TCLのSQD-Mini LED搭載テレビはなぜ高画質なのか その理由が中国の開発・製造拠点に行って分かった気がする

TCLはこの春から俳優の山﨑賢人さんをブランドアンバサダーに迎え、「いちばん綺麗に、観て欲しい。」のブランドコピーと共に2026年モデルのテレビ新製品のプロモーションを積極的に展開しています。2026年モデルの中心ラインアップ「X11L」「C8L」「C7L」の各シリーズで全面的に打ち出しているディスプレイ技術が、「SQD-Mini LED」。スーパー量子ドット(SQD、Super Quantum Dot)を採用した液晶パネルにより、広い色域で色再現の精度を向上した高画質を実現する、という最新技術です。

7月18日から20日の3連休にヨドバシカメラ マルチメディアAkibaでは、フラッグシップモデルのX11Lを筆頭に、山﨑さん主演の映画「キングダム 魂の決戦」の映像を交えてSQD-Mini LED搭載テレビを体験できるイベントを開催。X11Lの98インチ大画面と色鮮やかな美しい映像を楽しむことができました。TCL JAPAN ELECTRONICSは9月中旬までの毎週末、店頭体験イベントの開催を予定しています。

SQD-Mini LEDが生み出す高画質

SQD-Mini LEDの画質をアピールする際、同社が用いる指標が「100% BT.2020」。国際電気通信連合(ITU)が策定した広色域規格「Rec. ITU-R BT.2020」の色域を、同社の測定条件で100%再現できるとしています。TCLはパネルメーカーのCSOTを傘下に持ち、画質の核となるパネル開発から完成品の製造まで一貫して行えるのが強みです。100% BT.2020を支える技術として、次の3点を挙げています。

ひとつは「高精細なバックライト制御」。液晶(LCD)のバックライトに微細なLEDを敷き詰め、数千以上のエリアに分割して調光(ローカルディミング)を行うことで高コントラストを実現するMini LEDの技術をさらに進化させ、X11Lでは最大2万分割を超えるローカルディミングを実現しています。さらに、バックライトの光を極限まで制御することで、液晶テレビの弱点である「ハロー現象(光漏れ)」を抑えつつ、有機ELに匹敵するコントラストと液晶ならではの高輝度を両立しているのが特徴です。

もう一つは、液晶パネルの「スーパー量子ドット」層。同社のSQD-Mini LEDは、高輝度で長寿命な青色単色光のMini LEDバックライトを使用し、バックライトからの光がパネルの量子ドット層を通過する際にRGBの3色の光に変換される仕組み。SQD-Mini LEDは粒子サイズの調整とコアシェル構造の改良によりRGB3色の純度が高まり、従来製品と比べて色再現の精度が69%向上しているのが特徴です。より基準色に近く、広い色域を実現します。

3点目が「ウルトラカラーフィルター」。カラーフィルターの役割は、色の不純物を減らして最終的に画面に表示する画像の色をより正確にする、というもの。従来は粒径60~80nmの顔料を使用していたところ、ウルトラカラーフィルターは粒径5nm未満のキサンテン色素分子を使用し、光の透過率を大幅に向上しました。これにより、従来製品と比べて色域を33%向上しています。

開発拠点を取材して理解が追いついてきた

……と、SQD-Mini LEDが高画質を実現する技術について説明してきましたが、発表会のプレゼンテーションや説明資料を見ても、実はこれまでSQD-Mini LEDについてイマイチ理解が追いついていなかった筆者。7月にTCL JAPAN ELECTRONICSが開催したメディアツアーに参加して、中国の開発拠点や製造拠点を取材したことで、ようやくその概要を理解ができてきました。

恵州市にある製造拠点となる恵州液晶産業園では、生産技術の研究やテストを行うラボが見学できた他、研究開発を担当するドクター陣によるSQD-Mini LEDの技術解説を聞くことができました。

TCLでは画質を評価する要素として「1.解像度」「2.輝度」「3.コントラスト」「4.色彩」「5.リフレッシュレート」の5つの要素を定義。その中でも解像度とリフレッシュレートについて、4K 144Hz以上は人間の目では違いが分からず、技術的に限界を迎えていることから、2から4の輝度・コントラスト・色彩の研究に力を注いでいるとのこと。

上記で説明した要素技術の説明に加えて、高集積なLEDチップやハロー現象を抑制するシリコンレンズ、広視野角を実現する液晶パネル「WHVA 2.0」といった最新技術について学ぶことができましたが、体験することでより理解が深まったのが、次に紹介する実機によるデモ展示でした。

百聞は一見に如かず! 理解が深まったデモ展示

高精細なバックライト制御が実現する画質の違いは、2列のLEDバックライトを搭載するテレビと4列のMini LEDバックライトを搭載するテレビの比較から理解できます。より精密な制御ができるMini LEDバックライトは、画面の暗い部分は暗くして必要な個所を明るく照射することができるので、色彩・輝度・コントラストが2列のLEDバックライトより優れていることが分かります。特に円のパターンが回転する映像では、動きの滑らかさとコントラストが一目瞭然でした。

SQD-Mini LEDと、バックライトにRGB3色のLED光源を搭載するRGB-Mini LEDの比較展示も。SQD-Mini LEDでは元の映像が想像できるレベルでバックライトが詳細な描写をしているのに対して、RGB-Mini LEDはバックライトの像が粗く、ボンヤリして見えます。

