医師も接種を強く推奨、妊婦向け「RSウイルスワクチン」4月から原則無料に

乳幼児が感染すると重い肺炎や、将来後遺症として喘息になるリスクがあることで知られる「RSウイルス感染症」

実は生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するといわれている身近なウイルス。

乳幼児の感染予防を目的に、今年4月から妊婦向けRSウイルスワクチン『アブリスボ®筋注用』が、原則無料の定期接種となりました。

生まれてくる赤ちゃんをRSウイルスから守るために妊婦が接種できるワクチンであり、定期接種の対象期間は28~36週、接種は1回。2人目以降の妊娠で再び接種する場合なども対象。

RSウイルス感染症とはどのような症状が起きるのか、RSウイルスワクチンの意義について、山王ウィメンズ&キッズクリニック大森 院長で産婦人科医の高橋怜奈先生にお話を伺いました。

 

怖い重症化リスク、RSウイルス感染症とは

高橋先生によると、

「RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器感染症を指し、乳幼児から大人まで誰もが感染する可能性があります。『一度かかると、二度と感染しない』ということはなく、何度も感染をくり返してしまい、夏や冬など感染症の流行時期に感染者が増加します。

RSウイルスに感染すると、4~5日の潜伏期間を経て、発熱・せき・鼻水などの風邪に類似する上気道炎の症状がみられるようになります。

しかし、下気道(気管や気管支など)に感染することで、強いせきや「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難により顔色が青白い、唇の色が青紫色になるなどの下気道炎の症状がみられる場合も。

特に乳幼児にとっては、身近でありながら重症化のリスクもある感染症で、医療機関を受診した2歳未満の乳幼児のうち、約25%が入院に至っており、その中でも6カ月未満の赤ちゃんが約40%を占めています。

2010年代には、年間12万人~18万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルス感染症と診断されました。

そのうち3万人~5万人が入院を要したとされ、入院例の7%が何らかの人工換気を必要としたとする報告もあります。」

と説明。

乳幼児期にRSウイルス感染症で入院を経験した乳幼児は、その後の健康にも影響が見られることがあり、3歳時点では対照群の入院経験率が1%であるのに対し、感染・入院経験のある乳幼児では23%、7歳時点では対照群の入院経験率3%に対して30%、13歳時点では対照群の入院経験率5.4%に対して37%と、入院経験・喘息の発症率が高い傾向にあるのだとか。

また、RSウイルスに感染して入院した2歳未満の乳幼児のうち、なんと90%以上は基礎疾患を持っておらず、特別な持病がなくても誰にでも入院に至るリスクがあると言われています。

このRSウイルスによる重症化リスクを抑えるための方法の1つが、母子免疫ワクチンです。

 

赤ちゃんへ最初の贈り物「母子免疫ワクチン」のメリット

RSウイルスワクチン(母子免疫ワクチン)は、妊婦が接種することで、母体内で作られた抗体が胎盤を通じて胎児に移行し、生まれた乳児が出生時からウイルスに対する抗体を得ることができます。

「妊婦が接種することで、RSウイルス感染症による医療機関受診を要した下気道感染症に関して、日齢0~90日で約60%、日齢0~180日で約50%の予防、また重症下気道感染症に関しては日齢0~90日で約80%、日齢0~180日で約70%の予防効果が認められています。
また、このワクチンはすでに世界65カ国以上で承認されており、早産リスクへの懸念についても大規模な調査によって、安全性が確認されています。」

と説明した高橋先生は、

「SNSでの早産のリスクが上がるのではという憶測で心配になっていたり、他には新しいワクチンだからなんとなく心配、という声があります。それらの情報は、定期接種で使用されている「アブリスボ®筋注用」とは別のもので、当院では説明すると皆様安心し、ほとんどの人が接種されています。」

心配する声もあるものの、先生の病院に来院するほとんどの方が母子免疫ワクチンを接種されていると語りました。

 

RSウイルスの感染は、家族にも大きな負担に

「乳幼児がRSウイルスに感染し、入院してしまった場合には、病院への付き添いなど、家族の心身の負担も大きくなってしまいます。新しいワクチンで心配かもしれませんが、様々なデータで入院が必要な重症例の抑制や、将来の気管支喘息発症リスクの低下のメリットがあることがわかっています。また副反応も局所反応が最も多くそれはすぐに収まります。私は妊婦さん全員に接種をお勧めします。」

生まれてきたばかりのわが子が苦しむ姿をみるのはお母さんにとってもつらいことです。

生まれてくる赤ちゃんを重症化リスクから守ることができる母子免疫ワクチン。

母子免疫ワクチン定期接種について気になる方は、医師に相談してみてはいかがでしょうか。

定期接種詳細:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/rs/index.html

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