【母子留学】”教育移住”で脚光のマレーシアのリアル。家賃10万円代で150平米の絶景豪邸も、円安で年1000万円?!

【母子留学】”教育移住”で脚光のマレーシアのリアル。家賃10万円代で150平米の絶景豪邸も、円安で年1000万円?!

近年、子どもの教育をきっかけに、一定期間海外で暮らす“教育移住”という選択肢が注目されている。なかでも人気を集めているのが、マレーシアだ。

「子どもたちには、将来“世界のどこでも働ける人”になってほしい」。夫の仕事をきっかけにマレーシアへ渡ったK.C.さん一家。現在は同国の都市ジョホール・バルで、“母子留学”という形で暮らしている。150平米・家賃10万円台の住まい、多民族環境での子育て、そして海外生活のリアルとは。マレーシアの留学エージェント「ルシュエット」中村さんへの取材とともに、マレーシアへの“教育移住”の実態を聞いた。

“教育移住”として広がるマレーシア母子留学

シンガポール国境にも近い、ジョホール・バルの高層コンドミニアム群。近年は大型開発が進み、教育移住先としても注目を集めている(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

シンガポール国境にも近い、ジョホールバルの高層コンドミニアム群。近年は大型開発が進み、教育移住先としても注目を集めている(撮影/SUUMOジャーナル編集部)

もともとインターナショナルスクールは、1920年代のヨーロッパで、外交官や海外駐在員など“国境を越えて働く家庭”の子どもたちの教育環境として始まったもの。かつては、「親の仕事に子どもの教育が付随する」形が一般的だったが、近年は、「子どもの教育のために暮らす場所を選ぶ」という考え方が広がりつつある。

そんな中、日本人家庭の間で近年注目されているのが、「母子留学」だ。なかでも人気を集めているのが、マレーシアである。マレーシア母子留学を支援する留学エージェント「ルシュエット」の中村さんによると、コロナ禍以降、母子留学に関する問い合わせは大きく増えているという。
「コロナ禍以降のここ3~5年ほどで、マレーシアを選ぶ方が増えています。特に未就学児~小学校低学年くらいのお子さんを持つご家庭からの相談が増えていますね」

背景にあるのは、英語教育への関心だけではない。多民族国家ならではの多様性、安全性、日本からの距離感、比較的現実的な生活コストなど、“家族で暮らす場所”としての魅力を感じる家庭が増えているという。

K.C.さん一家がシンガポールで過ごしたクリスマスの様子。「シンガポールは近隣国なのでジョホール・バルに住む魅力のひとつはシンガポールの雰囲気も味わえることにあります。教育施設や習い事、観光など気軽に行けるのがいいですね」(画像提供/K.C.さん)

K.C.さん一家がシンガポールで過ごしたクリスマスの様子。「シンガポールは近隣国なのでジョホール・バルに住む魅力のひとつはシンガポールの雰囲気も味わえることにあります。教育施設や習い事、観光など気軽に行けるのがいいですね」(画像提供/K.C.さん)

「世界のどこでも働ける子に」という教育観から教育移住を決断

K.C.さんは、ホテル業界や航空業界で働いた後、現在はソムリエ資格を生かし、オンラインで日本のソムリエ学校の認定講師として活動している。

そんなK.C.さん夫妻には、以前から共有していた教育観があった。
「最終的に、子どもたちには“世界のどこでも働ける人”になってほしい、という思いがありました」

夫はAI関連ビジネスに携わっている。
「夫は、AI時代だからこそ“思考力”が必要だと言っています。AIを使う側に回るには、自分の考えを持っていることが大事だと。そのためには、日本語も英語も両方必要だよね、という考えがベースにありました」

AIによって言語の壁が下がっていく時代だからこそ、「何を考え、どう伝えるか」がより重要になる──。そう考えた夫妻は、長男を2~3歳ごろから日本のインターナショナルスクールへ通わせるなど、幼少期から多様な言語や文化に触れられる環境を意識していた。