バックライトを拡大して写すと、その違いがよく分かります。SQD-Mini LEDは青色のLEDを高密度で実装できるのに対して、RGB-Mini LEDは同じ面積にR・G・Bの3色の光源を用意する必要があるため、スカスカに見えてしまいます。

SQD-Mini LEDの高精細なバックライト制御の優位性は、中国大手ECサイト京東(JD.com)が深圳に実店舗を構えるJD MALLの店頭でもアピールされていました。分割数の多いLEDバックライトと量子ドット層により、色彩とコントラストが優れることが一目で分かるモデルが展示されています。

複数台のテレビを並べて映像を比較できるデモルームも体験することができました。写真では左側にあるのがSQD-Mini LED、右側にあるのがRGB-Mini LED。

赤い飛行機に乗ったペンギンのキャラクターを表示する映像では、RGB-Mini LEDはキャラクターの白い部分が赤色に染まって見えます。色の四角形に白の十字を表示する映像では、RGB-Mini LEDは白の十字に色にじみが発生していることが分かります。SQD-Mini LEDはスーパー量子ドットとウルトラカラーフィルターにより、高レベルな色の再現性を実現していることが体験から理解できました。

パネル工場で先端製品と生産ラインを見学

深圳市にあるCSOTは、半導体用シリコンウェハーや液晶パネルの製造拠点となる大規模な工場。マザーガラスからテレビ用パネルを切り出し、TFT基板とカラーフィルター基板を製造する工程はロボットによる自動化が進み、ほぼ無人だったことに驚いたのですが、残念ながら撮影は禁止。

工場のショールームでは、最新の11世代(3370mm×2940mm)の巨大なマザーガラスの展示や地球最大という115インチのQD-Mini LEDテレビ、CSOTから他のデバイスメーカーに供給する折りたたみディスプレイなど先端製品の事例を見ることができました。

供給先のロゴが並ぶ展示を見ると、ソニーやパナソニックを含む各国の著名メーカーがズラリ。パネルメーカーとしてのスケールと市場での存在感を実感することができます。

日本市場は「ブランドコーチ」 新しい体験の提供を重視

メディアツアーではTCL経営陣がインタビューに答え、日本市場の位置づけや今後の展開について語りました。

「日本はブランド価値を高めるために重要な挑戦の市場」と語るのは、TCL実業ホールディングス APBGマーケティング本部 総経理の張国栄氏。「ブランドコーチ」という表現を用いて、高い技術力のメーカーが集まる日本の市場競争に参加することで、消費者のニーズを見出せるお手本となる市場であるという認識を示しました。日本市場で成功するには技術だけでなく、「生活シナリオに適した製品」「日本の消費者によるブランドへの信頼」「安全性や耐久性、省エネ基準を満たす安心感」が重要だと考え、長期的な信頼関係を構築するための努力を続けているとコメントしました。

日本の消費者に「迫力ある大画面の体験を届けたい」と語るTCL実業ホールディングス スマートスクリーン関連事業本部 副総経理 兼 グローバルプロダクトオペレーションセンター 総経理の左波氏。グローバルのテレビ市場で「サイズの大型化」「高画質の追求」という流れが進む中、日本市場は住環境の影響から大画面へのニーズがまだ少なく、耐震性や環境への配慮も求められるユニークな市場だと分析します。Mini LED搭載製品は明るさ、カラー、体験、使用年数、コストパフォーマンスがOLEDを上回るとして、日本市場のニーズに合った製品の提供に自信を見せました。

ソニーが2026年3月に発表した、TCLとのジョイントベンチャーの設立についても「日本市場でTCLはソニーと友好的なブランドマトリクスを実現する」とコメント。ジョイントベンチャーが管理・運営する「ソニー」「ブラビア」のブランドとTCLのブランドはそれぞれ独立した運営を維持し、今後の体制や運営について両者で緊密にコミュニケーションが行われているとしています。今後の動きに注目できそうです。

TCL JAPAN ELECTRONICS マーケティング戦略本部 本部長の久保田篤氏は日本市場への展開について、技術や製品の訴求だけでなく「ブランドコミュニケーションの強化にも力を入れている」とコメント。俳優・山﨑賢人さんのブランドアンバサダーへの起用は、先進性やスタイリッシュなブランドイメージを身近に感じてもらう取り組みのひとつ。機能やスペックを伝えるだけでなく、「こんな新しい体験を届けるブランドなのか」という共感を生み出したいとしています。記事冒頭のヨドバシカメラでの体験イベントも、この方針に沿った取り組みであることが理解できます。

機会があれば店頭でその高画質を体験してみて欲しいのですが、ベゼルの薄さや、約2cmという本体の薄さにも注目してみることをおすすめします。8月16日まで、「いちばん綺麗に、観てほしい。」キャッシュバックキャンペーンも開催中。対象となるTCLテレビとサウンドバーを購入することで、最大15万円分のキャッシュバックが受けられます。詳細は店頭のチラシを確認してみてください。

取材協力:TCL JAPAN ELECTRONICS

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宮原俊介

宮原俊介(エグゼクティブマネージャー) 酒と音楽とプロレスを愛する、未来検索ブラジルのコンテンツプロデューサー。2010年3月~2019年11月まで2代目編集長、2019年12月~2024年3月に編集主幹を務め現職。ゲームコミュニティ『モゲラ』も担当してます

ウェブサイト: http://mogera.jp/

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