RIZINが本当に格闘技ブームを起こすには「VS世界」路線を走れ 「シェィドゥラエフはUFCに行って」発言はファン離れを起こす

RIZIN現フェザー級王者19戦19勝19フィニッシュのキルギスの破壊神。ラジャブアリ・シェイドゥラエフ選手が日本においても、もはや「外敵」ではなく彼がいかに、今回の相手を倒すのか。どのくらい強いのか。観客はそういうモードに移ってきているように思いました。13日日曜、福岡マリンメッセで行われた「RIZIN LANDMARK13」では色々想う事がありました。まず今回の大会が前述した「VS世界」がコンセプトであること。これは非常に良いと思いました。

RIZINのファン層はいくつかに分かれています。

・ボクシングなどあわせた純粋格闘技ファン

・PRIDEから入った総合格闘技ファン

・RIZINから入ったファン

こういった感じでしょうか。少し過去を振り返ってみましょう。社会現象にまでなった空前の格闘技ブームが起こりました。1997年に立ち上がったPRIDEです。それ以前1993年にアメリカでUFCがスタートし日本では1995年にバーリトゥードジャパンが開催。

特に、柔術を武器にしたグレイシー一族の猛威はすさまじく初期UFC(まだベアナックル時代)でのホイス・グレイシーが魅せるガードポジションに驚き、バーリトゥードジャパンではヒクソン・グレイシーの圧倒的強さで日本人格闘家・プロレスラーは必死に対抗しました。まさに黒船がやってきた状態でした。

PRIDEが立ち上がった時、ヘビー級全盛期でした。ミルコ・クロコップ、アントニオ・ノゲイラ、エメリアエンコ・ヒョードルetc。その後のPRIDE武士道でも後にUFCのチャンピオンになる選手らと日本人選手らは死闘を繰り広げました。ホイスと90分間の激闘の末、グレイシー越えを果たした桜庭和志選手、ブラジリアントップチームの選手に火の玉のごとく襲い掛かった五味隆典選手、体格差をものともせず暴れまくった山本KID選手。バックハンドブロー一発でシンデレラストーリーを作り上げた所英男選手etc。数えあげるときりがないのでこの辺りにしますが、彼らの闘いがあって今のRIZINが成り立っています。もっと掘り下げれば、佐山聡さんのシューティングまでいかなければなりませんが。

そしてテレビ時代ということもあって、視聴率は20%、K-1のカリスマ魔裟斗選手vs山本KID選手の大晦日の激闘は30%を超えました。ネット時代、同接100万人などと表現されますが、それを借りれば「同接2000万人」という驚異的な数字を誇り、格闘技に興味がない人も魔裟斗、KIDの名前は知っているという世の中でした。

これがブームというものです。格闘技の魅力の原点は「どちらが強いのか」に尽きます。振り返ってシェイドゥラエフ選手のファイトを見てみます。対戦相手の久保優太選手はK-1、グローリーのチャンピオン。MMAでも初代RIZINフェザー級王者斉藤裕選手を破っています。ただMMAの戦歴は5戦。前回のシェイドゥラエフ戦では、体に異常をきたすのではないかと思うぐらい強烈なパウンドを食らいTKO負け。今回の試合が組まれた時も90%の人がシェイドゥラエフの勝ちを予想したでしょう。久保選手は「秘密兵器を用意している」と試合前にコメントしていましたが、僕は「それも出せないまま、台風が通り過ぎるように試合は終わる」と思っていました。結果は1R、TKO。久保選手の「秘密兵器」は何だったのかに謎のままでした。

ここで気になる事があります。シェイドゥラエフ選手が日本デビューしてから間もなく、元格闘家や現役の選手から「あまりにも強すぎるから早くUFCに行って欲しい」という冗談半分なのでしょうが、そういう内容のものが散見されました。

そして今回の敗戦を受けて、各格闘家がYouTubeを発信していましたが、残念なことに元王者の選手までも「シェイドゥラエフはUFCに行ってほしい」旨の発言を(冗談も交じっていると思いますが)発していました。

これは「PPV病」なのかと思います。かつての格闘技ブームを作った立役者、桜庭選手や山本KID選手や(立ち技ですが)魔裟斗選手がそのような事を言うでしょうか、言ったでしょうか。負けても立ち向かっていく姿を見て我々は格闘家をリスペクトするのです。こういった発言は残念でなりません。

これはコロナ禍で、海外選手の来日が制限され、実質当時は「王者」と言っても「日本国内の王者」でした。そして、コロナ禍なので(これは格闘技だけでなくエンタメ全体に言えることですが)PPVでもマネタイズ出来る事に気がついてしまったのです。「格闘家は食っていけない」とは良く言われることです。だからこそ、上位の選手たちはギラギラのファッションと時計を身に着け、「勝てばこれくらいの高級時計を買えるんだ」とアピールします。

一度コロナ禍で「これで稼げるんだ」と思ってしまった選手、関係者はいずれ世間との壁にぶつかります。「これって日本だけで強いんじゃないの」という世間の声。

なぜなら、他の競技を見れば井上尚弥選手は世界のボクシング界に名前を轟かせ、野球では大谷選手がアメリカでスーパースターになっている現実を世間は知っているからです。

「世間と闘う」。これはアントニオ猪木さんが言っていた言葉です。

今回の榊原信行CEOが打ち出したコンセプト「VS世界」はアントニオ猪木さんの魂にも通じる言葉です。PRIDEは「VS世界」をやってきたからこそ、ブームが起きたのです。ノンフィクション作家細田昌志さんが著した『格闘技が紅白に勝った日』という本があります。国民的テレビ番組を格闘技コンテンツが越えた日があったのです。この作品のように我々格闘技ファンは夢よもう一度を願っています。「シェイドラエフは強すぎるから闘いたくない、UFCに行って」じゃないのです。これを先輩たち、そして他分野の選手たちは乗り越えてきました。その先に本当の総合格闘技ブームがあるはずです。(文@久田将義)

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TABLOとは アメリカが生んだ、偉大な古典ミステリーの大家レイモンド・チャンドラー作品の主人公フィリップ・マーロウの有名なセリフがあります。 「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」 人が生きていく上で、「優しさ」こそ最も大切なものであることを端的に表現した言葉です。優しさとは「人を思いやる気持ち」であり「想像力を働かせること」です。弱者の立場に立つ想像力。 「人に優しく」 これは報道する側にも言えることだと思います。 現在、ヘイトニュース、ヘイト発言、フェイクニュースがネットの普及に従い、増大しており、報道関係者の間では深刻な問題となっています。そこには「人に優しく」という考えが存在していません。 なぜ、ヘイト(差別)ニュースがはびこるのか。「相手はどういう感情を抱くのか」という想像力の欠如がなせる業です。ヘイトによって、人は人に憎悪し、戦争が起き、傷ましい結果をもたらし、人類は反省し、「差別をしてはならない」ということを学んだはずです。 しかし、またもヘイトニュースがはびこる世の中になっています。人種差別だけではありません、LGBT差別、女性差別、職業差別等々、依然としてなくなっていないのだな、ということは心ある人ならネットの言論にはびこっていることに気づいているはずです。本サイトはこのヘイトに対して徹頭徹尾、対峙するものです。

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