冬は血圧が上がりやすい? ナトカリ比で“我慢しない減塩” 全国ご当地レシピで美味しく対策

冬の訪れとともに、体は少しずつ寒さに備えて血管を収縮させる。それは体を守るための自然な反応である一方、血圧はぐっと上がりやすくなる。12月から年明けにかけては、血圧変動が大きくなる季節といわれ、放置すれば脳卒中や心臓病のリスクが高まる可能性もある。実際に血圧に関するニュースはここ数年で増えており、生活習慣を見直そうと意識する人は確実に増えている。そんななかで注目されているのが「減塩+カリウム」の考え方だ。2025年に高血圧治療ガイドラインが改訂され、新たに「ナトカリ比(ナトリウム:カリウムのバランス)」の改善が推奨されるようになった。塩分を控えるだけでなく、野菜などに含まれるカリウムを上手に取り入れることで血圧対策に役立つとされる。しかし、冬はどうしても濃い味・こってりメニューに手が伸びがち。寒い夜にサラダだけ、というわけにもいかない。そこで大切なのは「我慢しない血圧ケア」である。揚げ物も丼ものも、ほんの少しの工夫でヘルシーにアップデートできる。そのヒントが、全国の食卓の知恵に詰まっているのだ。

今回は、冬本番に取り入れたい「ナトカリ意識のレシピ」を紹介する。美味しいものを楽しみながら、未来の健康を守る食生活を始めてみてはいかがだろうか。

減塩だけではない、冬の血圧ケアに必要な視点

塩分を控えるだけでは食事の満足度が下がり、継続が難しい結果に終わりやすい。冬におすすめしたいのは、カリウムを多く含む食材を「足す」視点である。トマト、きのこ、じゃがいも、枝豆など、身近な食材でも十分対策できる。また調査によると、減塩を意識するタイミングとして最も挙げられたのは「夕食」。85.3%もの人が夜ごはんでの工夫を求めているという。つまり、夜こそ血圧ケアのゴールデンタイムである。

がっつり夜ごはんでも“ナトカリ”でバランス改善

忙しい日でも満足感を損なわず、短時間で作れるレシピを紹介する。

【ちょい足し】から揚げ&ポテトぶっかけ野菜のサルサソース

揚げ物の強い味にさらっと野菜を添える発想。塩を振らずにポテトを調理し、サルサの酸味で味を引き締める。調理はわずか5分。野菜132g、食塩相当量3gと、バランス良し。罪悪感なく楽しめる一皿である。

【材料:2人分】
鶏のから揚げ|5-6個(200g)
フライドポテト|200g
サルサ|1袋
洗わないでそのまま使えるベビーリーフミックス|1袋

【作り方】
鶏のから揚げ、フライドポテト、ベビーリーフを皿に盛る。サルサを添える。

【包丁要らず】チルド餃子で作るラビオリ風グラタン

餃子ときのこを耐熱容器に入れてレンジにかけ、チーズをのせて焼けば完成。302kcal・食塩相当量2gで、満足度にも優れる。寒い夜にもホッとできる簡単メニューである。

【材料:3人分】
餃子(チルド)|12個
ぶなしめじ(カットタイプ)|90g
酒|小さじ1
トマトソース150g|1パック
ピザ用チーズ|80g
パセリ(乾)|適量

【作り方】
①耐熱容器にしめじを入れ、酒を回しかける。ラップをして、電子レンジで加熱する(500W 2分程度)
② ①に基本のトマトソースをかけ、餃子を並べる。ラップをし、電子レンジで加熱する(500W5分程度)
③にチーズをかけ、チーズが溶けるまでオーブントースターで加熱する。パセリをふる。

ご当地食材を活かしたナトカリレシピ

全国各地の食材や郷土料理には、体にやさしい知恵が詰まっている。以下の3品は特に、冬におすすめしたい。

【東北(宮城県)】とま旨!油麩丼

主菜と副菜が一体化した、まさにパワー丼。油麩は旨みを吸ってとろとろに、野菜152gを摂れる点も魅力。塩分控えめでも満足できる設計がうれしい。

【材料:4人分】
油麩|60g
玉ねぎ|1個
しめじ|1/2袋
ブロッコリー|1/2株
トマト|2個

【煮汁】
水|2.5カップ
トマトケチャップ|大さじ3
顆粒鶏がらだし|小さじ2
砂糖|大さじ1
卵|4個
ご飯|丼ぶり4杯

【作り方】
①油麩は1.5cm幅、玉ねぎは薄切りにする。しめじ、ブロッコリーは小房に分ける。トマトはくし切りにし半分に切る。
②鍋に水、トマトケチャップ、鶏がらだし、砂糖を入れ火にかけ煮立たせる。玉ねぎ、しめじ、油麩の順に加える。油麩は両面を返しながら煮る。
③野菜に汁がしみ込んだら、トマトを加え軽く煮る。最後に、溶き卵を回し入れて半熟程度に火を通す。
④丼ぶりにご飯を盛り、③をのせる。

