コーヒーの楽しみ方が、また変わってきた。アジア最大級のコーヒーイベント「SCAJ2026」で感じた3つの変化
シラクマ
京都でスペシャルティコーヒーショップ「ネオキ」を営む、ライター・編集者。モノだけでなく、音楽や本、アートなど、日々を穏やかに彩ってくれるものが好きです。デザインや生まれた背景を大切に、気になったプロダクトはまず試す。じっくり使い込みながら、自分なりの「これだ」と思える一品を探しています。
10月14日(水)〜17日(土)まで東京ビッグサイトで開催されている、国内最大級のスペシャルティコーヒーイベント「SCAJ2026」に行ってきました。
毎年、新しいコーヒー器具や豆、ドリンクに出会えるイベントですが、何年か続けて足を運んでいると、その年ごとの変化が見えてくるのもおもしろいところ。
今年も初日に会場をぐるっと回ってみると、これまで以上にコーヒーの楽しみ方が広がっているのを実感。
個人的に印象に残った、SCAJ2026の3つの変化を紹介します。
世界中のコーヒーが集まる「SCAJ2026」
「SCAJ」は、生産者やインポーター、ロースター、バリスタ、コーヒー機器メーカーなどが国内外から集まる、アジア最大級のスペシャルティコーヒーの展示会。
会場では世界各国のコーヒーを試飲できるほか、最新のコーヒー器具やマシンの展示、バリスタの競技会なども開催されていて、コーヒーショップで働く人はもちろん、一般のコーヒー好きの方でも楽しめます。
その規模もここ数年で大きくなっており、2024年には約7万5,000人だった延べ来場者数が、昨年は約9万7,000人に。
今年も4日間で約9万5,000人の来場が見込まれています。
「プロレベル」が、家庭でも楽しめるように
家庭用エスプレッソマシン「Profitec Go 2.0」
会場全体を回っていて、まず大きな変化を感じたのが、これまで店舗や業務用の機器に搭載されていた機能を、家庭でも楽しめるようになっていたこと。
数年前からこうした流れはありましたが、今年は特に小型のエスプレッソマシンや焙煎機の展示が目立っていました。
小型焙煎機「Aillio Bullet R2 Pro」
本格的な機能を備えながらも、家庭に置きやすいサイズになっていたり、家庭の電源で使える仕様になっていたり。
エスプレッソ、フィルターコーヒー、カプセル、ティーを抽出できる「Varia ORBI」
これまで家でコーヒーを楽しむといえば、豆を買って、挽いて、ハンドドリップで抽出するのがひとつの定番。
ですが、今年の会場を見ていると、そこからさらに一歩進んで、自分で生豆から焙煎したり、家でエスプレッソやカフェラテをつくったりすることも、以前よりずっと身近になっているように感じました。
こうした機器の前で実際にマシンを試したり、熱心に説明を聞いたりしている来場者が多かったのも印象的。
「お店で飲むような一杯を家でも楽しみたい」という人が、さらに増えているのかもしれません。
「コーヒー+○○」の組み合わせがもっと自由に
米と米糀からつくられた「KOJI BARISTA EDITION」
企業ブースを回っていて、もうひとつ印象的だったのが、アレンジコーヒーの幅がさらに広がっていたこと。
ラテに使うミルクひとつ取っても、牛乳やオーツミルクだけでなく、米と米糀からつくられた「KOJI BARISTA EDITION」のような新しい選択肢も登場していました。
MMCのシグネチャードリンク「COLOMBIA」「COSTA RICA — SCAJ LIMITED」「CHINA」
さらに、果物やお茶、ハーブなど、コーヒーの産地や味わいに合わせてさまざまな素材を組み合わせたドリンクも見かけました。
コーヒーを完成した飲み物としてではなく、ひとつの素材として捉えて味を組み立てる。
そんな楽しみ方が、以前よりもさらに広がっているようです。
その一方で、豆は「シンプル」に戻っていた
機器も飲み方もどんどん広がっていた一方で、コーヒー豆のトレンドとして感じたのは、少し逆方向の変化でした。
コーヒー豆は、収穫したコーヒーチェリーから種子を取り出して乾燥させるまでに「精製(プロセス)」と呼ばれる工程を経ます。
果肉を取り除いてから水洗いする「ウォッシュド」や、果実のまま乾燥させる「ナチュラル」など、その方法によって同じ産地や品種でも味わいが変わるのがおもしろいところ。
個人的に特に気になったのが、「ウォッシュド」のコーヒーです。
昨年までは、アナエロビックやインフューズドなど、精製の工程にひと手間加えることで、より個性的な香りや味わいを引き出したコーヒーを目にする機会が多かった印象があります。
もちろん今年もそうした豆はありましたが、それ以上に、ウォッシュドやナチュラルといった比較的シンプルな精製の豆をすすめられる機会が多いと感じました。
国内外のロースター&カフェが集結する「Coffee Village」
なかでもウォッシュドは、すっきりとしたクリーンな味わいに仕上がりやすく、豆そのものの個性を感じやすい精製方法のひとつ。
生産者、インポーター、ロースター、そして来場者の方々、立場の異なる人たちと話していても、「最近またウォッシュドを飲むことが増えた」「あらためてウォッシュドを選ぶことが多い」という話を何度も聞きました。
さまざまなプロセスのコーヒーを楽しんできたからこそ、あらためてシンプルなコーヒーのおいしさに目が向いているのかもしれません。
来年は「World of Coffee」へ
機材はより高度に、飲み方はより自由に。その一方で、豆そのものはあらためてシンプルな方向へ。
何年も続けてSCAJを見てきましたが、今年はそんな対照的な変化が特におもしろく感じられました。
「SCAJ2026」は、東京ビッグサイトで10月17日(土)まで開催中。(※南1・2ホールは10月16日(金)16時まで)
チケットを購入すれば一般の方も参加できるので、気になる方はぜひ足を運んでみてください。
そして来年は、開催予定だった「SCAJ2027」に代わり、世界各地で開催されているスペシャルティコーヒーの国際イベント「World of Coffee Tokyo 2027」が、4月28日〜5月1日に東京ビッグサイトで開催されます。
会場では、世界一のバリスタを決める「World Barista Championship 2027」も同時開催。
日本での開催は20年ぶりとのことで、来年は今年以上に大きなコーヒーイベントになりそうで、今から楽しみです。
ペーパーフィルターはどれも同じじゃない。世界大会でも使われる1枚は、やっぱりすごかった(値段は少し高いけど)
電動マシンも使ったけど、自宅ではこれが一番でした。コーヒーショップ店主が愛用する「片手サイズ」のエスプレッソメーカー
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