2023年4月、夫の仕事で一家がマレーシアへ移住した当初は “永住”を前提としていなかったが、現地での生活を重ねるなかで、子どもたちは多言語や多文化に囲まれた暮らしに自然になじんでいった。
その後、夫の仕事が多忙になり日本へ帰国することになった際も、K.C.さんは子どもたちとともにマレーシアに残ることを決意する。
「夫の帰国が決まったときには、すでに現地での子どもたちの生活やベースが出来上がっていました。もう一度大きく環境を変えるよりも、ここでの経験を見届けたいと思ったんです」

大きな窓の先に広がる、マレーシアらしい濃い緑。K.C.さん一家は、ジョホール・バルの高層コンドミニアムで母子生活を送りながら、子どもたちをインターナショナルスクールへ通わせている(画像提供/K.C.さん)

大きな窓の先に広がる、マレーシアらしい濃い緑。K.C.さん一家は、ジョホール・バルの高層コンドミニアムで母子生活を送りながら、子どもたちをインターナショナルスクールへ通わせている(画像提供/K.C.さん)

今、欧米ではなくマレーシアが選ばれる理由とは

K.C.さん一家が移住先として選んだマレーシア南部、ジョホール・バルは、シンガポールと国境を接する都市。近年はインターナショナルスクールやコンドミニアム開発も進み、日本人の母子留学先としても注目を集めている。

留学先として、アメリカやオーストラリアなど欧米圏でなくマレーシアを選択肢に入れる日本人家庭が増えている背景について、ルシュエットの中村さんはこう話す。
「欧米に比べると費用を抑えやすいですし、日本との時差もわずか1時間。日本食も手に入りやすいので、“初めての海外生活”として選びやすいです」

また、マレーシアはマレー系、中国系、インド系を中心に、異なる宗教や文化を持つ人々が共存する多民族国家だ。街には多様な言語が飛び交い、異なる価値観が日常の中に自然に溶け込んでいる。K.C.さんも、この「互いの違いを前提に尊重し合う文化」に強く魅力を感じていた。
「首都クアラルンプールに住んでいた方から、『マレーシアはみんながお互いを尊重しながら暮らしている国だ』という話を聞いたんです。子どもの感性が柔軟な時期に、多様性を細胞レベルで感じてもらえたらいいなと思いました」

実際、ジョホール・バルで暮らし始めてから、K.C.さん自身の価値観にも大きな変化があった。
「日本では、どうしても周りの子と比べてしまうことがありました。でも、こちらに来てからは、『いろんな子がいていいんだ』と思えるようになったんです。この子たち自身をちゃんと見よう、という感覚に変わりました」

中村さんも、「英語教育だけではなく、“日本だけが正解ではない”と感じられることが、海外生活の大きな価値だと思います」と話す。
海外で暮らすことで、子どもの教育だけでなく、「どんな価値観の中で子育てをしたいか」を改めて考える家庭も多いという。多様な文化に触れる経験は、子どもだけでなく、親自身の価値観にも少しずつ変化を与えていく。

多民族国家のマレーシアでは、イスラム教だけでなく、ヒンドゥー教や仏教などさまざまな宗教文化が身近にある。写真は、ディーパバリ(ヒンドゥー教の光の祭典)の時期に訪れたヒンドゥー寺院(画像提供/K.C.さん)

多民族国家のマレーシアでは、イスラム教だけでなく、ヒンドゥー教や仏教などさまざまな宗教文化が身近にある。写真は、ディーパバリ(ヒンドゥー教の光の祭典)の時期に訪れたヒンドゥー寺院(画像提供/K.C.さん)

マレーシアでは、ドリアンをはじめとした南国フルーツが身近な存在。屋台で旬の味を楽しむ光景も、現地ならではの日常だ(画像提供/K.C.さん)

マレーシアでは、ドリアンをはじめとした南国フルーツが身近な存在。屋台で旬の味を楽しむ光景も、現地ならではの日常だ(画像提供/K.C.さん)

