【全国2番目に小さな過疎の町に人が増加中?!】用事がなくても居ていい“まちの縁側”「MiiMo」。住民が自分たちでお店やイベントを始める拠点の凄み 奈良・三宅町

【全国2番目に小さな過疎の町に人が増加中?!】用事がなくても居ていい“まちの縁側”「MiiMo」。住民が自分たちでお店やイベントを始める拠点の凄み 奈良・三宅町

奈良盆地のほぼ中央に、全国で2番目に小さい町があります。面積4.06平方km、人口約6,300人の三宅町(奈良県)。その中心に、図書や学童保育、子育て支援、飲食などを一体にした複合施設「MiiMo(ミーモ/正式名称:三宅町交流まちづくりセンター)」があります。令和3年(2021年)の開館から4年目の令和7年度には、通常利用だけで延べ約38,000人が訪れました。過疎地でありながら、転入者が転出者を上回る「社会増」も実現したこの町で、まちづくりの一端を担うMiiMoを取材しました。

「用事がなくても居ていい」。壁のないワンフロアが生む、まちの縁側

お話しをお伺いしたのは、三宅町未来共創課の山内亮(やまうち・りょう)さん。
MiiMoの建設は、老朽化した公共施設を集約して建て替えるだけの事業ではありませんでした。目指したのは、「用事がなくても居ていい場所」。
MiiMoの設計を手がけたのは建築家の前田茂樹さん(ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ)。その設計コンセプトは、「公共建築らしさを消す」ことでした。

三宅町経営戦略課の増田翔さん(左)と未来共創課の山内亮さん(右)

三宅町経営戦略課の増田翔さん(左)と未来共創課の山内亮さん(右)(写真/筆者)

設計にあたっては、公共施設にありがちな堅苦しさや、合理性だけを重視した空間ではなく、あたたかみのある、居心地の良いカフェのような空間が目指されたといいます。
特徴的なのが、1階に壁の仕切りがほとんどないこと。コワーキング、飲食、フリースペース、多目的ホールといった目的の異なる機能が、ワンフロアの中にゆるやかに混ざり合っています。さらに予約制の「MiiMoホール」も、通常時は仕切りがなく開け放たれています。屋外と屋内の中間のような「大屋根」の下では、雨の日でも子どもたちが過ごせ、広場と館内をつなぐ「大階段」は、座る・待つ・遊ぶ・移動するといった行為が自然に重なる場所になっています。
「誰が何をしていてもいい。目的なく滞在できて、中と外をゆるやかにつなぐ、地域の縁側のような場所であることを目指しています」(山内さん)

壁の仕切りがない1階フロア。奥にあるホールと一体となった休憩、学習スペースがゆるやかに重なり合う

壁の仕切りがない1階フロア。奥にあるホールと一体となった休憩、学習スペースがゆるやかに重なり合う(写真/筆者)

その設計は、利用者の過ごし方にあらわれています。放課後や休日には、中高生や学生が図書・自習スペースへ自発的に通う姿が日常になりました。施設には「家以外に集中できる場所ができた」「無料で、自分だけでも通いやすい」「本を読むだけでなく、学校帰りの居場所になっている」といった利用者の声が寄せられています。
未就学児や小学生を連れた家族は、絵本、広場、大階段、大屋根下、イベント、「MiiMo食堂」を思い思いに組み合わせて滞在します。MiiMo食堂は、建物の玄関脇に面した、日替わりで店主が替わる飲食スペース。家族連れの昼食の場として親しまれています。「子どもと一緒に過ごしながら食事もできる」「館内外を行き来でき、親子で長く過ごせる」。子育て支援を専用の部屋だけに閉じず、図書・食・広場・イベントを含む施設全体で支えようという考え方が、こうした過ごし方を可能にしています。共働き世帯を支える学童保育も、令和6年度には延べ14,000人超が利用する、暮らしに欠かせない機能になっています。

建物3階にある子育て相談の専用窓口、子育て世代包括支援センター

建物3階にある子育て相談の専用窓口、子育て世代包括支援センター(写真/筆者)

