映画『どこよりも遠い場所にいる君へ』石橋陽彩&永瀬アンナ インタビュー「恋愛だけじゃない、さまざまな想いがこもった作品です」

2025年「カフネ」で第22回本屋大賞を受賞した阿部暁子さんによる人気青春小説を映画化した『どこよりも遠い場所にいる君へ』が大ヒット公開中です。

ある秘密を抱える男子高校生・月ヶ瀬和希と、「神隠しの入り江」で倒れていた1974年からきたという謎の少女・七緒の出逢いから始まる感動の物語を、優しく美しく紡ぎ出していくアニメーション作品。

和希役は、ディズニー/ピクサー映画『リメンバー・ミー』で主演を務めた石橋陽彩さん。七緒役は、『あかね噺』や『超かぐや姫!』などで目覚ましい活躍を見せている次世代のエース、永瀬アンナさんが演じています。

少年少女の揺れる想いと秘密が複雑に絡み合うストーリーが反響を集めた作品の映画化。石橋さん、永瀬さんにお話を聞きました!

●原作も含め、作品の世界観については、どのような印象でしたか?

石橋陽彩(以下、石橋):原作を初めて手に取った時は、衝撃のラストもそうですが、二日間くらい立ち直れなかったほどでした。読み進めていく上で本当に世界観が面白くて、なおかつ次はどうなるのだろと惹かれていくストーリーがあって、本当に面白いなと思っていた作品でした。なので本作の脚本をいただいた時にいろいろ思い出してしまって、台本をチェックしながら泣きそうになってしまい、それくらい素敵な脚本でした。

永瀬アンナ(以下、永瀬):初めて小説を読んだのは中学生の頃だったのですが、読書好きの友だちがいて、めったに人におすすめしない子なんです。その子が「ちょっとアンナちゃん、これいいから読んでほしい」と。そんなにいいならと読み、読了後、見事に涙が止まらなかったんです。この作品がすごいなと思ったのは、若者の心に抱えている悩み、それを持ちつつも人とは関わっていかないといけない、その目的と葛藤の描き方が、リアルすぎるんですよね。当時中学生だったわたしにも分かるというか、感情移入できたことが、すごく記憶に残っていました。

石橋:実際にお芝居をするにあたり、小説を読んでいた気持ちを忘れるとは言わないけれど、新鮮な気持ちでやらなくちゃという気持ちもありつつ、あの時感じた感動と、胸にくる思いを忘れずに芝居しなきゃと思いながら、お芝居させていただきました。

永瀬:オーディションでアニメ化のことを知り、これはぜひ演じたいなと思って挑ませていただきました。アニメの脚本は原作をちょっと膨らませた、原作にない描写もところどころにあったりして、それもまたふたりの関係値の解像度がすごく高まったというか、中学生の時に読んだ作品って、何度でも読みたくなるし、観たくなると、改めて感じた作品ではありました。

●その物語が美しい映像でアニメーション作品となりましたが、みなさんにはどのようにおすすめしますか?

石橋:ただただ素晴らしい作品ですし、ストーリーもそうですけど、スタッフさんや役者の想い、その他いろいろなものが重なって、ひとつの作品になるということは、本当に素敵なことだと思います。僕らが演じたキャラクターの年齢と近いみなさんにも観ていただきたいです。

永瀬:キャラクターたちがそれぞれの人物に抱いている感情には、微妙にニュアンスの違いがあるんですよ。その違いもすごく面白いですし、何気ない動作から「この人はこういう感情を抱いていたのか」と気づく瞬間もあります。そうした部分も楽しめると思いますし、人物同士の関係性やストーリーを通して、一人ひとりの気持ちをじっくり掘り下げていくような面白さもあります。

石橋:1974年のネタも出てきたりするので、幅広い年齢層の人たちにも観ていただきたいです。何より「恋愛ものじゃないの?」とみなさん思うかもしれませんが、それ以上のものがこの作品にはあると思います。いろいろな要素がつまっているので、僕は家族で観に行くとすごく面白いと思います。