母子留学はいくら必要?リアルな費用感を聞いた

マレーシア母子留学で気になるのが、実際の費用感だ。

K.C.さん一家の場合、子ども2人の教育費と生活費を合わせると、年間800万~1000万円ほどかかっているという。これは日本への一時帰国費用やシンガポールでの習い事の費用も含まれる。
「3年前の2023年ごろは1マレーシアリンギット=30円ぐらいだったのが、今は40円近くになっています。円安の影響はかなり大きいですね」

一方で、中村さんによると、学校や住まいの選び方によって費用には幅がある。
「比較的リーズナブルな学校を選べば、年間600万円前後で生活されるご家庭もあります。一方で、欧米系の人気インターナショナルスクールや高級コンドミニアムを選ぶと、1000万円近くになるケースもあります」

一般的な内訳としては、学費が年間100万~300万円程度、家賃が月10万~25万円程度。さらに食費や車代、保険などが加わる。

「以前は“マレーシアは欧米の3分の1の費用”と言われることもありましたが、現在は円安の影響もあり、体感としては欧米の3分の2ぐらいには近づいています」

また、移住だけでなく短期留学の相談も増えているという。
「最近は、まず2週間~1カ月程度で“お試し留学”をされる方も多いです。いきなり長期移住ではなく、まずは親子で海外生活を体験してみる。その延長線上で長期留学を考えるケースも増えています」

中村さんによると、マレーシア母子留学では「教育費」だけでなく、“どんな住環境で暮らせるか”を重視する家庭も多いという。なかでも、日本の都市部ではなかなか実現しにくい“広い住空間”やコンドミニアム生活に魅力を感じ、マレーシア移住を決断する家庭も少なくないという。

海沿いの遊歩道や高層コンドミニアムが広がるマレーシアのジョホール・バルの風景。教育環境だけでなく、住環境や暮らしやすさに魅力を感じて移住する家庭も少なくない(画像提供/K.C.さん)

海沿いの遊歩道や高層コンドミニアムが広がるマレーシアのジョホール・バルの風景。教育環境だけでなく、住環境や暮らしやすさに魅力を感じて移住する家庭も少なくない(画像提供/K.C.さん)

150平米で10万円台。マレーシアの住まい事情

現在、K.C.さん一家が暮らしているのは、ジョホール・バル西側、イスカンダルエリアにあるコンドミニアムだ。イスカンダルエリアは、マレーシアとシンガポールを結ぶ国境にも近い開発エリアで、車でシンガポールへアクセスしやすい立地にある。周辺には「レゴランド・マレーシア・リゾート」や大型商業施設などもあり、近年はインターナショナルスクールやコンドミニアム開発が進む、子育て世帯にも人気のエリアだ。

部屋の広さは約150平米。3ベッドルームにメイド部屋、広いリビングとキッチンが付いている。
「家賃は10万円台です。シンガポールなら、同じ広さだと5~7倍ぐらいはすると思います」
コンドミニアム内には、インフィニティプールやジム、子ども向けの遊具がある公園、屋内体育館なども備わっている。
「東京都内で暮らしていたころと比べても、圧倒的に広いですね。子どもたちもすごくのびのびしています」

ジャングルのような緑を望む、コンドミニアムのインフィニティプール。常夏のマレーシアでは一年中プールを利用でき、自宅の共用施設で水泳レッスンを受ける家庭もある(画像提供/K.C.さん)

ジャングルのような緑を望む、コンドミニアムのインフィニティプール。常夏のマレーシアでは一年中プールを利用でき、自宅の共用施設で水泳レッスンを受ける家庭もある(画像提供/K.C.さん)

K.C.さん一家が暮らす、ジョホールバルの高層コンドミニアム。近年は、インターナショナルスクール周辺で大型開発も進んでいる(画像提供/K.C.さん)

K.C.さん一家が暮らす、ジョホールバルの高層コンドミニアム。近年は、インターナショナルスクール周辺で大型開発も進んでいる(画像提供/K.C.さん)

ジョホール・バルには、遊園地やウォーターパーク、水族館、大型商業施設が一体となったレジャー施設もある。K.C.さん一家も、自宅から近いため休日によく訪れているという(画像提供/K.C.さん)