高齢者や地域住民にとっては、食堂での昼食や図書の閲覧、知人との会話が目的になります。MiiMoに足を運ぶ理由として、「特別な用事がなくても立ち寄れる」「来れば誰かに会える」「講座や食事をきっかけに外出する機会になる」といった声があがっているそう。人口6,335人(2026年8月時点)の、小さな町ならではの町人同士の距離感が、場を生き生きとさせています。予約して部屋を借りる従来の公民館とは違う、予約のいらない居場所があることの価値が、確かに効いているようです。

住民の声を“翻訳”してつくる。

MiiMoの出発点には、いくつかの町の課題がありました。もともとあった公共施設が老朽化し、耐震性が不足していたこと。図書や集会機能を持つ中央公民館と、学童保育などを担う「総合センター」が別々の場所に分散し、小さな町でありながら移動の非効率が生じていたこと。そして、「子どもを真ん中に据えたまちづくり」を掲げる町長の思いです。
背景にあったのは、過疎化で子どもも人口も年々減るなか、子育て世帯の定住を増やしたいという狙いでした。自身も子育て世代だった若い町長のもとで、子育てのニーズが町政に届きやすかったといいます。MiiMoを含むまちづくりの取り組みによって、三宅町の子育て世帯数は令和3年度から令和7年度にかけて、442世帯から472世帯に増加しています。
「公共施設としては当時、公民館はあったものの、目的なく集まれるような場所がありませんでした。箱をつくるだけでなく、人の居場所として、やりたいこと・できることを後押しできる場所をつくろう、という思いが背景にありました」と山内さんは振り返ります。耐震性能不足で学童保育の拠点が閉鎖され、小学校の一室を借りる状態が続いていたことも、整備を急ぐ理由になりました。

放課後の児童・学生たちが、自由に時間を過ごしている。右手奥がコワーキングスペース

放課後の児童・学生たちが、自由に時間を過ごしている。右手奥がコワーキングスペース(写真/筆者)

「居場所」への思いの背景を、経営戦略課の増田翔(ますだ・しょう)さんはこう語ります。「計画をつくる以前は、町中を歩いていても人と会うことがなく、子どもたちが遊ぶ場所もほとんどありませんでした。以前の施設を利用していた文化・スポーツ団体の方に話を聞くと、どなたからも共通して、子どもたちへの思いが出てくる。子どもが中心になって、高齢者と子どもの交流が生まれるような場所が、特に町の中心部にできれば、と考えたんです」。買い物ができる店が少なく、隣町まで車で出るのが当たり前という町で、中心部に人が集える場所をつくる意味は小さくありませんでした。
特徴的なのは、計画そのものを「まちづくり」として、住民とともに練り上げたことです。平成29年度の基本構想、翌年度の基本計画をつくる段階で、公募で集まった13人の固定メンバーによる「町民プロジェクト会議」を全5回開催。あわせて既存施設の利用者アンケート(平成29年、計103人)や、地域で活動する人へのヒアリングも重ねました。

駅前からMiiMoへ至る道。商店街もなく、駅を降りるとすぐ住宅街が広がっている

駅前からMiiMoへ至る道。商店街もなく、駅を降りるとすぐ住宅街が広がっている(写真/筆者)

三宅町役場(正面)と、文化ホール(左)

三宅町役場(正面)と、文化ホール(左)。道路を挟んで左奥に、小学校がある。町の中核機能が集約されている(写真/筆者)

「13人の固定メンバーには、定年後の方だけでなく、現役で働く方々にも入っていただけて、結果的にバランスの取れた顔ぶれになりました」(山内さん)
さらに三宅町らしさが表れているのが、子どもの声を設計に反映させたこと。基本計画づくりの際に「子ども会議」を設け、そこで出た意見を建物に取り入れました。「将来この施設を使う子どもたちの意見は絶対に反映させたい。町長のそんな方針がありました」と山内さんは言います。図書フロアのキッズスペースや2階テラス、そして駄菓子の取り扱いも、そうした声から生まれたものです。
寄せられた声は、そのまま機能を足し算するのではなく、設計条件へと「翻訳」されました。「公共施設は用事がないと行かない」「行ったら誰かがいる場所がよい」という声は、予約なしで滞在できる1階のフリースペースへ。図書スペースについての「にぎやかに過ごせる場所と静かに本を読める場所の両方がほしい」という要望は、オープンな閲覧席と静かな自習席とを分けることで実現されています。特定の一つの要望をそのまま造形にするのではなく、複数の意見をデザインによって統合する、それがMiiMoの空間です。