永瀬:物語が独り歩きしていくのではなくて、お客さんと一緒に考えて納得して、次のシーンに進んで行くというような、視聴者参加型アニメだなと思っているんです。このシーンの和希はどう捉えているのか、一緒に考える余白や余韻みたいなものがあり、それがすごく楽しめる作品になっていると思います。その点も踏まえて観ていただければうれしいです。

石橋:和希の父親自身もいろいろと抱えているけれど、その分、自分の子どもの友だちもすごく大切に想っているようなところもあり、読み解けばそういうところもあるので、幅広くたくさんの人にこの作品を楽しんでいただければと率直に思います。

●作品に声で命を吹き込み、みなさんに届けていくという声優の仕事の 面白さは、どのように感じていますか?

石橋:僕はこの作品で永瀬さんとお芝居をした時に、お互いタフで負けず嫌いというか、芝居に対する想いが貪欲だからこそ、どんどん掛け合いの幅が広がっていく感じがしました。自分のシーンじゃなくても、ちゃんと相手の芝居を聞いていたいなと、お互いあったと思います。

なのでよりこの現場には刺激をもらったし、実際に自分に対する成長にもつながったなと思いました。永瀬さんのお芝居がすごいから、本当に「こういうバリエーションで返して来るのか!」「ならこうしてみよう!」とか。毎回すごく新鮮にお芝居ができたかなと思いました。

永瀬:声優は職人なんだなって仕事を初めてから思ったことで、もともと舞台をやりたかったのですが、声について勉強するうちに面白くなり、今に至っています。たとえば距離感、遠い人・近い人で声の出し方が変わるなど、声優さんが意識・無意識でやっているかわからなけど、ちゃんと訓練して現場を重ねないとできない表現があるんです。難しいと感じます。

さらにそこに感情やお芝居を絵にどうやって上手く乗せるだろうとか、本当に専門職だなとすごく感じたんです。だから活躍されている、仕事をされている方たちは本当にすごいというか、器用というか、本当に尊敬します。

石橋:全然簡単じゃなくて、声マネとはまた違う領域というか、声先行ではなく、お芝居が変わるから声が変わって来るところもあるので、そういう意味でもとても繊細なお仕事なんだなと感じています。

●そのような努力を経て完成した作品がみなさんの元へ届いていますが、今改めてどのような心境でしょうか?

石橋:とてもわくわくしています! あの時の自分にしか出せなかった芝居だったと個人的には思っていて、半年以上前に録ったのですが、その時の自分にしか出せなかった芝居を、一年後にこうして劇場で観られるということは、僕自身も楽しみです。反省点を確認しながら観ることもあるのですが、当時の自分から参考になることもあるんですよね。

永瀬:緊張します(笑)。原作がとても素敵な作品なので、それが映像化されることで、ひとつの解、カタチになって出ていくわけじゃないですか。原作好きな方がどう受け止めてくださるのかなと緊張と不安もありますが、この作品は間違いなく素晴らしい作品なので、それを届けられるうれしさがあります。また、現場の空気感や、このふたりだからこそできる芝居の雰囲気、互いに貪欲に挑んでいることがすごくよく分かる作品にもなっていると思いますので、届けられることが楽しみです。

石橋:すぐに2回目が観たくなると思います(笑)!

●今日はありがとうございました!

■公式サイト:https://sh-anime.shochiku.co.jp/dokokimi-movie/ [リンク]

■ストーリー

豊かな自然にあふれた離島・采岐島――。
その島には、“神隠しの入り江”と呼ばれる場所があった。

とある事情で都会を離れ、采岐島の高校に進学した少年・月ヶ瀬和希は、
ある初夏の日、“神隠しの入り江”で一人の少女が倒れているのを発見する。

少女の名前は秋鹿七緒。
1974年からきたという七緒は、和希とその場に居合わせた高津という男性に保護されることになる。
七緒のことが気になり、それからたびたび放課後に彼女のもとを訪れるようになった和希。
やがて和希は、七緒から驚きの言葉を聞かされるのだった――

過去と現在が交わるとき、秘密を抱えた二人の未来が動き出す。

©阿部暁子/集英社・『どこよりも遠い場所にいる君へ』製作委員会

(執筆者: ときたたかし)

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