テキスト通話アプリ「Jiffcy」人気の背景とは? 日経トレンディ「2025年ヒット商品ベスト30」に選出

日経トレンディが11月に発表した「2025年ヒット商品ベスト30」で9位に選出されたのが、株式会社Jiffcyが提供するテキスト通話アプリの「Jiffcy(ジフシー)」です。

人気となっている秘密を同社代表取締役CEOの西村成城さんに聞いてみました。

ーーなぜ「2025年ヒット商品ベスト30」に選ばれたとお考えですか?

西村:ありがたいことに、Jiffcyは昨年も日経トレンディ「2025年ヒット予測100」に選ばれました。そこから1年、Jiffcyのようなサービスは利用者が増えれば増えるほど便利になるという特徴があり、2025年はユーザーが増えれば増えるほどユーザーが増えやすくなる、というサイクルに入っています。

2025年は2024年と比べ月間アクティブユーザーが15倍超に増加しており、ますますその勢いが増した1年となりました。特に特徴的なのは年齢層の多様化です。2024年は90%ほどが10代のユーザーだったのが、2025年末には70%ほどに薄まり、代わりに20代以上のユーザーが増加しました。

背景には、10代のユーザーにJiffcyが浸透し、自分の兄弟や親世代にJiffcyを口コミで広めるという現象が起こっていることなどがあります。友人間でのハードルの低いリアルタイムコミュニケーションに慣れた結果、家族間でのコミュニケーションで不便さを感じ、Jiffcyを勧めるということが起こっています。

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https://youtu.be/t5eMfuj8uEE

ーーなにがきっかけでJiffcyを開発しようとなったのでしょうか?

西村:きっかけはコロナ禍です。当時私は別のサービスを手掛けていましたが、なかなか人生をかけられると感じられるサービスには出会えていませんでした。その中でコロナ禍となり、仲の良い友人と会うのが難しくなりました。

サービスがうまくいかない中で友人と話して気を紛らわしたいと思った時、初めて世の中のコミュニケーションがまだまだ最適化されていないのでは、と気づきました。

LINEで連絡しようにも、返事が返ってくるのは6時間後。6時間後に「どうした?」と返信が返ってきても、別に用事があるわけではないので申し訳なさがあり、何かが違いました。電話するのかといえば、そこまで緊急性が高いわけでもありません。当時コロナ禍で相手とその家族が絶対家にいることがわかっており、家にいる時に電話がかかってくるのは嫌だろうな、と考えていました。

そういった経緯があり、もっと気楽に、でも今すぐコミュニケーションをできる方法を考えていった結果、「声を出さずに電話をする」テキスト通話という概念に辿り着いたのです。

ーー世界的に「Z世代は電話が苦手」なようですが、やはりメインユーザーはZ世代になるのでしょうか?

西村:JiffcyのメインユーザーはZ世代となりますが、2025年はZ世代以上の方もある程度増加しました。

「電話が苦手」について、特にZ世代の間にある共通認識は「電話である必然性がない連絡に、電話を使うな」です。これは言い換えるとオーバースペックはやめてくれ、というものです。

具体的には、「来月の食事会何時にする?」という連絡は電話でする必然性があるとは言えず、「遊ぶの明日の予定だけど、結局何時に集合?」という連絡は電話でもOKといったものになります。

Jiffcyのユーザーは常に相手と自分にとってちょうど良い最適なコミュニケーション手段を選択しています。Jiffcyは、「電話する必然性はないけど、早めに返事をもらう必要がある」「ややこしいからLINEよりJiffcyの方が誤解がない」といったタイミングで利用されています。

もちろん関係性が深くない人からのコールはストレスとなるため、Jiffcyを使う人間関係にはかなりの深さが必要です。そのため、人間関係が広く浅くといったタイプの方にとってJiffcyは使うタイミングが少なく、反対に狭く深くといったタイプの方にとっては使うタイミングがたくさんあります。

ーー他のコミュニケーションアプリと比べてJiffcyの圧倒的優位性はどういったところにあるのでしょうか?

西村:Jiffcyは「テキスト通話」の根本となる技術について国際特許を取得しており、技術的な優位性はある程度確立されています。一方、体験価値としての優位性は「電話よりハードルが低い」「感情が伝わりやすい」の2つに分けられます。

今までは今すぐコミュニケーションをする必要がある時、静かな場所やベランダなどの話し声が聞かれない場所に行き、電話をする必要がありました。Jiffcyを使えばそういったハードルを乗り越える必要なく、今すぐコミュニケーションを取ることができます。これが電話に対する圧倒的な優位性となり、Jiffcyが選ばれています。

一方「感情が伝わりやすい」については、LINEでは喧嘩になるのにJiffcyだと喧嘩にならない、というカップルの声が価値を端的に表しています。JiffcyはLINE等と比べ入力に迷ったり、速攻で返信したりといった情報がダイレクトに伝わるようになっています。

他にも相槌といったコミュニケーションが必ず発生するようになっており、コミュニケーションにおける掛け合いが多くなっています。Jiffcyは従来のメッセージングで相手に伝えられる情報量を圧倒的に上回ることで、体験においても優位性を確立しています。

全国の男達まさかこんな事してないよね…?#恋愛 #彼氏 #カップル #jiffcy(YouTube)
https://youtu.be/SfQK7Gw3Jxc

ーーJiffcyのユーザーは「親しい人」とのコミュニケーションに利用している人が圧倒的多数なのでしょうか?

西村:Jiffcyは親しい人とコミュニケーションしやすいツールになっています。LINEはクラスが同じであったりする人も登録されていたりしますが、Jiffcyはそれよりも仲の良い、ごく一部の「親友レベルの人」と一緒に使うアプリになっています。

使い分けとしては、LINEは一昔前の電話帳のような役割を担っており、連絡的なコミュニケーションで使われています。一方Jiffcyは本当に仲の良い人同士の日常的なコミュニケーションで使われています。人間関係の距離が近いだけあって、緊急の連絡が多かったり、相手にあまり配慮する必要がなかったりします。

「見知らぬ他人」とのコミュニケーションにおいては、Jiffcyは負荷が高いものとなっています。知らない人からテキスト通話がかかってきてもストレスに感じますし、トークでも沈黙がつらく気まずく感じます。

Jiffcyはあくまで親友や恋人や家族との、人間関係の中のトップオブトップで活躍するアプリになっています。

ーー海外展開を本格化させてから1年以上経過しましたが、海外市場の現状はどうですか?

西村:海外での状況について、日本以外ではアメリカが一番多くなっています。アメリカでも日本と変わらずZ世代の利用が多く、主な利用シーンは家の中でのテキスト通話になっています。

アメリカは日本に比べて通話頻度が高く、日常的に通話を行なっています。その中で家族に話し声が聞かれたくないなどの感覚は日本人と共通しているため、テキスト通話を行う機会が多く存在しています。今すぐこの興奮を電話で話したいのに、家族が家にいる。そんな時にJiffcyが使われています。

アメリカ以外の地域だと韓国などで使われています。韓国では恋人間で相手の感情が伝わるコミュニケーションという点が重宝されており、日本のトレンドを輸入するという形で広がってきています。

ーーありがとうございました。

日本以外の国や地域でも普及する可能性が感じられるアプリなので、今後もJiffcyの動向には要注目です。

Jiffcy
https://jiffcy.com/[リンク]

※画像提供:株式会社Jiffcy

(執筆者: 6PAC)

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