子ども向けから大人向けまで、多世代の本が並ぶオープンな書棚。左奥に、放課後の子どもたちでにぎわう学童保育のスペースがある

子ども向けから大人向けまで、多世代の本が並ぶオープンな書棚。左奥に、放課後の子どもたちでにぎわう学童保育のスペースがある(写真/筆者)

大型絵本も充実する、読み聞かせコーナー

大型絵本も充実する、読み聞かせコーナー(写真/筆者)

自習室としても使えるクローズドな閲覧室

自習室としても使えるクローズドな閲覧室(写真/筆者)

もっとも、新しい施設をつくることに、当初から町全体が賛成していたわけではありません。
「建設をめぐっては、議会でも賛否が分かれていました」と山内さんは説明します。反対の理由の多くは費用面。人口減少社会のなかで、子育て支援センターや学童保育といった子どものための施設に、そこまでお金をかける意義があるのか、という声もありました。
それでも、と山内さんは続けます。「建って5年が経ちますが、現在では、施設が地域に受け入れられてきていると感じています」

町民プロジェクト会議や子ども会議など、住民が計画段階から参加した

町民プロジェクト会議や子ども会議など、住民が計画段階から参加した(写真提供/三宅町)

小さく試せる仕組みが、まちに挑戦を増やす

MiiMoには、住民が「小さく試せる」仕掛けがいくつも組み込まれています。その象徴が、玄関の外に面した「MiiMo食堂」です。

MiiMo食堂。購入したメニューは広場や2階テラス、大階段、屋内のエントランスホールで食べることができる

MiiMo食堂。購入したメニューは広場や2階テラス、大階段、屋内のエントランスホールで食べることができる(写真/筆者)

利用者の希望を元に、毎月の営業カレンダーを決定している

利用者の希望を元に、毎月の営業カレンダーを決定している(写真/筆者)

保健所の許可を取った飲食店でありながら、ここは日替わりで店主が替わる「シェアキッチン」。現在は約20者が登録し、毎週火曜日に出る人、第4日曜日だけ出る人など、それぞれの希望に合わせて日々の店舗を埋めていきます。背景にあるのは、三宅町内に飲食店がきわめて少ないという課題でした。
「初めて飲食店を出店するとき、いきなりテナントを借りて改修して……となると、ハードルがとても高い。そのハードルを下げて、自分にできるかどうかを、まずここで試してもらうんです」と山内さん。安価に場所を貸し出すことで、MiiMo食堂は「飲食店のスタートアップ施設」として機能しています。
出店する人たちからは「自分の店舗を持つ前に小さく始められる」「お客さんの反応を直接聞ける」「地域との接点ができる」といった声が届いています。実際に、ここで営業を続けた出店者のなかから、近隣の空き家を利用して自分の飲食店を開いた人も生まれました。
同じ発想は、玄関を入って左手のコワーキングスペースにも通じています。利用料は1時間100円から、1日最大500円、月額なら使い放題で7,000円。オプションで法人登記や個人事業の開設、郵便物の受け取りにも対応し、実際にMiiMoを拠点に法人活動をする人も生まれています。コワーキングをきっかけに創業した人も、これまでに2名ほど出てきました。

1階のコワーキングスペース

1階のコワーキングスペース。エントランスとの仕切りはなく、子どもたちの声が漏れ聞こえてくる(写真/筆者)

こうした「挑戦を後押しする」姿勢は、施設の使い方全体に貫かれています。1階の多目的スペース「MiiMoホール」では、前の公民館ではできなかった多種多様な催しが開かれるようになりました。マルシェ、ファッションショー、室内競技モルックの練習、eスポーツ大会、落語会。最小限の禁止事項(勧誘行為や火気の使用など)を除けば、相談ベースで自由に使えます。
象徴的なのが、ある会社が懇親会でMiiMoを貸し切りにしたときのこと。この施設は構造上、フロアを完全に閉じることができません。そのため会社の集まりでありながら、地域にも開かれた会になり、用意された金魚すくいやスーパーボールすくいには、居合わせた地域の子どもたちも加わったといいます。中央公民館の時代には町主催以外のイベントがほとんどなかったといいますが、今では年2回ほどの町主催イベントを除き、大半が民間の住民たちの手による催しです。