【四国】簡単!豚のトマトケチャップ角煮丼

濃い味が恋しくなる冬。しかしカリウム豊富な野菜と組み合わせればバランスは取れる。短時間で豚肉が柔らかく仕上がり、子どもも喜ぶ味わいだ。

【材料:2人分】
豚ばら肉(ブロック)|180g
しょうが|8g
しょうゆ|大さじ1
酒|大さじ1
トマトケチャップ|大さじ1
砂糖|大さじ2
水|1/4カップ
卵|2個
小松菜|1/3束(100g)
ごま油|小さじ1/2
キャベツ|2枚(100g)
長ねぎ|10g
トマト|中玉1個(150g)
ご飯|丼ぶり2杯

【作り方】
①豚バラブロックは1cm幅の厚みに切り、味がしみやすいように全体に斜めに切れ目を入れておく。
②しょうがとキャベツはせん切り、トマトは食べやすい大きさに切る。長ねぎは、白い部分を5cm長さに切り、青い部分は、白髪ねぎに作る。
③小松菜は洗浄しておき、1分間で冷水にとる。3cm長さに切る。ごま油をまぶす。
④沸騰した鍋に卵を入れ、弱火で中火で13分茹で、氷で卵を作る。
⑤フライパンに中火で加熱し、①を全て炒め色がつくまで焼く。余分な油をキッチンペーパーで拭き取り、しょうが、しょうゆ、酒、砂糖、トマトケチャップ、砂糖、水を加える。
⑥煮しをして5分加熱し、煮詰して5分加熱する。火を止めて卵を加えて煮る。
⑦丼に炊いたご飯をのせ、キャベツのせ、⑥豚の角煮と煮卵、③の小松菜、②のトマトと白髪ねぎを盛り付ける。

【関東甲信越(長野県)】カラダ想いベジおやき

ラタトゥイユ風の餡を包んだヘルシーなおやき。小腹が空いたときや朝食にも活躍。冷凍保存もでき、実は冬向きの利便性を備える。

【材料:5個分】
〈生地〉
薄力粉|200g
ベーキングパウダー|小さじ1
水|1/2カップ
サラダ油|小さじ1

〈餡〉※作りやすい分量
材料|分量
なす|1本
ズッキーニ|1本
玉ねぎ|1/2個
しめじ|1パック
サラダ油|大さじ2
トマトケチャップ|大さじ5
サラダ油|大さじ1
熱湯|200ml(目安)

【作り方】
作り方
〈生地〉
①ボウルに薄力粉とベーキングパウダーを入れ、冷たい水でよく混ぜる。
②水をかけ、ひとまとまりになったら、まとまりが出てきたらサラダ油を加え、耳たぶの硬さまでこねる。
③ラップをして常温で30分~1時間ほど寝かせる。

〈餡〉
①野菜類は全て1.5cm角に切る。
②フライパンにサラダ油を熱し、①の野菜類を炒める。
③具材をフライパンの端に寄せ、空いたところに細かにトマトケチャップを加え、2/3くらいの量になるまで炒める。具材とトマトケチャップを混ぜ合わせ、熱湯(煮ケチャップ)さらに全体を炒め合わせる。

①打ち粉(分量外)をふった台に生地を置き5等分にし、軽く丸め、中央が厚めになるように手で広げて伸ばす。
②餡を包み、丸型に形を整える。
③蒸し器に湯を沸かし、強火で蒸す。中火で2分両面焼き色がつくまで焼く。
④お湯を注ぎ入れ、蓋分の高さになるまで加えて蓋をし、4~5分蒸し焼きにし、水分がなくなったら完成。

【北海道】枝豆とコーンのトマトクリームシチュー

北海道産野菜をたっぷり使った温かいシチュー。トマトの酸味とクリームのまろやかさが重なり、寒い夜にも満たされる。枝豆やコーンでカリウムもしっかり補える。

【材料:6皿分】
鶏もも肉|250g
塩|少々
こしょう|少々
じゃがいも|中1個
にんじん|1/2本
玉ねぎ|1個
枝豆(正味)|50g
ホールコーン(冷凍)|30g
ブロッコリー|1/2個
サラダ油|大さじ1
トマトソース295g|1缶
ホワイトシチュールウ|5皿分
牛乳|1/2カップ

【作り方】
①鶏肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎは炒めやすい食べやすい大きさにカットする。ブロッコリーは小房に分けてレンジにかける。
②鍋肉に塩こしょうをして、フライパンに油を熱して鶏肉の両面を焼く。
③ ②にじゃがいも、にんじん、玉ねぎを加えて炒める。水700mlを加え、煮立ったらフタをし、弱火でアクをすくいながら、野菜に火が通るまで煮込む。
④ルウを加えて溶かし、牛乳、基本のトマトソースを入れてあたため、最後に枝豆、コーン、ブロッコリーを加える。

