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マジックだけで何でも描く“阿佐ヶ谷の韮ドン”は“世界の韮沢”


韮沢靖(にらさわやすし)というクリエイターをご存知でしょうか?

熱烈な『Hobby Japan』の愛読者か、それとも『仮面ライダー剣(ブレイド)』や『仮面ライダーカブト』『仮面ライダー電王』ファンの方には知っていて当然の名前かもしれません。

韮沢さんは、世界的なクリーチャーデザイナーでありイラストレーター、造形作家でもあります。異形の生物デザインを特に得意としていますが、その繊細なテクスチャやフォルムには何故か”怖さ”よりも”美しさ”が先立つという共通点があります。
韮沢さんの個展の様子(すべての写真)はこちらから見ることができます

前出のいくつかの『仮面ライダー』シリーズでは怪人たちのデザインを手がけているのですが、どれも相当におどろおどろしく、そして非常に「カッコいい」のです。「時には『可愛い』と評されて驚いた」という本人の談もあったりするのも、確かにうなずけます。

『韮沢靖 小個展 vol.1 Body’s~身体改造~』(2009年11月15日(日)~2009年11月30日(月) )が催されるにあたり、ガジェット通信でも取材を試みましたので、わずかながらその時の様子をレポートしてみたいと思います。


会場である阿佐ヶ谷のギャラリー、白線」に足を運ぶと、椅子に座った気さくなオッちゃん、もとい男性がグラスを片手に「いらっしゃーい」と声をかけてきます。ノリは飲み屋。そう、何を隠そうこの人があの世界の韮沢靖、本人だったりします。

ちなみに韮沢さんの生まれは新潟県長岡市栃尾。油揚げの名産地でもあり、水もお酒も美味しい土地です。それが関係しているのかどうかはわかりませんが、韮沢さんは非常にお酒が好きだとのこと。親しいお客さんは皆、申し合わせたようにビールや焼酎といった様々なお酒を手土産に、この個展を訪れていました。

さて、展示は『仮面ライダー』の怪人たちを中心に、これまでのワークスが壁に貼り巡らされています。ひときわ大きなホワイトボードには、等身大のキャラクターが生き生きとそこに“封じこめられて”いました。実はこれ、いずれも会場で描かれた「ライブペインティング」での産物なのです。そうとは知らずとも、肉筆を間近で見られることの喜びからか、会場は多くの観客たちによって静かな熱気に包まれていました。そして、まだ、描かれていないホワイトボードも同様に立てかけられていました。

「さーてと」と、静寂を破りつつもほろ酔いで席を立った韮沢さん。観客の緊張をよそに気持ちよさそうに黒のマジックマーカーを手に取ると、やおら描き出します。描き始めるまでの余韻を感じさせずにすらすらと描き始めてしまうのです。僕らが「えぇ?」と思っている間に余白からキャラクターがどんどんと浮かびあがってきます。

まるでその線は描かれることが決まっており、見えなかった生き物の輪郭をなぞっているような錯覚に陥ります。言うなれば、そのカンバスに閉じこめられていたクリーチャーたちが韮沢さんのマーカーで救い出されるかのようでした。

dsc_2306


そんな張り詰めた空気でも、カメラを向けられればポーズをとり、ときには鼻歌まじりの韮沢さんはあくまで自然体。息をするように、筆を動かします。

使っているのは、太さの異なるごくごく普通のマジックマーカーのみ。こんな風に”芸術的に”使われるマジックを僕は見たことがありません。


ライブペインティングを見た人たちは一様に「まるでそこに描かれるのが決まっていたみたいだよね」と言うほどの”確信”が、韮沢さんの筆づかいから感じられるのです。

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記者:

「予備校生のような出で立ち」で写真撮影、被写体(スチル・動画)、記者などできる限りなんでも、体張る系。 「防水グッズを持って水をかけられるのが好き」などの特殊な性質がある。 好きなもの: 食べ物の写真、昔ゲーム(の音)、手作りアニメ、昭和、穀物

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