ジョホール・バルには、遊園地やウォーターパーク、水族館、大型商業施設が一体となったレジャー施設もある。K.C.さん一家も、自宅から近いため休日によく訪れているという(画像提供/K.C.さん)

日本のように近所に公園が多い環境ではない一方、マレーシアでは大型コンドミニアム内にプレイグラウンドやプールなどの共用施設が整備されているケースも多い(画像提供/K.C.さん)

日本のように近所に公園が多い環境ではない一方、マレーシアでは大型コンドミニアム内にプレイグラウンドやプールなどの共用施設が整備されているケースも多い(画像提供/K.C.さん)

K.C.さんは現在の住まいへ移る前は、日本人が多い東側エリアに住んでいたという。しかし、慢性的な渋滞に悩まされ、西側へ移住した。
「20分で行ける場所に1時間かかることもあって。毎朝かなりストレスでした」

日本人が最も多く暮らすマレーシアの首都、クアラルンプールの住まい事情について中村さんに聞いてみた。
母子留学先として人気の高い首都のクアラルンプールは、ジョホール・バルと比べてより都市的な暮らしができる一方、家賃相場はやや高めだという。
「クアラルンプールは、日本でいう“都心型”の暮らしに近いですね。日本人向けスーパーや商業施設も多く、車がなくても比較的生活しやすいエリアもあります。一方で、ジョホール・バルは住空間が広めで、コンドミニアムの価格も比較的抑えやすい印象です」

特に、クアラルンプールにある日本人駐在員が多く暮らすモントキアラ周辺は、日本人学校やインターナショナルスクールも集まり、母子留学家庭からの人気も高いという。
また、家具付き物件が多いことも、日本人家庭にとっては暮らしやすさにつながっている。
「家具や家電があらかじめ備え付けられているので、数個のスーツケースだけで引っ越せる感覚に近いです。これは、海外移住のハードルを下げている要因のひとつだと思います」

モントキアラ周辺では、高層住宅と商業施設が隣接する街並みが広がる。住まいと日常生活の距離が近いことも、このエリアの特徴だ(画像提供/Luchouette Sdn Bhd(ルシュエット))

モントキアラ周辺では、高層住宅と商業施設が隣接する街並みが広がる。住まいと日常生活の距離が近いことも、このエリアの特徴だ(画像提供/Luchouette Sdn Bhd(ルシュエット))

日本とこんなに違う。マレーシアの多様な教育環境に驚いた

マレーシアでの子育てについて、K.C.さんが最も驚いたのは“子どもに対する社会の空気感”だった。

「日本だと、公共交通機関で子どもが騒ぐと『迷惑かな』って気にすることがありますよね。でもこちらは、『子どもは騒ぐものだから自由にさせてあげて』という空気なんです」
どこへ行っても、子どもを中心に考えてくれる感覚があるという。
「大人が子ども目線で接してくれるので、本当に育てやすいです。同調圧力も少ないですね」

学校教育にも、日本との違いを感じている。
長男はこれまで、マレーシアでイギリス式の学校や英語強化校など複数の学校を経験してきた。現在は、日本でも近年話題になりつつあるIB(国際バカロレア)を採用する学校への転校を予定している。

「イギリス式は先生が教えるスタイルで、日本に近い印象でした。息子の様子を見て、IBの探求型で生徒自身が主体になる教育を経験させたいと思いました」

中村さんも、「マレーシアのインターナショナルスクールは、正解を覚えるより、“自分で考える力”を重視する学校が多いです。ディスカッションやプレゼンテーションの機会も多く、“間違ってもいいから意見を言う”という文化があります。日本とはかなり違う部分だと思います」と話す。

また、マレーシアではインターナショナルスクールの選択肢が多いことも特徴のひとつだという。イギリス式、アメリカ式、IB(国際バカロレア)など、教育方針やカリキュラムも学校ごとに異なり、子どもの性格や成長段階に合わせて学校を変更する家庭も少なくない。実際、K.C.さん自身も、マレーシアでの生活を通して、子どもたちの変化を感じているという。
「日本へ一時帰国した時、レストランで中国語とマレー語を話している団体の方を見て、『マミー、さっきマレー語しゃべってたよ』って言ったんです。普段から耳に入っているんだなと驚きました」

