経済の偉い先生は、実体経済はどれぐらいで影響がでると考えているのか
今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
経済の偉い先生は、実体経済はどれぐらいで影響がでると考えているのか
「日本経済の悲観的シナリオを考えるための良書: 虚構のアベノミクス―株価は上がったが給料は上がらない、野口悠紀雄」 2013年08月23日 『ガジェット通信』
https://getnews.jp/archives/402368
アベノミクス批判のパターンに、株価は上がったが給料や設備投資は上がってないというのがある。上がってないことはないと思うが、まあそれはいいとして、日銀による大幅金融緩和が行われたのが4月。まだ半年経っていない。
で、いつも疑問なんだけど、かりにアベノミクスが有効だったとすれば、どれぐらいの期間で、給料や設備投資が好転すると、経済の先生は考えているのか。
金融緩和が有効なら○○後には影響がでるはず。それは過去あるいは他国の金融政策の実績から、明らか。にも関わらず、アベノミクスはその期間が経過したにもかかわらず、数値が好転していない。なのでアベノミクスは失敗だった、という主張ならわかるのだが。
* * *
半年やそこらで改善するもんなんですかね。給料とか昇給のタイミングはだいたい決まってるわけだよね。だから春闘とかやるわけだ。でも春闘は2月ぐらいじゃ…日銀の緩和は4月だから間に合わない。影響がでるとすれば来年の春闘ではないんでしょうかね。
輸出金額は円安で増えているが、輸出量が伸びていないという。だからまやかしだという。でもこれだって発注量や発注金額は先行して契約してるんじゃ…。だからドル建ての契約は契約した時点の為替相場で売り買いするしかないわけで、100ドルで契約したなら、円安でも海外が日本製品を買う価格は100ドルのまま同じ。
このまま円安が続けば、90ドルぐらいで売りましょうということになり、ドルで買う側は安く変えるから販売量も伸びるだろう。円建ての取り引きはどうなんでしょうね?これなら円安なら海外は日本製品を安く買えるのだから、販売量は増えてるのではなかろうか。この辺のデータがあるといいのだが。
* * *
あと円安でも工場の海外移転は止まらないというのも、工場の移転なんて何年も前から計画しなければならないのだから、すぐには変わらないだろう。この先円安が何年も続いてようやく変化するはず。
これも過去のデータから為替相場の変化と工場移転の変化がどれぐらい遅延するかを示し、今回の円安で何年後ぐらいに影響が出るかを予測すべきだと思うのだよね。
半年も経っていないいまこの瞬間に改善するというのは変だろう。
* * *
その点で、安易な円安誘導で、生産性の低い産業を温存させ、産業構造の転換を遅らせるアベノミクスには非常に懐疑的であった。
この生産性の低い産業って具体的にどの産業なんですかね。で、どういう産業に転換させればいいのか。この本読んでないけれど、読めば書いてあるのだろうか?
たとえばはやりのIT産業?でもIT産業ってあまり人がいらないよね。IT産業で日本の労働者すべては吸収できない。効率のよい産業というのは少人数で大きな利益を稼ぎだす産業なのだから、必然的にそれに従事できる労働者の数は限られる。残りの労働者をどうするのだろうか。
国の経済を考える場合と企業の経営を考える場合は、考え方が違う。企業の経営ならなるべく労働者を少なくして利益を稼ぐのがよい産業だろう。しかし国の経済を考える場合は、労働者を少なくしたら失業者で溢れてしまう。多くの人手が必要な、ある意味効率の悪い産業でないと、国の経済は支えられない。
* * *
会社ですらベンチャーと巨大企業とはいろいろ違う。ベンチャーは少数精鋭が基本。一方、同じ方針で巨大企業が凡人を排除したら社会はどうなるか?解雇された大量の凡人はどうするのか。社会保障で養うのか。となると結局一部の優秀な人間が彼らの生活を負担していることには変わりない。それなら凡人でも働いてもらったほうが少しは足しになり、優秀な人々の負担が減ると思うのだが。
生活保護として毎月まるまる10万円を渡すよりは、6万円分働いてもらって給料として10万円渡すほうが、まだマシだろう。会社としてみればその人を雇用することで4万円の赤字だが、国全体として見るなら、10万円の赤字が4万円の赤字に縮小していることになる。
国も会社のように無能な人間は国外に追い出していいならいいけどね。あるいは社会保障も与えず、勝手にのたれ死んでくれていいというスタンスなら。でも日本はそういう選択は無理だよね。となれば凡人も雇用し続けるしかない。
やたら構造改革とかいう人は、構造改革の中身を語るべきだと思うのだよね。中身がなくてただ「構造改革しろ」というのは、「なにかしろ」と言ってるのと変わらない。
執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年08月27日時点のものです。
ガジェット通信はデジタルガジェット情報・ライフスタイル提案等を提供するウェブ媒体です。シリアスさを排除し、ジョークを交えながら肩の力を抜いて楽しんでいただけるやわらかニュースサイトを目指しています。 こちらのアカウントから記事の寄稿依頼をさせていただいております。
TwitterID: getnews_kiko
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。