏が制作したエクストラステージも遊ぶことができます。全然作っていないわけではなかったんですね。この“こぴぺっつ”と呼ばれるキャラが登場するシリーズ、今後独立したシリーズになりそうな予感。
nekogames石井氏にインタビュー
作品を公開したnekogames石井氏に、メールインタビューで制作の裏側を語っていただきました。今回のプロジェクト、大人数が動くことで苦労はなかったのでしょうか。
ガジェ通:ご自身で新作を作るのがめんどくさいということで始まった今回の企画ですが、ほかの人に作ってもらうことで逆に苦労したこともあったのでは?
石井:みんなにつくってもらうため用に、サンプルステージの準備と『星探』本体のプログラムを書き直しました。
みなさんFlashには熟練していらっしゃるので、技術的なトラブルもありませんでしたし、ステージの内容に関しても完全にお任せすることにしていたので、めんどうなことはありませんでした。
ガジェ通:参加クリエーター集めは順調にいきましたか?
石井:私の友人・知人と『あほげー』『むりげー』の参加者。それと『モゲラ』にFlash作品を投稿しているクリエーターの方々、全然面識ないけど『Twitter』で「Flash ゲーム」で検索してヒットした方。合計80人くらいに声をかけさせていただきました。
少なくとも25人は集まってほしいと考えていたところ、最終的に35人参加していただきました。とても順調にいったのではないかと思います。
ガジェ通:今回、Unityで参加している人もいますが、Flash内に組み込むのは簡単にできるのでしょうか。
石井:最新版のUnityはswf書き出しをサポートしていないのですが、ver3.5.7では
swfに書き出せます。
swfとの連携は
UnityShared.swc
http://docs.unity3d.com/353/Documentation/Manual/flash-unitysharedswc.html
を利用するとできます。この辺りはUnityとFlashの両方に詳しいSouthさん(http://unity3d-study.seesaa.net/)に協力していただきました。
Unityのswfはサイズが大きいうえに、初期化に時間がかかるので、今回の『星探』のような小さなswfを毎回読み込む作りにはあまり向かないかもしれません。それでも、Flash系以外でゲームを制作されているクリエーターの方々も参加してもらえたりするのはよかったです。
ガジェ通:HTML5で制作しても同じような企画はできると思いますか?
石井:HTML5で制作してもよかったのですが、今回はみんなが使い慣れているFlashを使用しました。ミニゲームのようにスケッチしつつの制作にはFlashが向いていると思います。それともともと星探の仕組みがステージ毎に別ファイルになっているので、大人数で作るのもまったく問題ありませんでした。
ガジェ通:参加クリエーターへのメッセージと、『みんなの星探』を遊んでくれるユーザーへのメッセージを一言ずつお願いします。
石井:今回の企画に賛同してくださったクリエーターの皆様に、ありとうございます。みなさんからステージのswfがメールで送られてくるたびに、ひとつひとつ楽しんでプレイできました。
遊んでくれるユーザーの皆さんへ。バラエティに富んだステージがそろいました。今までとは違った雰囲気の『星探』を楽しんでください☆
* * * * *
石井氏を筆頭に、参加クリエーターが全員楽しんで制作したことがうかがえる『みんなの星探』。石井氏も「みんなに作ってもらうと楽なので、またみんなに作ってもらいたいです」とコメントしているので、次回作も期待できそうですよ!
hoshisaga.jp
http://hoshisaga.jp/[リンク]
宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます
ウェブサイト: http://mogera.jp/
TwitterID: shnskm
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。