英語だけでなく、中国語やマレー語も生活の中に自然に存在している。学校や街では、多様な国籍や文化背景を持つ人たちが日常的に関わり合いながら暮らしている。
「外見も、得意なことも、みんな違って当たり前なんですよね。そういう環境の中で育つのは、子どもにとってすごく意味があると思っています」

英語力以上に、“違いを自然に受け入れる感覚”が育っていることを実感しているという。

英語だけでなく、中国語など複数の言語に触れられる教育環境も、マレーシア留学の特徴のひとつだ(画像提供/K.C.さん)

英語だけでなく、中国語など複数の言語に触れられる教育環境も、マレーシア留学の特徴のひとつだ(画像提供/K.C.さん)

マレーシアのプリスクールでは、英語で発表する機会を取り入れている学校も多い。写真は、英語での発表課題に取り組むK.C.さんの長男(画像提供/K.C.さん)

マレーシアのプリスクールでは、英語で発表する機会を取り入れている学校も多い。写真は、英語での発表課題に取り組むK.C.さんの長男(画像提供/K.C.さん)

「ジャングルみたいだった」海外生活のリアル

一方で、マレーシア生活は理想ばかりではない。
「最初は『ジャングルみたい』って思いました(笑)」
東京都23区内から移住してきたK.C.さんにとって、ジョホール・バルの暮らしは想像以上にギャップが大きかった。

「クアラルンプールみたいな都会をイメージしていたんですが、ジョホール・バルはかなり田舎でした。どこへ行くにも車が必要で、電車もない。最初は本当に寂しかったですね」

一年中湿度が高く、大きな虫も発生する。外出先のトイレなど衛生面にも戸惑ったという。
さらに、日本のように“時間通りに物事が進まない”文化にも苦労した。

「引越しの日も、11時開始予定が引越し業者が来るのが13時半になって。作業が終わったのは夜11時でした(笑)」

BBQ設備が壊れていても放置されていたり、設備の修理対応が遅かったりすることも日常的だ。
「でも、“マレーシアあるある”だと思って慣れていきました」

また、母子だけで暮らすプレッシャーもある。
「全部、自分で判断しなきゃいけないんです。車の保険更新やビザ関係など、常に情報をアップデートし続ける必要があります」

それでも、掃除代行などのメイドサービスが安価に利用できることは、大きな助けになっているという。
「日本だと高いですが、こちらは1回700円程度。週1~2回来てもらっています」
渋滞や衛生面、日本とは異なる文化に戸惑うことも少なくない。それでも、“マレーシアあるある”と受け止めながら、自分たちなりの暮らし方を築いていく──。K.C.さん一家の母子留学は、そうした柔軟さの上に成り立っていると言える。

ジョホールバルの自宅では、流しそうめんを楽しむことも。K.C.さんは、多文化環境の中で暮らしながら、日本の食文化や行事も子どもたちに積極的に体験させているという(画像提供/K.C.さん)

ジョホールバルの自宅では、流しそうめんを楽しむことも。K.C.さんは、多文化環境の中で暮らしながら、日本の食文化や行事も子どもたちに積極的に体験させているという(画像提供/K.C.さん)

マレーシアは、シンガポールやタイ、インドネシアなど周辺国へのアクセスが良く、休日を利用して海外旅行を楽しむ家庭も多い。「タイのクラビで大自然の森の中、象に乗って歩いた経験は素晴らしかったです」(画像提供/K.C.さん)

マレーシアは、シンガポールやタイ、インドネシアなど周辺国へのアクセスが良く、休日を利用して海外旅行を楽しむ家庭も多い。「タイのクラビで大自然の森の中、象に乗って歩いた経験は素晴らしかったです」(画像提供/K.C.さん)

