JR東日本 保線作業員などによる線路点検を線路内自律走行型ロボットに置き換え ことし11月以降に各路線で走行試験へ LiDAR と GNSS で線路内自律走行 AI と人間で線路周辺支障物を検知
JR東日本は、これまで保線作業員などの人力で行っていた線路点検を、開発中の線路内自律走行型ロボットに置き換え、ことし11月以降に実際の線路で走行試験に入る。
2024年4月から Preferred Robotics との共同で開発してきた線路内自律走行型ロボットは、概念実証(PoC ピーオーシー 試験的な検証)を2段階にわたって実施し、八高線など計6線区で実証実験を行ってきた。
LiDAR と GNSS で線路内自律走行
AI と人間で線路周辺支障物を検知
この線路内自律走行型ロボットは、鉄道の線路上を自律走行し、搭載したカメラ・各種センサー(LiDAR ライダー レーザーで周囲との距離を測るセンサー、GNSS ジーエヌエスエス 衛星を利用して位置を把握する仕組み)から得られる情報をもとに安全に走行(線路内自律走行)。
走行中に取得した映像や各種データは機体内に保存するとともにリアルタイムで係員へ送信される。
AIは、線路周辺の支障物の検知を補助し、列車の運行に支障を及ぼす異常の有無は、事務所内などの離れた場所にいる係員が最終的に判断する。
重量は約100kg、最高速度15km/h、連続稼働時間3時間(バッテリー駆動)、35パーミル勾配以下で走行可能で、LiDARは30m先(距離精度±2cm)まで検知できる。
リアルタイムデータ化でDX実現
作業員の熊リスクも回避
保線作業はこれまで、鉄道の安全安定輸送の確保のため、多くの労力をかけて維持管理業務を行ってきた。
とくに、大雨や地震の発生時は、係員が線路沿線を徒歩などで巡回し路盤の崩壊や線路内への土砂流入など、列車の運行に支障を及ぼす事象が発生していないか目視で確認してきた。
こうした作業には二次被害のおそれがあるほか、近年では熊の出没増加による係員の安全確保も課題となってきた。
JR東日本では、こうした状況に対応するため、事務所内などの離れた場所にいながらできる点検手法の確立に向け、ロボットなどの遠隔操作、制御に関する研究開発に取り組んでいる。
◆点検方法
(従来)係員が線路沿線を徒歩などで巡回し、目視で列車の運行に支障を及ぼす異常の有無を確認
(ロボット化後)ロボットが線路上を自律走行し、取得したデータを係員がリアルタイムで確認して、列車の運行に支障を及ぼす異常の有無を確認
◆取得データ
(従来)係員の目視結果を記録(紙・端末への手入力)
(ロボット化後)カメラ・センサーにより映像・データを一括で取得
◆異常検知
(従来)係員の目視結果を記録(紙・端末への手入力)
(ロボット化後)カメラ・センサーにより映像・データを一括で取得
◆安全面
(従来)獣害リスク・災害時の危険区域立入りなど、点検者への身体的なリスクがある
(ロボット化後)係員は離れた場所にいながら点検ができ、人が危険区域に入る必要を減らせる
◆データ蓄積
(従来)点検結果の記録が中心
(ロボット化後)走行毎にデータを蓄積し、設備管理に活用
ドローンも導入し鉄道インフラ維持管理業務を高度化
JR東日本は今後、2026年10月末までに実用化に向け機体を製作し、11月以降、在来線を中心に様々な路線で走行試験を展開する。
また、大雨や地震の発生時の点検でロボットを活用することで、係員が危険な区域へ立ち入ることなく、事務所内などの離れた場所から点検作業を行うことや、熊などの野生動物に遭遇するおそれのある徒歩などによる作業から解放され、働く環境の改革を実現させる。
将来的には、取得した映像や3D点群データの設備管理への活用や、ドローンの発着機能の付加による線路周辺のより詳細な状況把握など、ロボティクスと AI技術を活用して鉄道インフラにおける維持管理業務の高度化をめざす。
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