映画『レンタル・ファミリー』平岳大インタビュー「鑑賞後は“景色が違って見える”ことを保証します」

映画『ザ・ホエール』で第95回アカデミー賞®主演男優賞受賞に輝き、その演技で世界から絶賛を浴びたオスカー俳優、ブレンダン・フレイザー主演の映画『レンタル・ファミリー』が2月27日(金)に公開となります。

監督を務めるのは、長編デビュー作『37セカンズ』でベルリン国際映画祭ほか世界中の映画祭で注目を集め、「BEEF/ビーフ」、「TOKYO VICE」などの話題作を手掛けてきたアメリカをベースに活躍する日本人監督のHIKARI。 第50回トロント国際映画祭では、今最も注目されるクリエーターに贈られるEmerging Talent Awardも受賞し、 名実ともに世界が注目する映画監督に名を連ねたHIKARI監督が、長編2作目でサーチライト・ピクチャーズとタッグを組み、日本を舞台にしたオリジナル作品を世界に送り出します。

本作でブレンダン・フレイザー演じるフィリップがレンタルファミリー業に足を踏み入れるきっかけとなった、レンタルファミリー社の社長・多田を演じた平岳大さんにお話を伺いました。

——本作大変楽しく拝見いたしました。素晴らしかったです。平さんは本作のプロットや脚本を読んだ時にどの様な感想を抱きましたか?

最初に読んだ時はまず親近感を覚えました。日本を舞台にしたお話ですけれど、海外の目線で描いていて、外側から見たら変わっている様に見える風習や習慣もよくよく見ると普遍性がある様にも感じられて。そういった国を超えて通じる人間の姿を現代的に描いている作品って無いのかな?とずっと思っていたので、やっと出会えた感じがありました。
HIKARI監督とはこの作品のオーディションで初めてお会いしたのですが、どっぷり日本の目線ではなく海外からの視点も持っていて、だけれど海外に日本を紹介するような姿勢もあって…という部分が僕とも共通しているなと。ご一緒出来てすごく楽しかったです。

——おっしゃるとおり、押し付けがましくないですし、感動的なのにカラッとしていますよね。

本当そうなんですよね。感動させるんだけど、センチメンタルにならないというか。良い意味でドライな部分はアメリカ的だなとも思います。脚本も共同で書かれていますけれど、色々な作品のオファーがあったけれど、それを断って、この『レンタル・ファミリー』にかけていたそうなので、気合いの入り方が凄かったです。それでいて、しっとりさせすぎないこのバランスで作品を作れることが素晴らしいなと思います。

——平さんが演じた多田というキャラクターもとても魅力的でした。どう解釈していましたか?

HIKARIさんには「本当は何を考えているのか分からない、そんなポジションで」ということをお聞きしました。主人公のフィリップに同情したと思ったら、ちょっと突き放したり。登場シーンは多くは無いのですが、多田の印象が変わる様なシーンをポイントポイントで作ってくださいました。。
多田のバックグラウンドというか、どの様な人物なのかというストーリーもあるのですが、それは映画ではカットされています。これは多田以外のキャラクターもそうです。それぞれのストーリーも本当に面白くて魅力的なので、少しもったいないなと思いつつも、あまり説明しすぎない方が良い映画なのだなと完成した作品を観て感心しました。

——完成した作品をご覧になった時はどの様な気持ちだったのでしょうか。

バンクーバーで違う作品を撮影している時に、スタジオが映画館を貸してくれて、僕一人でスクリーニング(試写)をしたんです。なので思う存分泣きました(笑)。冒頭の、フィリップが狭い自分の部屋に帰ってきて、ベッドに座ってベランダから外の景色や向かいのマンションを眺めているシーンが泣けて仕方無かったんです。
「何でこのシーンで泣いているんだろう?」と考えた時に、僕は高校生の時に留学していたのですが、その時に同じ様なことをしていたんですね。一人で暮らしていて、クリスマスや年末、サンクスギビングの時に、どこにも行く所が無くて、寂しくて、外を眺めている。そんな根無し草な自分とフィリップの姿を重ねて涙が止まりませんでした。まずそのシーンで泣いて、そこからはブレンダンの背中を見るだけで泣いてしまう感じでしたね。スクリーニングもですし、映画祭等で3、4回ほど観たのですが、セリフが無くても伝わってくることに感動しました。

——モノローグがあるわけでもないのに、ブレンダンさんの背中からはたくさんの感情が伝わってきますよね。ブレンダンさんとご一緒していかがでしたか?

『ザ・ホエール』(2022)は本当に衝撃的で、芝居が的確で上手いのは当然のこととして、彼自身の人生も投影されている様な、素晴らしい作品でした。どうしてこんなに人を感動させることが出来るんだろうと考えるのですが、圧倒的すぎて言葉にならないというか。僕のInstagramに海外の方がコメントを送ってくれるのですが、「ブレンダンを見ているだけで泣けます」というものがあって、分かるなあって。優しい目や切実な表情が、嘘じゃなくて伝わってくる。色々な映画祭に行って、パーティに参加する時なんかでも、みんなが楽しんでいるかどうかをすごく気遣ってくれる人なんです。

——海外での反響や、海外ではどの様なことを質問されることが多かったですか?

海外の方はリアクションが大きいし、レンタルファミリー業のひとつとして描かれるお葬式のシーンでも分かりやすく笑ってくれるし、琴線に触れる所が違う様で面白かったです。
いつも「レンタルファミリーって本当に日本にあるの?」という質問をされるのですが、その質問に答えているうちに、自分でも気付いたことがあって。レンタルファミリーという職業が成り立つのは日本で無いと難しいだろうなと思うんです。サービスを使う方も、演じる方も、お互いに誠実で無いといけない。海外の方が誠実ではないという意味ではないのですが、日本人の持っている特性で成り立っているサービスだと思うので、改めて興味深いなと思います。

——「他人だから言えること」がある様に、この映画で描かれている人と人とのやりとりには不思議なパワーがありますよね。

この映画を観終わった後、「親に電話しよう」と思ったり、友達と色々なことを話してみたいなと思ったり、色々な行動をしたくなると思うんですね。観た方によって琴線に触れる部分がそれぞれ違うと思うのですが、「今までの自分と違う感覚」「景色が違って見える感覚」に絶対なると思います。そのことは保証しますので、ぜひたくさんの方にご覧いただきたいです。

——私もたくさんの方の感想を今から楽しみにしています。ちなみに平さんは世界中でお仕事をしていますが、時差ボケなどは大変ではないですか…?

これ本当に深刻な問題で、若い頃はすぐに体調を取り戻していたのですが、今は回復に時間がかかりますね。体内時計が狂ってしまうので、現地の時間に合わせて食事をするとまだマシになる様な気がして、まだ感覚は夜中なのにガッツリ食べるということもあります。
でも、本作で共演した柄本明さんは、舞台が終わった足で空港に行ってロンドンプレミアに来ていて。大先輩ですから、僕なんて文句言えないですよね。
時差ボケや環境の変化は大変ですけれど、現場に行って新しいプロジェクトが始まるとアドレナリンが出ますし、こうして新しい映画が公開されてみなさんに観ていただくことが一番のモチベーションなので、それもあって続けられているなと思います。

——今日は貴重なお話しをどうもありがとうございました!

Photo by: Carsten Windhorst

『レンタル・ファミリー』
公開表記:2月27日(金) 公開
©2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.  
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

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