映画『ランニング・マン』エドガー・ライト監督インタビュー AIやディープフェイクへ“対抗”するには「本物の人間と物作りを続けることが大事だと思う」

『IT/イット “それ”が見えたら終わり。』『シャイニング』など数々の傑作を世に放ち、世界で累計4憶部以上売り上げた今世紀最大のレジェンド・ベストセラー作家である原作スティーヴン・キング。参加者が命を賭け、賞金獲得に挑む殺人ゲームという斬新な設定が、話題を呼びベストセラーとなり、後に続く『バトル・ロワイアル』や、『イカゲーム』、『イクサガミ』といった、デスゲームジャンルの先駆けとなる伝説的な小説となった。さらに監督を務めるのは、『ベイビー・ドライバー』『ラストナイト・イン・ソーホー』などセンスが光るスタイリッシュな映像と選曲で、観るものを虜にする唯一無二の作品を生み出し続けるエドガー・ライト。2人の天才が初めてタッグを組んで描く、参加者が賞金を目指して挑む人生一発逆転“捕まったら即死亡”の、イカれた“鬼ごっこ”デスゲーム『ランニング・マン』が公開中です。

エドガー・ライト監督にオンラインインタビューを敢行!本作へのこだわりについてお話を伺いました。

——本作楽しく拝見いたしました。貧困や暴力の描写でグッと辛くなる部分もありながら、最終的には暗くなりすぎないような、監督のバランス力を感じたのですが、どの様な工夫をされましたか?

エキサイティングであり、シリアスな部分に触れたいという僕自身の<物作りの傾向>が自然に表れているのかなと思います。原作はスティーブン・キングの怒りを感じる、ザラザラした質感のストーリーです。大企業やメディアに対する風刺が効いていて、10代の時、自分が1番好きな本でもあったんだけれど、今映画にするならば自分なりにエキサイティングな作品にしたいなと思いました。

『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2011)以来、久しぶりにマイケル・バコールと脚本を書いたんですね。原作が持っている怒りの部分は彼が見事に表現してくれたように思います。僕らとしては、原作になるべく忠実で良い脚色をしたいという気持ちもあったと同時に、
原作ほどちょっと荒廃しているトーンにはしたくなかった。どこかに希望がちょっと感じられるような、そういうところを目指したんだ。

——『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』にも出演されているマイケル・セラさんも本作に出演していて、エルトンというとてもナイスなキャラクターを演じていますね。

エルトンは、同じ原作を持つ映画『バトルランナー』(1987)には登場していないキャラクターで原作には出ています。でも本作の様なキャラクターでは無いんだけどね。今回、マイケル・セラと一緒に仕事が出来たことは、僕らにとってはギフトのような感じで。15年代の友人でもあるのだけれど、こうして最新作に出てもらって、しかもグレン・パウエルと最高のシーンを作ってくれて、嬉しかったよ。

——主人公のリチャードがフェイク動画相手に苦戦するシーンがありますが、日本でもAIを悪用する騒動が多かったり、私も考えさせられる部分があります。

日本だけじゃなく、世界的にアナログに回帰する流れはあるなと感じているね。例えば、SNSにアクセスすることの出来ないシンプルなスマートフォンが作られたりね。ディープフェイクに関しては、ハミガキ粉のチューブから出ちゃっている状態だから(存在してしまっているから)、それをどうするの?ということに不安になる。AIがクリエイティブな点で語られる時に、「モラルが無い人が低コストで映像を作ろう」と考えしまいことがすごく危惧されている。だから僕はそれに対抗するために、より本物の人間をたくさん使うことが大事だと思うし、本物の人間と物を作り続けることが重要だと感じています。

——本作では「ZINE」(自主的な出版物)が切り札というのがアツすぎる展開でした。最終的に紙のメディアに回帰するというところが、風刺的ですよね。

僕もZINEや紙のメディアが大好きだよ。手紙を書く機会が増えたりね、そういう流れも良いと思う。みんなが長年デジタルと付き合ってきて、PCやスマホを信用しなくなってるっていうところはあるように思うし、劇中にもそういうシーンがあるけれど、昔のテレビは私たちを監視することなんてなかった。作品として描いてて面白くはあったけど、そういった状況が心配ではあるよね。

——本作でのリチャーズは家族のためにどんな事でも頑張ることが出来ました。エドガーさんが映画作りなどで日々モチベーションにしていることはどんなことですか?

愛する者のために、というのは僕も全く同じです。本作でのゲームはとても過激なものだけれども、家族のために何かを選択するというのは映画作りも同じなんですよね。最初の5分でリチャーズの家族への深い愛を感じると思うのですが、僕もこの方法しか無かったらリチャーズと同じ選択をするかもしれない。出たとしても10分で殺されると思うけどね(笑)。

——日本にもたくさんのサバイバルゲーム、サバイバル番組がありますので、本作も楽しみにしている方がたくさんいると思います。もちろん監督のファンの方も。

気に入っていただけたら嬉しいです。ああ、日本に行きたいなあ!

——ぜひまた来日されることを楽しみにしています。今日は貴重なお話をありがとうございました!

『ランニング・マン』
2026年1月30日(金)より全国公開
©2025 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
配給:東和ピクチャーズ

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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