【名古屋(愛知県)】1缶3役!巻かないロールキャベツ

キャベツを丸ごと使い切る、食品ロスにも優しいメニュー。基本のトマトソースが下味・つなぎ・煮込みソースの役割を果たし、時短ながらも本格感を楽しめる。

【材料:2人分】
キャベツ|1/4個(255g)
豚ひき肉|200g
トマトソース|295g 1缶
コンソメスープの素(固形)|1個(4g)
塩|0.4g
こしょう|0.1g

【作り方】
①キャベツをラップでくるんで電子レンジで加熱し、消毒をつける(600W 3分、500W 4分)
②キャベツの芯はみじん切りにしておく。保存用袋にひき肉、みじん切りにしたキャベツ、基本のトマトソース大さじ1、塩、こしょうを入れて揉む。
③キャベツの外葉を1~2枚はがし、深めのフライパンの底に敷く。②の肉だねを集める。残りのキャベツを内側から1枚ずつはがし、全体をつつうように置く。
④フライパンに残った基本のトマトソース、コンソメ、水200mlを入れる。
⑤蓋をして火にかけて、沸騰中周りのソースを上からかけながら、中に火が通るまで煮る。(弱火で約10分)
⑥ロールキャベツを皿に取り出して盛り付け、上からソースを全体に回しかける。ソースと具材を絡めておいしく上がりください。

【大阪】トマトソースでイタリアンお好み焼き

家庭に馴染み深いお好み焼きにトマトソースを加え、ヘルシーアレンジ。キャベツをたっぷり使いながら満腹感も十分。野菜317gが摂れる冬の定番にしたい一枚である。

【材料:2枚分】
小麦粉|40g
和風だしの素(顆粒)|4g
卵|1個
野菜一日これ一本200ml|200g
豚ばら肉(薄切り)|120g
キャベツ|1/4個
長芋|60g
刻みねぎ|30g
サラダ油|小さじ1

〈トッピング〉
トマトソース150g|1パック
お好み焼きソース|40g
マヨネーズ、鰹節等|適量

【作り方】
①キャベツは粗いみじん切り、長芋をすりおろす。豚肉は食べやすい大きさに切る。
②ボウルに小麦粉、だし、卵、野菜一日これ一本を入れて混ぜ合わせる。
③キャベツ、長芋、ねぎ、豚肉を加えて混ぜ合わせる。
200℃くらいに温めたホットプレートまたはフライパンにサラダ油をひき、②を半分流し、形を整える。
④生地が固まってきたら(約3分)裏返して、蓋をして焼蒸し焼きにする。(約5分)
⑤再度ひっくり返し焼きをとばす。(約2分)
⑥ ③と④をもう1枚分作る。
⑦皿に盛り、お好みソースを塗り、トマトソースをかける。お好みでその他トッピングをどうぞ。

【九州(熊本県)】なすとトマトのケチャみそ炒め

みそのコクとトマトの酸味が相性抜群。ブロッコリーやトマトでカリウムをしっかり補え、サッと炒めるだけで完成する手軽さも魅力である。

【材料:2人分】
豚ばら肉(薄切り)|100g
なす|2本
トマト|1個
ブロッコリー|1/2株
しその葉|2枚

〈ケチャみそだれ〉
トマトケチャップ|大さじ1
みそ|大さじ1
砂糖|小さじ1
水|大さじ1
サラダ油|大さじ1

【作り方】
①豚肉は5cm幅に切る。トマトはくし切りに、なすは1cm幅の半月切りにする。
②ブロッコリーは小房に分けて耐熱容器に入れ、ふんわりとラップをして電子レンジで600W 1分加熱する。
③ケチャみそだれの材料を混ぜ合わせる。
④フライパンにサラダ油を熱し、強火で豚肉、なす、ブロッコリーの順に炒める。
⑤ ③のみそだれを加えて混ぜ合わせ、最後にトマトを加えてさっと炒め合わせる。
⑥器に盛り、千切りにしたしその葉をのせる。

冬の食卓はもっと楽しく、もっと健康に

「血圧が…」と気にするほど、味は薄く、食は細り、生活はつまらなくなる。だが、食べることは本来前向きな行為である。寒い夜の“美味しいひと口”が、明日の元気に変わる。ナトカリを意識することで、好きなメニューをあきらめずに健康を目指せる。冬の血圧対策は、もっと自由でいいのである。

今回紹介したレシピは、どれも普段の食卓に少しアレンジを加えるだけで実践できる。揚げ物も丼ものも、おいしさをそのままにヘルシーへと変身する。冬の食卓が楽しくなるだけでなく、健康寿命を延ばすことにもつながる。

変えられるのは、今日の一皿から。心と体が温まる食事を味方につけ、これからの寒さを軽やかに乗り越えていきたい。美味しいものを楽しみながら健康を守れる。そんな冬を、自分の力でつくっていくのである。

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