予約制のMiiMoホール

予約制のMiiMoホール。左手の壁面は鏡になっており、ダンス教室などの利用で活躍する(写真/筆者)

にぎわいは、建物の外にも広がります。前の芝生広場は開放されていて、ふだんは学童の子どもたちが自由に駆け回り、イベントのときには区画を占有して催しの舞台にもなります。こうした使い方のルールやお約束は入口の看板に掲げられていますが、これも町の一存ではなく、住民らでつくる「MiiMo運営委員会」が話し合って定めたものです。

芝生広場で行われた、地元生徒によるブラスバンドの演奏会

芝生広場で行われた、地元生徒によるブラスバンドの演奏会(写真提供/三宅町)

MiiMo運営委員会で定めた、「MiiMoひろばのおやくそく」。最低限の禁止事項が決められている

MiiMo運営委員会で定めた、「MiiMoひろばのおやくそく」。最低限の禁止事項が決められている(写真/筆者)

運営委員会は、施設を町だけで運営するのではなく、住民とともに決めていくために設けられた会議体です。メンバーは、計画段階の「町民プロジェクト会議」に参加した人など、まちづくりに関心の高い住民が中心で、任期は3年。イベントを自ら企画する団体ではなく、利用ルールや各年度の活動方針、予算・決算といった運営の根幹を、町と一緒に決める意思決定の場です。開館直後の令和5・6年度は、細かなルールを整える議論が相次ぎ、会議は年7回ほど開かれていましたが、必要な取り決めが一巡した令和7年度は年3回に。運営が軌道に乗るにつれ、話し合うテーマも落ち着いてきました。
利用者を「サービスの受け手」ではなく、「施設の魅力を生み出す担い手」として位置づける。その考えを制度にしたのが「MiiMoクラブ」です。MiiMoを拠点に活動する住民や団体を登録し、安価な料金での利用や早期予約といった特典を用意する一方、大掃除やお祭りへの参加といった責任も担ってもらう仕組みです。興味深いのは、町内外を問わず登録できること。
「行政サービスとしては、自分の町の住民を優先するのが一般的だと思います。でもMiiMoクラブは、あくまでMiiMoの理念を実現していく団体。ここから新しいものが生まれて地域に波及していくなら、町内でも町外でもいいじゃないか、という考え方なんです」(山内さん)
MiiMoを起点にした動きは、施設の外へも広がっています。増田さんは言います。「MiiMoは地域おこし協力隊の拠点にもなっていて、彼らがここから町へ飛び出し、課題を解決していく。聖徳太子が通ったとされる『太子道』沿いの空き家を活用した交流の場ができたり、酒屋さんの一角を借りて、毎週金曜に飲食を楽しめる『角飲み』が始まったり。MiiMoを起点に町へ広がっていく動きが、三宅町らしさになりつつあります」
町の特産品である金ごまは、人の動きがあるMiiMoで販売するようになって売り上げが大きく伸びているそう。焙煎機も導入し、加工から販売までMiiMoで完結する仕組みです。小さな挑戦が、まちの経済にまで少しずつ広がっています。

窓口で販売されている金ごま

窓口で販売されている金ごま(写真/筆者)

1階のシェアキッチン

1階のシェアキッチン。予約制で利用でき、調理したものはホールやエントランスホールで食べることができる。左手奥に金ごまの焙煎機も(写真/筆者)