タイのクラビのビーチ。「シンガポールのチャンギ空港はジョホール・バルから行きやすいのと、発着が非常に多く使いやすいのでよく海外旅行で利用しています。クラビではアイランドホッピングで美しい島々を巡りました。海が遠浅な島もあり、子どもたちも泳ぎやすかったようです」(画像提供/K.C.さん)

タイのクラビのビーチ。「シンガポールのチャンギ空港はジョホール・バルから行きやすいのと、発着が非常に多く使いやすいのでよく海外旅行で利用しています。クラビではアイランドホッピングで美しい島々を巡りました。海が遠浅な島もあり、子どもたちも泳ぎやすかったようです」(画像提供/K.C.さん)

母子留学に向いている家庭、向かない家庭

ここまで見てきたように、マレーシア母子留学には、日本とは異なる教育環境や暮らしの魅力がある一方で、海外生活ならではの難しさもある。

そのうえで、中村さんは「母子留学には向き・不向きもあると思います」と話す。
「海外生活って、どうしても日本との違いがあります。そこを“面白い”と思えるか、“ストレス”と思うかで大きく変わります」
特に重要なのが、“お母さん自身が海外生活を楽しめるか”だという。
「子どもは意外と新しい環境には早く慣れるんです。でも、お母さんが苦しくなってしまうケースは少なくありません」

海外生活に向いている家庭には共通点もある。
「完璧を求めすぎないことですね。日本の基準をそのまま海外に求めすぎると、どうしても疲れてしまうので」

中村さんによると、母子留学で大切なのは、短期間で目に見える成果を求めすぎないことだという。
英語力の伸びだけを急ぐのではなく、子どもが多様な価値観や文化の中で過ごす経験そのものを、長い目で見守れるかどうか。そうした視点が、海外生活を続けるうえでは重要になってくる。

マレーシアの自宅で勉強する子どもたち。母子留学では、短期間で成果を求めすぎず、子どもの変化を長い目で見守る視点も大切だという(画像提供/K.C.さん)

マレーシアの自宅で勉強する子どもたち。母子留学では、短期間で成果を求めすぎず、子どもの変化を長い目で見守る視点も大切だという(画像提供/K.C.さん)

“教育移住”が広げる家族の選択肢とは

中村さんによると、母子留学を通して、進学や暮らし方など“日本以外の選択肢”を身近に感じる家庭も多いという。
「最近は、教育や暮らしが“日本だけが選択肢ではない”と考えるご家庭が増えています。将来的に日本へ戻る方もいますし、そのまま海外進学されるケースもあります」

実際、マレーシアのインターナショナルスクールから、欧米やシンガポール、日本の大学へ進学するケースも増えているという。
「まずは1年、試してみる感覚でもいいと思うんです。実際に暮らしてみることで見えてくるものがたくさんあります」

K.C.さん一家も、今後についてはまだ決めていない。
「あと2年ぐらいはいたいなと思っています。その後、日本へ戻るのか、別の国へ行くのかはまだ分かりません」

ただ、子どもたちの選択肢を広げたいという思いは変わらない。
「子どもたちは、日本のアニメも好きですし、日本語も大事にしたい。でも、それと同時に、“世界にはいろんな価値観がある”ということを自然に感じながら育ってほしいんです」

もちろん、海外生活には、日本とは異なる不便さや戸惑いもある。言葉や文化の違いだけでなく、日本では当たり前だったサービスや生活感覚が通用しない場面も少なくない。だからこそ、母子留学には、環境の変化を受け入れる柔軟さや、自ら情報を集めながら暮らしを組み立てていく力も求められる。
それでも、“日本を離れて暮らしてみる”ことで初めて見えてくる価値観や、家族のあり方があるのも事実だろう。

教育をきっかけに、一定期間だけ海外で暮らしてみる──。そんな“教育移住”という選択肢は、これからの住まいや暮らし方を考えるうえで、ひとつの可能性になりつつあるのかもしれない。

●取材協力
・マレーシア教育移住・事業進出のコーディネーター「Luchouette Sdn Bhd(ルシュエット)」中村 妙子さん
・K.C.さん

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