岐阜県の珍味「へぼ」とは? 「VIVANT」のロケ地として話題沸騰、東美濃エリアの郷土食を味わう

岐阜県主催によるメディア向け試食会「岐阜の食文化を味わう」が、10月28日に東京・御茶ノ水の「飛騨居酒屋 蔵助」で行われた。同県への誘客と興味喚起を目的とした今回の試食会では、県内南東部の6市1町からなる東美濃エリアをフィーチャー。「東濃ジビエ」をはじめ、現地で愛される郷土料理や珍味、地酒などが美濃焼の器で提供された。

岐阜県南東部の話題エリア「ひがしみの」の伝統料理を体験

飛騨高山、郡上八幡、関ヶ原に白川郷と、有名観光地が多い岐阜県。その中で、多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市、可児市、御嵩町の6市1町からなる東美濃(ひがしみの)エリアは、中山道の宿場町や岩村城下町など、江戸時代の風情を残す歴史的景観が魅力の地域だ。また、美濃焼やモザイクタイルの産地としても知られ、さまざまなクラフト体験を楽しめることから、子ども連れの旅行先としてもおすすめ。さらに昨今は、多治見市のセラミックパークMINOや恵那市の岩村城下町が、現在放送中のテレビドラマ『VIVANT』のロケ地として注目を集めており、多くのファンが“聖地巡礼”に訪れているという。

県の観光的魅力について紹介した、岐阜県・観光企画課の安部樹さん

そんな東美濃では、内陸に位置する環境と古くから街道筋として栄えてきた歴史を背景に、特色ある食文化が育まれてきた。この日の試食会では、その中から特に地元で愛される料理が提供され、会場である「飛騨居酒屋 蔵助」の代表・仲谷丈吾さんから、それぞれのポイントについて説明があった。

「飛騨居酒屋 蔵助」代表の仲谷丈吾さん

初体験の「へぼ」、はたして、その味は?

ワンプレートで運ばれてきた料理の中で始めに興味を引かれたのは、左手にある、米粒ほどの大きさの“黒い粒々”だ。「これは何だろう?」と思っていると、仲谷さんから「こちらは『へぼの甘露煮です』という説明が。へぼとは……ますます謎は深まるばかり。

さらに詳しい説明を聞くと、へぼとは「蜂の子」であることが判明。まさかの正体に、「え、ハチですか?」と、やや動揺してしまう。

「へぼは、東美濃で貴重なたんぱく源として昔から食べられてきた伝統的な食材です。甘辛く味付けした甘露煮は、お酒との相性も抜群ですよ」と仲谷さん。地元では、米と炊き込んだ「へぼ飯」のような料理も一般的なのだという。

岐阜の人には伝統食であっても、よその人間には紛れもない珍味。ハチミツは日常的に食べている私だが、蜂そのものを食べるのは初めての体験だ。多少の勇気が必要だったが、一粒味わってみるとプチッと弾けるような食感がした。そして、口の中にとろりとしたものが広がる。

一粒、もう一粒と味わううちに最初の不安は消え、そのおいしさを実感できるように。そして仲谷さんが用意してくれた瑞浪市の地酒『小左衛門』とのペアリングも、しっかり楽しむことができた。

一人一人に“推しの店”がある、東美濃のソウルフード

続いて味わった『五平餅』と『朴葉ずし』は、岐阜県民のソウルフードといっても過言ではない、老若男女に愛される伝統料理だ。特に、つぶしたご飯を串に巻き付け、甘辛いタレで香ばしく焼いた五平餅は、東美濃だけで100店舗以上の店があり、食べ歩きマップが作られるほどの名物である。わらじ型か、だんご型か、店によって形が分かれるのも面白いところ。東美濃の人と手っ取り早く仲良くなりたいなら、「五平餅は、どの店がおすすめ?」と尋ねてみるのが、きっと一番のキラーワードだろう。

この日はだんご型の五平餅が提供され、地元で愛され続けるその味を口にすると、「『VIVANT』に出てくる岐阜県出身のあの別班員も。きっと五平餅を食べて育ったんだろうなあ……」という、タイムリーな感動が込み上げてきた。

一方で、農作業や山仕事の携帯食がルーツといわれる朴葉ずしは、朴葉の包みの中からカラフルな具材を乗せた酢飯が現れる、今風にいうと“ビジュつよ”なグルメだ。この日は、鮭、きゃらぶき、桜生姜、しぐれ、しその実、ツナが乗った一品が提供され、見た目だけでなく味わいでも華やかな気分になった。

また、甘酢漬けで提供された『菊芋(きくいも)』は、地元では「八升芋(はっしょういも)」や「唐芋(からいも)」とも呼ばれ、東美濃の新たな特産品として広がりつつある作物だ。

「イモですけどシャキシャキした食感が特徴で、食物繊維の一種であるイヌリンを豊富に含んでいるので、健康食材としても注目されています」と仲谷さんは語る。

東美濃の器と食材を探す旅に思いを馳せる

そして、全体の中でメインディッシュ的な存在感を放っていたのが『鹿肉のステーキ』だ。

鹿肉などの「東濃ジビエ」も、菊芋と同じく東美濃の新たな特産品として現在売り出し中の食材だという。獣肉と聞いて硬い食感を想像していたが、ほんのりレアの赤身はとても柔らかく、ジビエに合わせて作られた恵那市の地酒『薬食い』とともに、そのジューシーさを楽しむことができた。

デザートの役割を担ったのは、東美濃が発祥の地といわれる『栗きんとん』。いくつかの老舗がある中、この日は中津川市に本店がある川上屋の一品が、同じく中津川産のノンカフェイン茶『ちこり茶』とともに提供され、秋の味覚に季節の深まりを感じることができた。

歴史と文化に育まれた食の力をダイレクトに感じながら、郷土の味覚を郷土の器でいただくということにも感動があった、この日の試食会。自分も料理を楽しむ身として、お気に入りの器を探しながら、そこに載せる地元の食材を見つける旅ができたら、きっと楽しいだろうと、東美濃の地に思いを馳せる機会になった。

なお、この日の会場となった東京・御茶ノ水の「飛騨居酒屋 蔵助」では、『漬け物ステーキ』や『明宝ハム』『こも豆腐』など、飛騨の料理を中心に岐阜県の郷土料理が楽しめる。岐阜の地酒を飲み放題できるプランもあるので、東美濃へ遊びに出かける前に、こちらで“予習”というのもありだろう。

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