完成品ではなく「育てる」。住民が主役になっていく

取材のなかで、山内さんが繰り返し口にしたのが「育てる」という言葉でした。MiiMoは完成された公共施設ではなく、住民や利用者の関わりによって少しずつ育っていく施設だ、という考え方です。それがもっともよくあらわれているのが、施設で生まれる催しの成り立ちです。
たとえば、毎年開かれる「MiiMoでひな祭り」。飾られる雛壇や人形、竹でつくった結界は、地域の人たちが自分で持ち込み、設置し、撤収まで手がけています。5回目を迎えた今年は、お内裏様とお雛様そのものを住民が手づくりしました。きっかけは、4回目のときに「こうしたらよかったのに」と感想をもらした住民に、1階のコンシェルジュが「ぜひ、次はご自身の手で形にしてみませんか?」と声をかけたこと。その人が地域の仲間を集め、人形を一からつくり上げたのです。
「行政が主導でお祭りをやりました、ではなく、地域の方との協働です。私たちは伴走者として支援する。地域の方が実践者となって、実際のイベントを形づくってもらう。そういう運営を意識的にとっています」(山内さん)
似た循環は、あちこちで起きています。スタッフが始めた絵本の読み聞かせは、「自分もやりたい」という住民が加わって第7回を数え、今では地域の人が子どもたちに読み聞かせるイベントへと育ちました。写真が趣味の人と短歌が趣味の人によるコラボ展は、館内で初めての展示イベントとなり、それを見た文化協会の人たちが、半年にわたって作品を入れ替えながら展示するきっかけになりました。
「誰かがやったことに対して、『自分もできる』『やってみたい』という声が上がって、それが回っていく。それがMiiMoの5年目の変化です」と山内さんは言います。開館以来続く大掃除には、昨年は約50人が参加。MiiMoクラブの人もそうでない人も集まる姿に、「みなさんMiiMoに愛着を持って関わってくださっているんだな」と感じたそうです。

ホールに設置されたひなまつりの飾り

ホールに設置されたひなまつりの飾り(写真提供/三宅町)

ひなまつりの準備には地域住民の方々がボランティアで参加した

ひなまつりの準備には地域住民の方々がボランティアで参加した(写真提供/三宅町)

MiiMoでの取り組みは、町外からも注目を集めています。以前はほとんど視察に訪れる人のいなかった三宅町に、昨年は全国から約20件の視察が寄せられたといいます。
こうした動きは、三宅町が掲げる価値観と地続きです。町のビジョンは「自分らしくハッピーにスモールタウン」。職員は住民の「伴走者」であり、大切にするのは「対話」「挑戦」、そして「失敗」を許容すること。行政も自治会も担い手が細っていくなかで、住民一人ひとりの「できること」を増やし、これまでできていたことの空白を埋めていく。MiiMoは、その考え方を形にした拠点でもあるのです。

MiiMoの階段室には、町民が掲げた挑戦、「MIYAKE CHALLENGE 100」のカードが貼られている

MiiMoの階段室には、町民が掲げた挑戦、「MIYAKE CHALLENGE 100」のカードが貼られている(写真/筆者)

増田さんは、施設の位置づけについても補足します。「町長の方針として、住民との対話を重視しています。町と住民、住民同士の交流を生む施設になればという思いから、施設名称にも“交流まちづくりセンター”という言葉が選ばれました」
もちろん、いいことばかりではありません。交流を意図して壁を減らした設計は、裏を返せば音が伝わりやすいということ。集会室のにぎやかな声が、隣でオンライン会議をするコワーキング利用者に届いてしまうこともあります。
「交流にはポジティブな面だけでなく、大きな声が騒音になる面もあります。そこはご理解いただいたうえで使っていただいているのが実情です」と山内さんは正直に語ります。とはいえ、それも計画段階から想定されていたこと。利用者の理解に支えられ、この1年はクレームもほとんど聞かれなくなったといいます。運営のルールや予算も、町が一方的に決めるのではなく、先に触れたMiiMo運営委員会と話し合って決めていきます。完成後も手を入れ続ける姿勢が、施設を「育てる」ことを支えています。
決して「完成した立派なハコ」ではなく、日々「これをどうするか」と問題が出てくると山内さんは言います。5年先、10年先にはまた違う課題に取り組んでいるだろうとも話していました。それでも、その一つひとつに住民とともに向き合いながら、少しずつ形を変えていく。その過程そのものが、まちへの愛着を育てていくのでしょう。
関わりしろのある施設は、住民自らが考えて行動するきっかけにもなり、新たな挑戦が生まれていく場として育ってきています。
奈良県三宅町を訪れる機会があれば、まちの縁側・MiiMoに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

大屋根下のテラス

大屋根下のテラス。芝生広場に向かって開けた空間が心地良い(写真/筆者)

●取材協力
三宅町役場 三宅町交流まちづくりセンター MiiMo

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